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2023年3月の記事一覧

story 捨てることのできるひと

story 捨てることのできるひと

そのひとは
時々ガーっと片付けたくなるそうだ

しかも
跡形もなく消えてしまうことに
自分でも驚くほど未練がないらしい

あーすっきり
これでまた新しく始められる

なんて
あっけらかんとしたもんだ

そのひと曰く
納得してればそれでいい

そういうことらしい

story 回り道

story 回り道

ムダなことなんて
ひとつもない
なんて言いながら
間違いのない
最短コースばかり
みつけようとしている…

でもね

今日こうして
あなたと一緒に
山登りをしみて
試行錯誤も
悪くないなって
思ったの

時々足を止めて
振り返ったり
木々や草花の様子を
眺めてみたり…

この景色に
思いを馳せているうちに

今ここで足を止めなかったら
今ここで躓かなかったら
気づけなかったことが
たくさんあったな

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story 神さまの答え

story 神さまの答え

神さまは隠された

ある答えを…

必ず見つけると確信されて

答えはひとつ

ただその解き方はひとつではなく
幾通りにもできる

試してご覧

そしてそれを楽しんでご覧

お前の答えを
私も楽しみにしている

story 労り

story 労り

チビが風邪を引いたっていうから
手伝いに行ったら
私まで風邪を引いてしまった

手伝いに来たのに
病院に連れて来てもらっちゃって
あべこべねって言ったら

労り合うってことさ
チビのおかげで
一番大切なことを教えてもらった
ってあなたは言った

なんだろう
この気持ち…

こんな時に
また熱があがっちゃうじゃないか…

story 陰影

story 陰影

ーあるひとの言葉ー

光だけでは光と分からぬ
影があるから光と分かる

逆もまた然り

陰影が刻まれてこそ
人も輝くというものだ…

story 夢と陰謀

story 夢と陰謀

オレだって
オレだっていつか…

あ、いいこと考えた!
裏をかいて死角をついて
まだ誰も気づいていない
ことをしよう!

ぐふふ…
世界はオレの思いのままだ!

おーい!!
そこのひとー!!
あっ、
あ〜あ…
あのひと気づいてなかったのかなぁ…

時既に遅し
呼びかけも虚しく
そのひとは足元にあいていた
深い穴へと落ちていった

story 正体

story 正体

お前は誰だ…

面白い小僧だ
知りたいか…

私はお前だ
お前がお前だと思っている"もの"だ

お前がお前だと思っているのものは
実はお前ではなく全て私だ

気づいたことは褒めてやる
だが余計なことだ

知らなくても良いことだ
知らないままの方が良い

もがこうが笑おうが
お前はお前を生きれば良いのだ

さぁ
もう眠れ
そして忘れろ
目覚めた時は
もとのお前になっている

story 泥棒

story 泥棒

男はさも当然のように
私が持っていたハサミを奪った

私がそれに気づくと…

なんだよ
俺にはこの後大事な仕事があるんだ
ハサミのひとつくらい良いだろ

そう言った

私は慌てて奪い返すと
続けて男の手を取り
改めてハサミを握らせた

握らせて
その手をさらに強く握った

ハサミはまた買えます
でもあなたの人生は一度きりです

奪われたんじゃなく
くれてやったのだ

それは
悔し紛れだったかもしれ

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story 棲家

story 棲家

ここはね、癒しなんだ

憩いの場

ボクらだけの
場所じゃないんだよ

見てごらん

感じてごらん

鳥も虫も動物も
目に見えないほどの
小さなものたちも

みんなここで
命を育んでいるだろ

同じ雨に打たれて
同じ風に吹かれて
踏ん張っている

そして少しずつ
分け合っているんだ

ここに来るなって
言えると思うかい?

柵なんか立てたって
なんの意味があるんだろう

食べ物が必要な時に
食べ物

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story 空っぽくん

story 空っぽくん

ボクは空っぽくん

いつもはらぺこで
食べても食べても
お腹いっぱいにならないんだ

ううん…
お腹はいっぱいになる
だけど
食べても
食べても
空っぽなんだ

何かがいつも
底なしみたいに
空っぽなんだ…

おい
お前ひとりぼっちで
さみしそうだな

オレが友だちになってやるよ

キミはだれ?

オレか?
オレはお前のたったひとりの
友だちだよ
食べたいものがあるなら
好きなだけ食べさせてやるよ

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