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CHANELのルージュがこの恋愛の歴史になる

二十代の前半。私は初めて自分に彼氏ができたら、CHANELの口紅を買おうと決めていました。なぜそう思っていたのか、今となってはよくわからないけれど、ひたすらに強い憧れだったのです。(当時のnoteを読み返したら理由がわかりました。私はその強い憧れに手を伸ばすほどの強い動機を求めていたのでした。)二十四歳で今の彼と付き合いはじめて、その憧れは叶いました。この恋でいいのだろうかと、歩きはじめたばかりのときでした。


CHANELココフラッシュの152

色、香り、テクスチャと使用感。色は朱に近いハッとするような赤。それら全てが好みなのです。だからこの一本は私が最も好きな口紅で、今の自分を一番奮い立たせるのもこの色だと思います。コロナ禍で口紅を使う機会は減って、それでも何か一本持つならこれでした。

彼と付き合ってもう二年半。私はお気に入りの一本を使い切りました。

いつの間にか捻っても出ません。そしてついにえぐれて、金色の筒に唇を押し付けないと色づかないようになってしまいました。それ用の筆で塗ればまだ使えると思うけれど、普段持ち歩くには不便すぎます。次の一本を買おうと決めました。

CHANELの赤はきっかけがきっかけなので、これを買うときには恋人との時間を思い出さずにはいられません。もう二年半なのか。当時は、本当にこの人は私のことを好きなのかなとか、私はこの人のことが好きになれるんだっけとか、そんなことばかり考えていた気がします。

それが今はひとつ屋根の下で暮らしているんです。あの時は想像できていなかった未来で、私は嬉しくもあり不思議でもあり、時間の流れや人生の変化に驚きを隠せません。真剣に恋愛をしたいというだけで、その人という決定打がなかったとき、すぐに別れるかもしれないという思考は頭の片隅にあったから。

二本目は成田空港の免税店で買いました。あまりにも旅行に行くので、活用しない手はないというケチなところが出てしまいました。三月にポルトガルに行ったときには在庫切れと言われましたが、四月に空港内の別店舗に行ったら置いていて一安心。旅行前だというのに、思わず荷物を増やしてしまいます。でもとても満足な買い物でした。

そしてまた二年ほど経てば、私は間違いなく買い足すでしょう。そのときに私たちはどうなっているんでしょうか。まだ152番が私に似合う色でしょうか。考えるほどに不思議な未来を、赤い口紅で跳ね返せるほどに凛とした私でありたいものです。そしてココには、私の歴史にこれからも伴走してほしいなと思うのでした。

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