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『みんなのフォトギャラリー』より見出し画像をご活用頂いた記事をUPしていきます。
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#小説

連載版「十束神剣百鬼夜行千本塚」 #16

こんな時に忍者が面倒なことを言い出した。一刻も早く僕は姉上を追わねばならぬというのに。 「姉君を追うというのは何故なのです。金貨に換える為でしょう。金貨ならば、此処から好きなだけ取り出せば良いでしょう」 こちらに背を向けた忍者の足元には水瓶が置かれていた。泥に塗れた水瓶は、月光を浴びながらにして月よりも眩く輝く金貨で満たされている。上忍が一生をかけても蓄えられるかどうか、といった財貨を齢十六にも満たぬ忍者が用立てられるものだろうか。否、黄金の真贋などは問題ではない。これで

時代遅れ【小説】

♢   懐中時計が箪笥の向う側へ落ちて一人でチクタクと動いておりました。  鼠が見つけて笑いました。 「馬鹿だなあ。誰も見る者はないのに、何だって動いているんだえ」 「人の見ない時でも動いているから、いつ見られても役に立つのさ」  と懐中時計は答えました。 「人の見ない時だけか、又は人が見ている時だけに働いているものはどちらも泥棒だよ」  鼠は恥かしくなってコソコソと逃げて行きました。 ♢ 鼠がいってしまった後、懐中時計は静かに拾い上げられるのを待っておりました。 女中が

童謡『もりのくまさん』って、実は怖い。

――彼は、少年の頃から『もりのくまさん』が怖いのです。というのも、2番の歌詞で、「くまさんの いうことにゃ おじょうさん おにげなさい」とあります。なぜ、「おにげなさい」と言ったのか。 人生は物語。 どうも横山黎です。 今回は「白鉛筆さんの『ごめん、やっぱり青がいい。』が面白かった!」というテーマで話していこうと思います。 ◆文学フリマで知り合った!先日開催されました文学フリマ東京で買った本の中に、白鉛筆さんの『ごめん、やっぱり青がいい。』という短編集があります。 タ

【ショートショート】あの日見た夢

「気をつけてね。」 涼太は家を出ていく家族を心配そうに見送った。 涼太は今年19歳になる大学生だった。 思春期の頃は家族が嫌いだったが、それも過去のことだ。今は家族が大好きで、誕生日のプレゼントもかかさず買っていた。 彼の家族は涼太以外に父、母、そして2歳下の妹がいた。 今日、涼太は家族と一緒に隣の県の大型温泉施設に行く予定だった。大学に入ってから忙しくなった涼太はなかなか家族と出かける時間を取れなかったので、久々の旅行を密かに楽しんでいた。 だが、彼は今朝になって突然体

【ショートショート】3兄弟と3姉妹

 4月最後の日曜日のうららかな昼下がり、花子、桃子、桜子の3姉妹は、それぞれ友達との約束に間に合わせるため、バタバタとせわしなく準備をしていた。3人が靴を履いているときに、玄関の上がり框の手前で仁王立ちした花子ママが言った。 「ちょっと、あなたたち、ママとパパは今日ディナーだから、夕ご飯は適当に食べてね」 「分かってるよ、行ってきまーす!」  長女の花子が履き慣れないパンプスを気にしながら出て行った。 「行ってきまーす!」  次女の桃子がボランティアのタスキを肩に引

【詩】あたまプリン

ここのところ頭痛がひどいので 脳神経外科に行ってCT検査を受けることにした ほんとはめんどくさかったけど いろんなひとが 行け 行け と  うるさかったから おじいさん先生に ちょっとおこられたかんじで いろいろいわれて トンネルみたいな機械に あおむけの姿勢で頭つっこむ ぐいんぐいん ぐいんぐいん 惑星の公転みたいに なにかが頭のまわりをまわっている なにが楽しくてこんなにまわってるんだろう 「脳に異常はありませんでしたが、ぜんぶプリンになってましたね」

【自己紹介】はじめまして、アマチュアゲーム小説家の慶です。

noteをご利用の皆様、 改めましてはじめましてm(_ _)m 私、小説サイト『小説家になろう』『ノベルアッププラス』を中心にネット小説を執筆・更新しております【慶】と申します。 20代後半の僕は、ゲームプレイ歴20年以上の実績と過剰なまでのゲーム愛から抑えきれず、2019年4月17日に『小説家になろう』にて執筆活動を開始し、現在に至るまでゲーム関連の小説を中心に活動しております。 主な作品 ・ゲームワールドオンラインシリーズ あらすじ 近未来、高度なテクノロジー文明

星屑が燃え上がる夜

詩人の心に火が灯る 書き連ねた詩に魂が宿る 回り続けて巡り続ける流れ 宇宙の流れは始めからそこにあった 本当の自分を知った時 本当の自分の物語が幕を開ける 星屑が燃え上がる夜 自分にも世界にも寄り添えた気がした ナビゲーターは鼓動のリズム 自然界のエネルギーが揺れる 永遠に続く魂のリレー 見方を変えれば破壊と再生は同じ 誰にも真似できないやり方で 一人一人がこの世界を作ってる 出会いと別れに光を見つける 起こる出来事を全て受け止める 望み続けて生き続けろ たった今から感

下手な日記

自信のなさげにこのタイトルをかけたわけじゃなくて、ただ、そうしないと完璧主義のせいで日記を書けずにこの1日が終わるので、 とりあえずバカバカしくストレスフリーで日記をかけたい!  日記はもともと自分のためのものなので、 あくまで思い出の記憶だ。 だから心配なく書けばいい♡  まあでも日記を書く前に、まず私にとっての完璧さというものは明確に言いたい!  これはただ今の瞬間の考え方なんだけど、 未来にこの完璧の定義を使い続けるとは限らない。 私にとっての完璧は ・心を動か

【詩】ちがい

あの人は少しおかしい あの人は何もできない あの人は皆と同じじゃない あなたから見れば そうですね あなたはなんでも押し付ける あなたは脅迫的である あなたは自分が正しいと思っている わたしたちから見れば どっちがどっちですか あの人は人知れず自分の病に 苦しみながら生きています 言いたくても言えないなか生きています あなたはそれを知っていますか そんなこと知らない 知らなければ何を 言ってもかまわないのですか これを拡散すれば 戦争になる

マスク推奨年齢?

二歳以上マスク推奨と言い出し、年齢削除した政府のお偉いさんは、「二歳未満が熱中症や窒息のリスクがあり、マスクを推奨しない。」と自ら言っているのに、二歳になった瞬間にそれがなくなると思っているのだろうか。 自分の誕生日を考えて欲しい。 誕生日を迎えた瞬間に身体能力が劇的に変わったことがあっただろうか。 あるわけがない。そもそも、成長発達には個人差があり、子供の性格や性質もある。一律に年齢で線引きできる発達段階じゃない。 本当に子育てしたことがない、テレビに出てくる子供や、大人に

掌編小説307 - 頭隠して口隠さずの巻

数年前にウイルスが流行ってからというもの、この国もすっかりマスク文化というものが定着しましたね。 マスクは偉大な発明ですよ。我々にとってすこぶる都合がいい。口元を見られなくて済みますからね。……なぜってお嬢さん、人は嘘をつくとき、心理的に口元を隠したがるものなのですよ。 ゆえに我々がこのマスク文化の中で本当に注意しなければならないのは、マスクの下がどうなっているのかを観察し、想像することです。たとえばその口は裂けていないか。牙が生えていないか。彼らに手洗いうがいは効きませ

正月の訪問者

1月2日、世間的には冬休みである。僕は家でビールを飲みながら読書をしたりゲームをしたりと怠惰な生活を送っている。正月特有のお笑い番組を見ながら漫才師のかっこよさに惹かれたり、歌番組を見て歌手に憧れたりしているが、現実そうはいかない。 僕は普段は中小企業の営業として働いていて、企業としても年末年始の休みがあるくらいだから今の言葉で言うホワイト企業だろう。 ホワイトとブラックの区別も曖昧な時代であるから必ずしもホワイトではないのかもしれない。ただ僕がそう思うからホワイトである。

ライフ&ライフ・21

「孝太Bとユキさんはもう別れている」  

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