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ティルドラス公は本日も多忙③ 冬終わる日に人来たる

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小説『ティルドラス公は本日も多忙』第3話。第1、2話及び付随音楽「『ティルドラス公は本日も多忙』のための音楽」も、別マガジンとしてまとめていますので、併せてお楽しみ下さい。
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記事一覧

ティルドラス公は本日も多忙③ 冬終わる日に人来たる(0)

第0章 これまでのあらすじ 群雄割拠の中で戦乱が続く大陸・ミスカムシル。かつて、一介の兵…

ティルドラス公は本日も多忙③ 冬終わる日に人来たる(1)

第一章 キコックの助言(その1) マクドゥマルの街で季節は秋から冬へと移り、冬至、そして…

ティルドラス公は本日も多忙③ 冬終わる日に人来たる(2)

第一章 キコックの助言(その2) こうして、ツェンツェンガを探し出し、さらに無実の罪で投…

ティルドラス公は本日も多忙③ 冬終わる日に人来たる(3)

第一章 キコックの助言(その3) 虎賁(こほん)の詰め所の捜索が進むにつれ、凄惨な事実が…

ティルドラス公は本日も多忙③ 冬終わる日に人来たる(4)

第一章 キコックの助言(その4) 新年は新年でティルドラスは多忙である。元日には夜明け前…

ティルドラス公は本日も多忙③ 冬終わる日に人来たる(5)

第二章 パスケルの遺言(その1) 戦の終わった旧バグハート領がそれなりに平穏な新年を迎え…

ティルドラス公は本日も多忙③ 冬終わる日に人来たる(6)

第二章 パスケルの遺言(その2) 「仰せの通り、今回の戦いで我が国は常に後手に回っております。」カンスキーは言う。  デクター領の北の果て、タンネビッツ川の東岸に位置するシェボドゥマルの港は、「塩の港」を意味するその名の通り、北の山あいにあるシェボンプルの塩坑から掘り出された岩塩の積み出し港としてウェスガー家が支配していた土地だったが、三年前、この地の守将がカンスキーの調略によりデクター家に寝返り、奪還のため派遣されたウェスガー軍も彼の奇策により撃退されて、以来、ウェスガー領

ティルドラス公は本日も多忙③ 冬終わる日に人来たる(7)

第二章 パスケルの遺言(その3)  * * * * *  リュイバンチスの戦いの詳細は密か…

ティルドラス公は本日も多忙③ 冬終わる日に人来たる(8)

第二章 パスケルの遺言(その4) 「今回の戦いで、各国が毒気を使った兵器の有効性に気付い…

ティルドラス公は本日も多忙③ 冬終わる日に人来たる(9)

第二章 パスケルの遺言(その5) 一方、フィンケルを送り出したアンティルは、そのまま工房…

ティルドラス公は本日も多忙③ 冬終わる日に人来たる(10)

第三章 二都の角逐(その1) 夜半に近いマクドゥマルの城を冷たい風が吹き抜ける。夜回りの…

ティルドラス公は本日も多忙③ 冬終わる日に人来たる(11)

第三章 二都の角逐(その2) 一夜が明けて、早速、対立の一端が表面化する。「ネビルクトン…

ティルドラス公は本日も多忙③ 冬終わる日に人来たる(12)

第三章 二都の角逐(その3) 戦乱の世に流言飛語は珍しいものではない。神が降臨して民を救…

ティルドラス公は本日も多忙③ 冬終わる日に人来たる(13)

第三章 二都の角逐(その4) ハッシバル家とバグハート家の戦いの後、メルクオ=リーの取った行動は奇妙なものだった。  戦いの終盤、マクドゥマルからメイル子爵が落ち延びるための時間稼ぎとして殿軍(しんがり)を命じられたメルクオは、役目を果たした後、メイルの跡は追わず、マクドゥマル近くの山の上にある小さな砦に手兵を率いて立て籠もる。  立て籠もったと言えるのかどうかすら怪しい。砦には拠(よ)ったものの、特に抵抗の構えを見せるわけでもなく、部下の兵士たちは時々砦から出て市で買い物を