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エフェクチュエーションの全体地図

エフェクチュエーションという〈新しい方法〉は、どんな時に役立つのでしょうか。どんな時にはじめるのがよいのでしょうか。

それはどんな時にもですが、特にゆきづまった気持ちになった時に試してみてください。なにか壁にぶつかってるのだけど、でも何をすればよいかわからなくなった時に試してみてください。きっとなにかヒントが得られると思うのです。

なぜかといえば問題とは、えてして自分自身が作り出しているからです。いまの自分の世界の見方が作り出しているからです。でもエフェクチュエーションは、世界を新しい見方で見ることを助けてくれるからです。

アインシュタインが言ったとされる、有名な言葉があります。

ある問題を引き起こしたのと同じマインドセットのままで、その問題を解決することはできない。

マインドセットとは、ボクたちの世界の見方のことです。つまりアインシュタインは、ある問題を解決するためには、ボクたちの世界の見方を変える必要があるといっています。

実はマインドセットを変えることは、とても難しいことです。でもエフェクチュエーションは、その手助けをしてくれます。今回の目的は、その手助けとなるエフェクチュエーションの行動原則の、全体地図を紹介することです。

エフェクチュエーションの世界観

マハマト・ガンジーはこのように言いました。

あなたがすることのほとんどは無意味であるが、それでもしなくてはならない。それは世界を変えるためではなく、世界によって変えられないためである。

エフェクチュエーションにおける目的(目標)とは、〈3か月で月5万円のライター収入を達成する〉といった、到達すべき終点ではありません。目的は、現在の状況(世界)をわずかずつでも変えていくために、新たにモノやコトを作りつづけることそのものです。ライターのボクであれば〈書き続ける〉ことそのものです。

その新たなモノやコトを作り続ける活動から生まれる、世界にわずかずつでも働きかけているという実感が、未来への想像力を触発するのです。

人は未来への想像力を失わない限り、ゆきづまったりやりがいを失うことはない。とりわけ新しいモノを作ったり新しいコトに向かう活動は、人をときめかせ、自由に愉しくさせるのです。

だからエフェクチュエーションの目的は、こうなります。

誰かとの関係(つながり)の元、新しいモノ(作品)やコト(体験)を作り出す中で、〈新しいわたし〉の成長の可能性を感じて、理想の未来像への想像力が触発されること。

エフェクチュエーションの柱になる4つの原則

なんだか新興宗教の勧誘みたいになってきましたが、安心してください(笑)。エフェクチュエーションを創案したサラスバシー教授は、科学的な裏付けをもってエフェクチュエーションを体系化しているのです。

このエフェクチュエーションの世界観に向かうにあたって、エフェクチュエーションには4つの柱になる原則があります。

手中の鳥の原則 - 手段からスタートして新しいモノやコトを作りだす

エフェクチュエーションの最もベースになる考え方であり、すべてはここから始まります。エフェクチュエーションのはじめ方とは、手段からスタートする〈手中の鳥の原則〉を具体化することです。

許容可能な損失の原則 - 目標の最大化に焦点をあてるのではなく許容可能な損失に焦点をあてる

エフェクチュエーションの対概念であるコーゼーションとは、いままでボクたちが常識としてきた考え方です。このコーゼーションでは、目標の最大化に焦点をあてます。たとえばコーゼーションでは月5万円の目標収入の達成や、その目標を超える収入の達成に向けて努力します。

しかしエフェクチュエーションは、そうではなく〈許容可能な損失〉に焦点をあてます。

押しの経済(クレイジーキルト)の原則 - 世界は関係でできている

コーゼーションは市場での競争を前提にしますが、エフェクチュエーションは競争を無視します。世界は関係でできていて、わたしの存在とは関係の濃さなのです。

エフェクチュエーションは〈クレイジーキルトの原則〉として説明しますが、ボクは〈押しの経済=贈与経済〉の世界観をもっています。なぜならば〈ときめきの贈与〉によって〈押しのコミュニティ〉がはじめて起ち上がり、贈与と返礼の交換がはじまるからです。

セレンディピティ(レモネード)の原則

個人的に最も好きな原則ですが、いままで最もふれてこなかった原則でもあります。だから特集記事を書く予定です(笑)。

世界は偶然の出来事にあふれています。偶然、得られた情報や知識。偶然の出会い。偶然の機会。偶発的な事件や事故。良いコトも悪いコトも。

そのように〈やってきた偶然〉を〈幸福な結果〉に変えるためには、何が必要なのでしょうか。たとえば前回記事で書いたように、〈編集者〉という新しい役割は、そのライターにとって〈やってきた偶然〉です。

さてこの〈やってきた偶然〉は、そのライターにとって、与えられた役割であり、こなすべき仕事なのでしょうか。それとも新しい未来のわたしへの想像力を触発する触媒としての〈機会〉なのでしょうか。このふたつを分けるのは、はたして何でしょうか。後の回に続きます。

エフェクチュエーションの全体地図

図表15.1 エフェクチュエーションの全体地図

それではこの全体地図を具体的な状況にあてはめて、エフェクチュエーションを実行するとは何かについて検討を続けたいと思います。こたつ記事ライターのエフェクチュエーション、まだまだ続きます。またお会いできれば幸いです。



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