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グローバルダイニング訴訟でおさえたいたった2つのポイント

みなさんこんにちは。グローバルダイニング応援団です。今回のむらじおはこちら
https://open.spotify.com/episode/2wMu09y9P4hGUsmUCTdVOp?si=uMKXu3kORCGgSRiS6fSAIg

今回は、お聴きくださった方にもそうでない方にも、改めてグローバルダイニングが東京都に対して起こした訴訟のポイントをお伝えしたいと思います。グローバルダイニングの訴訟についての概略はこちら。
グローバルダイニング自体の企業としての評価が盛んに論じられている印象がありますが大事なのはそこではありません。ポイントはたった二つ。コロナ特措法自体が違憲か否か、またはその運用が違憲か否か、です。なお本記事はすべて私個人の見解です。

①コロナ特措法自体が違憲か否か

まず、「コロナ特措法自体が違憲か否か」については、憲法22条に謳われている「営業の自由」が侵されたか否か、が争点です。22条の条文は下記の通り。

第二十二条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。※ここに「営業の自由」が内包されている。
② 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。


ここでの争点は、「公共の福祉」にコロナ禍における時短営業命令が該当するか否かです。個人的な所感としては、おそらく時短命令は公共の福祉に適うという判決になる気がします。命令が科学的知見に基づいているかはさておき(ここも物凄く重要なポイントなのは後述します)、実際に飲食店が営業すること自体を嫌悪する人一定数いることが想定されることが理由です。

ところで、日本は三権分立と言えども司法と行政はその時々の力関係で権力のやり取りをしてきた事実があります。今回、「コロナ特措法自体が違憲か否か」にまつわる判決文の書きっぷりで司法と行政の現在の力関係を判断する目安になると思っています。

②都知事による特措法の運用が違憲か否か

この争点の一つ目の論点は、第二十二条の「営業の自由」を、都知事が特措法を違憲運用したことによって侵害したのではないか、という点ですが、この点については二つ目の論点に準拠します。二つ目の論点は、都知事が憲法21条に反したのではないか、ということです。21条の条文は下記です。

第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
② 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

飲食店の営業が表現の自由とどう関係があるのでしょう。実は、都知事は物凄い失態をしでかしています。この文書をご覧ください。

図1

これは今年の3月15日に都知事からグローバルダイニング宛に出された時短営業の命令書です。もちろん公文書です。この赤枠内に注目してください。

緊急事態措置に応じない旨を強く発信するなど、他の飲食店の20時以降の営業継続を誘発する恐れがある

要は、「グローバルダイニングがSNS等で時短営業に応じない旨を発信したからグローバルダイニングに時短命令を出します」と都知事が公文書で明言しているのです。これは明らかに表現の自由の侵害と言えます。つまり、「特措法自体は違憲ではないけど、都知事が違憲な運用をした」という判決が出る可能性は非常に高いと考えられるのです。

三つ目の論点は、憲法第29条の財産権に違反したのではないか、という点。29条の条文は下記の通り。

第二十九条 財産権は、これを侵してはならない。
② 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
③ 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

時短命令や休業命令がこれに違反しているか否かが争点になりますが、これも22条と同じで、「特措法そのものが違憲か」「都知事が違憲か」の二段構えの構成になっています。

面白いのが、グローバルダイニングの104円という賠償請求額です。104円の根拠は「時短命令が出された26店舗」*「損害額1円」*「都が午後8時以降の営業停止を命じた3/18-21の4日間」です。それぞれの店舗の損害額の算出をしなかった理由は、それをすると銭勘定の話とすり替えられる恐れがあるためでしょう。時短営業によって1店舗当たり1円の損害が出たのは社会通念上明らかです。これは非常に面白い戦略だと思います。

都知事が違憲のみならず特措法を違法に運用している可能性

さて、これまでは「コロナ特措法自体が違憲か否か」「その運用が違憲か否か」についてお話をしてきました。都知事がコロナ特措法の運用において表現の自由を侵した可能性が極めて高いことがご理解いただけたと思います。加えて、都知事はコロナ特措法を違憲のみならず違法に運用した疑いも極めて強いのです。どういうことでしょうか。

今年2月の内閣委員会で、近藤内閣法制局長官がコロナ特措法の運用についてこんなことを言っています。

ただ、過料を科するということで、特に今回、私の方からお願いをいたしましたのは、これまでの措置の、都道府県知事が行われる前に、①特に専門家の方の意見を再度聞くようにということを法律で義務づけていただきまして、より②科学的知見で、不用意に広がらないように、本当に疫学的な見地からここは③どうしてもやらなきゃいけないというところにある程度絞っていただくというところで、より④過料との見合いで、厳重、慎重な発令というものをお願いするように今回の条文ではなっております。

近藤内閣法制局長官の答弁(内閣委員会第2号(令和3年2月1日)
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/000220420210201002.htm

内閣法制局とは法の番人です。つまり、内閣法制局長官の見解は法律の運用において最も重視されるべき点です。その内閣法制局長官が、コロナ特措法の運用において以下の四つを守ってくれ、と言っているのです。

①専門家に意見を聞き
②科学的知見に基づき
③必要最小限度にとどめ
④過料という金銭罰を課すに値するか厳重に見極めろ


これに則らなければコロナ特措法の運用は無効だ、という内閣法制局長官のお墨付きがここに提示されているわけです。命令が科学的知見に基づいているかどうかも重要なポイントだと言ったのはこれとの兼ね合いです。飲食店への時短命令、酒類提供自粛要請(自粛の要請という時点で日本語として破綻していることにいつ気付くのでしょう)、夜8時以降の灯火管制、これらのどこに「科学的知見」「必要最小限度」「厳重な発令」が踏まえられているのでしょうか。

つまり、都知事からの「自粛の要請」は「違憲・違法」だと考えられるのです。

「みんな我慢してるんだから」ちがう、論点はそこじゃない

こういう話をすると、「非常識」「みんな苦しい中耐えてるんだから」「コロナで身近な人が死んでもいいのか」的な意見をいただくことがしばしばありますが、論点はそこではない。憲法にも法律にも違反している謎の命令に何の考えもなく従って、本当にこのままで良いのか?ということなのです。

思考停止は政治の腐敗の温床です。これ以上、現状のような政治を見たくないなら自分の頭で考え、行動する方が絶対良い。私がグローバルダイニングを応援しているのはそれが理由です。グローバルダイニングは裁判費用に関するクラウドファンディングを展開していて、そこには「本件命令の違憲性と民主主義国家のあり方」を問うと明言されています。この考えに私は全面的に同意します。
https://www.call4.jp/search.php?type=material&run=true&items_id_PAL[]=match+comp&items_id=I0000071

明らかに不合理且つ法典に違反しているおかしな命令に唯々諾々と従いながら「今だからこそできること」みたいに従順な努力をするのは、物凄く立派ですが、流石にあまりにもお人好しすぎやしませんか。「今だからこそできること」ばかりを追い求め続けると、そのうち何もできないレベルまで追い込まれてしまうのではないでしょうか。そうなる前に、明確な誤りは糾した方が良い。そう強く思うのです。

そういえば、この件に関して、「憲法を守れ!」という人を全く見ない気がします。なぜだろう?



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