4-2:恋のモトあつめと『恋愛アピール合戦』(人生はなぜ辛いのか?と思った時に読む『モト』の話)
4-2【恋のモトあつめと『恋愛アピール合戦』】
恋の始まりと『恋愛アピール』
繰り返しになりますが、ココロは「モトあつめ」をするために活動します。ココロそのものがモトでできているからです。
もちろん、恋の気持ちがカラダからの刺激で湧き起こったあとも、ココロは一生懸命に「モトあつめ」をしようとします。
さて、恋の始まりは本能的なものですが、一旦始まってしまえば、そこから先はアタマの活動領域になります。恋を実らせるために色々なことを「考え」始めるわけです。
具体的には、容姿をととのえて相手に「見せる」工夫をしたり、親しく話しかけて相手と「関わる」機会を増やしたりしますよね。こういう行動は「アピール」です。相手に自分を知ってもらい、あわよくば相手にも「恋されたい」から、そのためのプレゼンテーションのようなものです。
これを僕は
『恋愛アピール』
と呼んでいます。
こういう一連の恋愛アピールも、もちろんモトあつめの一環です。ココロの「モトあつめ」欲求に従って、アタマでアピールの仕方を考える、という寸法です。でも、あくまで根本はココロの「モトあつめ」なんですね。そしてモトあつめは相手の「注目を集めようとする」行為なんですから、当然向こうからモトを奪う結果になります。
ただし・・・ここが恋愛の不思議なところ。
この『恋愛アピール』が成功したら、なんとお相手のモトも増えていくんです。
『恋愛アピール』とモトの増減について
ほら、恋愛とは「好き!」という『気持ち』によって始まるものでしたね。気持ちとはココロの動きで、ココロの動きは「モトの増減」によるものです。ですから、気持ちの出どころがたとえ「カラダ」であったとしても、やっぱりココロではモトが増えたり減ったりしてるんです。
そして恋愛の「好き!」という気持ちは、なんとココロのモトをグググッと増やします。カラダがココロに命令して、勝手に「モトを増やす機能」をオンにしちゃうんです。なんとも不思議ですね。
恋に恋する、なんて言いますけど、別に何にもなくてもモトが増えていっちゃうんです。恋とはとても良くできた機能です。
こんなふうに、こちらから「恋愛アピール」をするのに必要なモトというのは、自分のココロが勝手に生み出したものなんです。このモトを大量に相手に送り込んで、向こうの気を引こうとするのが恋愛アピールの目的です。
一方、恋愛アピールを受ける側は、否が応でも相手に注目してしまいます。だって「アピール」してくるんですからね。
注目するんだから、アピールを受けた側のモトは減ってしまいます。確かに相手から送り込まれるんですけど、こちらも注目を返す(=モトを送り返す)ので、トータルでは減るんです。
僕たちは特に気のない相手に「恋愛アピール」をされても困ってしまうし、相手に魅力を感じなかったら、モトは奪われ損になってしまうので、嫌な感情を抱いてしまったりします。
こうなると「恋愛アピール」は失敗です。
恋をしている側が恋愛アピールに失敗すると、そちらもモトを失います。せっかくモトを増やしてアピールをしても、相手がモトを送り返してくれないので、送った側も「送り損」になってしまうんです。
ココロのモトが減ると、好き嫌いゲージが低下します。低下すると、ココロにネガティブな気持ちが沸き起こってきます。例えば、好きになったはずの相手に怒ったり、なんだか悲しくなったり、恐ろしくなったりするんです。
それらが続くと、強い嫉妬心や猜疑心をいだき始めることもあります。こういう恋愛にまつわるネガティブな気持ちをうまく「アタマで」処理できないと、ストーキングや暴力沙汰に発展してしまうことだってあります。
ココロはあくまで「モトあつめ」をしようとしているんでしたね。減ったモトをなんとか取り戻さなければ、という気持ちがそうさせるんです。
相思相愛の『恋愛アピール合戦』
ですが・・・もし相手が恋愛アピールをきっかけに、自分を好きになってくれたら・・・恋愛アピールが成功したら、どうなるでしょうか。
相手も、自分に恋をするわけです。平たい言い方をすると、性欲を抱いてくれるわけです(恋愛感情は性欲でしたね)。
こうなると、相手のココロも「勝手にモトを生み出す」スイッチが入ってしまいます。そして、増やしたモトをこちらにガンガン送り返してくれるようになります。
そう、向こうも「恋愛アピール」を始めるのです。僕はこれを
「恋愛アピール合戦」
と呼んでいます。お互いにモトをジャンジャン送りあうような関係がスタートするのです。
両者ともココロのモトが増えるので、相手と過ごしている時に好き嫌いゲージが上昇する感覚を抱くようになります。そうするとココロには「安心感」「幸せな感じ」が発生します。
だから恋愛は「当たるとデカい」んですね。自動的に好き嫌いゲージが上がっていくことなんて、人生でそうそうあるもんじゃないですから。そうして、人々は「恋愛」にのめり込んでいくわけです。
こんな風に、お互いがお互いに「恋」をしている(=性欲のスイッチがオンになっている)間は、この関係が続いていきます。ですが・・・この「カラダからの命令」が途絶えてしまったらどうなるでしょうか。
実は、ここに「恋の落とし穴」が潜んでいます。
「ニンゲンのトリセツ」著者、リリジャス・クリエイター。京都でちまちま生きているぶよんぶよんのオジサンです。新作の原稿を転載中、長編小説連載中。みんなの投げ銭まってるぜ!(笑)