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福井県の曹洞宗永平寺ではじめての坐禅体験

福井県の短い滞在の中で行ってみたかった場所。それが永平寺でした。福井駅からバスで30分ほどの山あいに位置する、大きなお寺です。雲水と呼ばれる僧の厳しい修行でも有名だということでした。

福井駅からの直行バスは1時間に1本ほど。無事に乗り込んで田んぼを抜けて着いた場所から、10分弱歩いて向かいます。この日はあいにくの雨で、真夏日を更新する関東とは違って肌寒い気候でした。

一体が森で、そこにお邪魔させていただきます。雨を憂いていましたが、苔も木々も濡れて潤ってみえ、美しい空間を作っています。

木々の間を抜けて、中へ。拝観料は700円です。

パンフレットもいただき、さらに進みます。とても広い建物で階段もあるので、足腰が痛いとちょっと不安かも。でも、車椅子用の拝観経路もあるようで、いろんな方が訪れていました。

靴を脱いで建物に上がると、「坐禅体験」の看板が。14時半過ぎについて、次の体験は15時30分からというのです。福井に行くと言ったら同僚が言った、「永平寺は坐禅体験が有名だね」という言葉がよぎります。

ここでできるのも何かのご縁と思って試してみようか。でも坐禅なんてやったこともないし、一人でふらりと入ってもバチ当たりじゃないだろうか。というか、50分間もできるんだろうか。数分間迷いながらうろうろし、そろそろ修学旅行生に怪訝がられるんじゃないかと別の不安がよぎったところで、申し込むことにしました。入り口を入って左に行くと、申し込み所があります。

ひとり500円。僧侶に坐禅について説明をいただき、それで実際に試せるのならとてもお得な体験だと思います。緑のリボンが体験参加者の目印ですと言われ、服につけました。

体験開始まで1時間ほど。その間に見学しようと思います。傘松閣といわれる建物の、「絵天井の間」も有名です。1930年の著名な画家の230枚の絵が飾られているそうです。

ひとつひとつ絵柄が異なります

静かな廊下を歩く間にも、雨の音、緑の色など、自然に対して自分の体が馴染んでいくのを感じます。東京ではまず味わうことのない感覚。

 

いかつい木造建築フェチの私としては、山門や仏殿などの建築の重厚感も沁みます。雨を滴らせるこの艶やかさ。

浴室や東司(お手洗い)などの施設もあるのですが、それぞれが大切な修行の場だそうで、守るべきルールがたくさんあるのだとか。冬は雪も多く積もるらしく、ここでの修行はどんなに大変だろうかと心がひやりとするのでした。

ゆく年くる年でも有名だそうで、山門から見える鐘を感慨深く眺めました。

さて、建物をゆっくり見学すると、ちょうど1時間弱が経っていました。お手洗いを済ませてから、入り口の近くに戻ります。5分前に集合でしたが、なんだかんだで30分になって声がかかります。海外からの方もいて、ちょっとだけ安心しました。きっと彼らも初心者だろうと思ったからです。

参加者は20名ほど。2列に並んで座禅の体験場所まで向かいます。体験する場所の中では私語厳禁。作法の説明を聞きながら、靴を含めた荷物は全て部屋の外に置き、靴下も脱ぎました。

単と言われる座禅のスペースがあり、そこで壁を向いて座禅を組みます。足の組み方、手の形、呼吸などについて説明を受けていきます。高齢の方の中には椅子での体験をされている方もいて、この時点でそんなに厳しくないはずだと一安心。海外の方向けには少しだけ英語のアナウンスがあったり、説明用の紙を見せるなどの案内がありました。(ただし一部のみ。日本語が理解できた方が面白い体験になる気がします。それか事前に予習してくるか。)

瞑想はやったことがありますが、改めて頭の中を空っぽにすることの難しさと、呼吸を深めることや集中することに使われる体力の大きさに驚くのでした。

実際の座禅の時間はとても短かったです。少なくとも、足が痺れるまで組み続けないといけないとか、無理しないといけないとか、突然ペシンと叩かれるなんてことはなく、初心者でも安心して参加できると思いました。坐禅と聞いてイメージするあの棒での「ペシン!」ですが、この体験では自ら希望しないと叩かれることはないということでした(手の組み方を変えることで合図を出します)

私もせっかくなのでしてもらおうかと迷っていたのですが、迷っている間に時間が終わりました。股関節が硬いことや足の太さなんかが原因(?)でうまく坐禅が組めなかったので、「ペシン!」も含めてまた坐禅を体験してみたいと思いました。

ちなみに坐禅体験は50分と聞いていましたが、実際の解散までには1時間を要しました。参加者の人数やどれだけ話が通じているかにもよると思いますが、時間には余裕を持った方がいいかもしれません。

人生ではじめての経験ができて、非常に興味深かったです。永平寺を訪れる際には、ぜひ坐禅体験も検討してみてください。


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