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2019年11月の記事一覧
創作「さよなら、人類」
11月24日に行われた文学フリマで販売した「無駄 vol.1」から、兼藤伊太郎による創作「さよなら、人類」をどうぞ。
男は目を覚ました。目を覚ました男にわかったのは、自分が自分であるということだけだった。自分は自分である。他人ではない。それは確かだ。しかし、男にわかったのはそれだけだった。男は自分が何者であるのかはわからなかった。どこの誰なのか、一切合切の記憶がなかった。
男は周囲を見回した。真
11月24日に行われた文学フリマで販売した「無駄 vol.1」から、兼藤伊太郎による創作「さよなら、人類」をどうぞ。
男は目を覚ました。目を覚ました男にわかったのは、自分が自分であるということだけだった。自分は自分である。他人ではない。それは確かだ。しかし、男にわかったのはそれだけだった。男は自分が何者であるのかはわからなかった。どこの誰なのか、一切合切の記憶がなかった。
男は周囲を見回した。真