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うたのおへや

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わたし 村嵜千草の詩をまとめています
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2023年8月の記事一覧

127

127

慣れた瞳に少し緊張しながら
足を組み替えて
ぽつりと言葉を紡いでみる

内緒話をするときは
いつもどこか不安で心が小さくなる
お刺身が乾いてしまうのを横目に見ながら
落ち着かない手をもじもじさせて
こっそり表情を伺ってみる

ああ なんだ
同じだったと知った

塩で漬物になるんじゃないかってくらい
濡れてしわしわになるんじゃないかってくらい
溢(あふ)れるものをそのままにして
そっと手を握り合って

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未練

未練

あなたはいつも大股で
歩くのが速くて
わたしはついて行くのに精一杯だった

合わせてほしいって
言えなかった
嫌われるのが怖かったから

あなたはよく笑って
褒めてくれて
わたしは照れ笑いを返すしか出来なかった

眩しくてたまらなくて
上手な返しなんて
考える余裕がなかったから

あなたはずっと前を見てる
どんどん遠くなる

わたしはまだ
道端の萎れた雑草なんかが気になってる

あなたの笑い声が遠

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指先

指先

気づいてほしい
ううん 気づかなくていい

どうしたの急に、なんて
へんなの、なんて
思われたらいやだもの

けれどやっぱり ちょっぴり気づいてもいいよ

かわいいなって
思ってもいいよ

あなたのための 気取った指先

コップの汗

コップの汗

早く車に戻ろうって
蒸し返すアスファルトを蹴って
ひーとかふーとか言って
この曲誰の?なんて
スピーカーを指差す

こんなときはもう最後かもしれないって
ふと心配になって
脈絡もないお礼を繰り返して
笑って照れ合って
コップの背中をなぞる

さっきまで外明るかったのに!
あっという間だねって
時計を横目にサラダを摘まんで
さっきのざわつきなんて忘れて
ケラケラはしゃぐ

気づいたら
冷えたジュース

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見えぬあなたへ

見えぬあなたへ

どれだけ一生懸命に目を凝らしても
人の目に見えるものには限界がある

と、思いたいのかもしれないし
本当にそうかもしれない
本当にそうだったら居るかもしれないから
やっぱり思いたいだけかも

あのときどんな気持ちだったの
何に触れていたの
最後に何を見たの 考えたの

さようならも言わせてもらえない私は
あなたをずるいと思えばいいのか
優しいと思えばいいのか

持てる五感のすべてから
無言の便りが

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薄ぼけたもやの中から

薄ぼけたもやの中から

単位をひとつ落とした。
笑って「次はがんばるね」と言った。

単位を半分落とした。
笑われて「大丈夫」と冗談交じりに答えた。

教室に入れなくなった。
ドアの手前で止まる足。震える体。溢れる涙。

家を出られなくなった。
自分はなんて怠惰で愚かなのかと責めた。

選択をした。
ここで終わることにした。

成し遂げられなかった。

次の選択をした。
せめて病気のせいであれ。

荒れた六畳間
スマホの

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おめかし

おめかし

わたしは花になる
色をまとって

こんなところ、見ないだろうけど
気になんて留まらないだろうけど

ほんの少しの期待...ううん、嘘だ
ほんとは50パーセントくらいの期待を
耳に、頬に、指に、唇にひそめて

今日くらいは、
不細工だなぁとおどけるのをやめにする
花になるのだから
心もおろしたてのネックレスも、
風に躍らせるのだから

もし、もしもよ、
きれいだね、だなんて言われたら
ちょうちょにな

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夏にそむいて

夏にそむいて

河原へ行こうよ
散歩に行こうか

テキトウにサンダルを突っかけて
熱気を顔に受けよう

やになって部屋に引き返そう

遊びに行こうよ
海でも行こうか

箪笥を念入りに漁って
お気に入りのブランケットを見つけたら

やになって布団に帰ろう

心にこっそり 夏を踊ろう