教育と命について

これは当YANAGIHARAボクシングジム最高顧問であり、大阪帝拳ジム世界チャンピオンであった、辰吉丈一郎氏を世界チャンピオンへと導いた、エディタウンゼント賞受賞者、島田信行トレーナーとWBAバンタム級・IBF世界フェザー級世界チャンピオン、ジョニータピアのアメリカでのツーショットである。

ここからは長文かつ、アメリカ特有の悲惨な事件やNGワードに近い言葉も混ざるので、お子様に見せる時は保護者の方がご一読した後、ご判断頂きたい。

島田トレーナーとタピアの下に映る写真は、僕とその教え子。
YANAGIHARAジム所属の、当時は中学２年生であるユウヤ。

後にジュニアチャンピオンリーグの日本チャンピオンになった。
何故、これ等の写真を混在させたか説明するのでまあ読んでくれ。

入会当時のユウヤは最悪だった。
教えた通りやらず練習中は喋る。何度叱っても真面目にやらない。叱るとブーたれる。

だからYANAGIHARAジムに入る前のジムから通算して５年位だろうか。ずっとジュニアチャンピオンリーグで、西部日本の代表すらなれなかった。

これはあくまでユウヤの入会当時の話だが、ユウヤだけではない。
僕はYANAGIHARAジムにいる子には、同じような長所や短所があるので、皆平等に悪い所を躾け続ける。

あとはこちらの態度をこの子等がどう受け止め、どう解釈し、どう実行するかだけ。当然、変わるも変わらないも自分次第。

ユウヤの場合、試合の対戦相手が名前の通った選手の場合、その名前を聞いた時点で自分に負け、試合も負けるという傾向があった。

その後、僕はずっとポジティブな考えを問い続けた。そして忘れもしない、一昨年の7月。
いきなりユウヤは覚醒。ポジティブな思考になり、お陰様で難なく2年で全日本チャンピオンになった。

その試合後、令和初のプロアマ全国対決が行われ、選考の上並み居る多くのジュニアチャンピオンの中、プロの代表に選ばれた。

ここで話は大きく変わるが、ここまで読んだならまあ読め（笑）。

島田トレーナーと一緒に写ってるこのジョニー・タピアという世界チャンピオン。
タピアは確か僕と、ほぼ同じくらいの歳かと記憶する。

タピアが現役当時の僕は、マイク・タイソン、リカルド・ロペス、ジェラルド・マクラレン、フェリックス・トリニダード、ナジーム・ハメド、ロイ・ジョーンズ。
こういった選手が好きだった。彼等の共通点は殆どの試合で倒しに行き、実際パンチがあるのでほとんどの試合で倒していた所。

しかし、上記のチャンピオンの他に、実はこのジョニー・タピアが大好きで、いつもタピアの試合が待ち遠しかった記憶がある。

タピアと上記チャンピオンの間には、大きな違いが一つだけある。

それはマイクタイソン等のような、一発のパンチの破壊力がない。
手打ち気味だが速射砲の様なパンチを雨あられのように打ち、そこには打ち終わりがなく、時に対戦相手とリング上で喧嘩をする。

しかし試合が終わると、喧嘩をした相手と必ずハグをする、という観ていて面白いショーマンシップの優れた選手であった
怒ってないのに怒ったふりをして、視聴者を楽しませるチャンピオンと当時は思っていた。

しかし以前、とある記事を読みタピアが死んだと知り、愕然としたとともに、タピアの出自や生い立ちが公表された。

以下、タピアの略歴中、初めて知る事をピックアップする。

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タピアは父親の顔を知らない。母親が彼を身籠った頃に、殺害されているからだ。そして、８歳の時、最愛の母バージニアも突然彼の前から姿を消している。
その日、タピア少年は胸騒ぎがしたという。これから外出するという母親に向かって、何度も「今日は行かないで、僕の傍にいて」と言った。「すぐに戻るわよ」と愛息を抱きしめる母は、棒タイプのチョコレートを手渡して、家を出た。
日々の生活と育児に追われる母は、週末の度に踊りに行った。それが、彼女の休息だったのだ。バージニアはタピアを両親に預け、いつものように車で外出した。それが、後のチャンピオンと母親の最後のコミュニケーションとなる。
その夜、タピアは２人の男が乗ったピックアップトラックに鎖で繋がれた母が「助けて！」と叫ぶのを目にした――。彼は飛び起きると祖父の部屋に駆け込み、「起きて、起きて！　ママが大変だよ」と救いを求めたが、「悪夢を見たんだ。早く部屋に戻りなさい」と取り合ってもらえなかった。
「幻だったのか、俺は夢を見たのか？」
数十年が経過してからも、タピアはこの夜を振り返る。数日後、バージニアは遺体で発見された。アイスピックで体内の２６箇所を刺された傷があった。さらには、レイプされた痕跡もあった。
８歳のタピアは目の前の現実を受け止めて生きるが、言葉で表現するほど生易しいものではない。
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