見出し画像

世界のトマト事情🍅(生産編)

むぅちゃんはトマトが大好きです。
どのくらい好きかというと、保育園にも入らない年頃、眠れないときは母親を起こして「トマトスパゲティを作って~」とおねだりしたほど👀

個人的にも大好きなトマトですが、いったいどのように作られ、どのように消費されているのでしょうか?
今回は、世界のトマト生産量ランキング・消費量ランキングを見ながら、世界のトマト事情をお勉強していけたらと考えています。
このノートは生産編なので、世界のトマト生産量ランキングを見ます!
読者のみなさんも、ぜひ一緒にトマトに詳しくなりましょう😊


世界のトマト生産量ランキング

2021年におけるFAOSTATのトマト生産量に関する統計結果を見ると、トマト生産量世界第1位は中国であることが分かりました。
第10位までのランキングはご覧の通りです。

FAOSTATデータベースより品目「Tomatoes」における2021年生産量(t)の上位10か国を抜粋

このランキングを見たむぅちゃんの反応👇
「「「え、イタリアが1位じゃないの…?」」」

むぅちゃんはかねてよりトマトといえばイタリアというイメージを持っていました。現に、カ〇ディでトマト缶を買うときなど、決まって「イタリア産」と書いているイメージです👀
一方、イタリアのトマト生産量は中国の10分の1程度となっています。

では、なぜ中国が生産量1位になっているのでしょうか。

どうして中国でトマトが生産されているの?

①気候条件がトマト栽培に適しているから

実は、中国でトマトが栽培されている地域は、新疆ウイグル自治区・内モンゴル自治区・甘粛省などの地域に集中しています。
この図は2015年時点でのものなので少し古いデータになりますが、特に新彊ウイグル自治区が生産量の75%程度を担っていることがわかります。

独立行政法人農畜産業振興機構「海外情報(野菜情報 2015年4月号『 中国産トマト加工品の製造および輸入動向』」より

新疆ウイグル自治区は砂漠気候であり、日照時間が長く、乾燥しています。
このため、病原虫等の発生が抑えられ、トマト栽培に適している気候条件となっているのです。

②トマトの需要が高まり、競合作物の需要が低下しているから

現在、新彊ウイグル自治区のトマト生産は綿花と並ぶ重要産業となっています。
近年は競合作物である綿花価格が下落トレンドにあり、また、海外からのトマトペーストの需要が上昇している状況です。
そのため、新疆ウイグル自治区では一層トマト生産が盛んに進められています。

③トマト生産の機械化が進んでいるから

新疆ウイグル自治区では、トマト生産の機械化が進められています。
2022年トマトニュースカンファレンスにおける中国商工会議所の発表では「中国では植栽機械と収穫機械の使用が大幅に増加しており、 トマトの植栽・収穫は100%機械化されている」とのことでした。
少ない労働力でより多くのトマト生産ができるようになっているんですね。

「人民網日本語版(2023年8月24日)『豊作迎えた加工用トマト 新疆博湖県』」より

中国のトマト生産に関連する論点・問題点

①トマト生産・加工のためにウイグル民族を強制労働させているらしい

中国でトマト生産の多くを担っている新彊ウイグル自治区ですが、現在ウイグル民族への弾圧が問題視されています。
ウイグル民族とはトルコ系の少数民族であり、そのほとんどがイスラム教徒です。
中国は、中国共産党の一党独裁体制となっており、中国国民には共産党の意向に従ってほしいと考えています。
一方、イスラム教徒はアッラーの教えに従うので、中国からしてみれば共産党への忠誠心がないのではないか、いつか国家転覆を図るのではないか…という考えになり、弾圧の対象になるのです。
中国はこれまでにウイグル民族を強制収容所に入れ、強制労働させる
2021年1月時点で、アメリカは強制労働の情報があるとして新疆ウイグル自治区で生産された綿製品とトマト製品の輸入を禁止することを発表しています。
日本でも、カゴメが新彊ウイグル自治区で生産されたトマトペーストの輸入を取り止めているようです。

②トマト加工品の産地ロンダリングが横行しているらしい

巷でよく見かけるイタリア産のトマト缶ですが、実はトマトそのものがイタリア産であるとは限らないようです。
この背景には、産地ロンダリングの問題があります。
産地ロンダリングしたいイタリアのトマト加工メーカーは、中国から「三倍濃縮」のトマトを輸入します。
その後、イタリアで「二倍濃縮」に再加工して、「イタリア産トマト缶」というラベルを貼って売り出すのです。
中国から船便で運ばれる濃縮トマトは原価・輸送コストが安いので、イタリア国内で作るよりも安価に原料を仕入れることができるんですね。
さらに、このような手続きを経た「イタリア産トマト缶」は関税の免除すら行われるようなので、イタリアとしては随分と経済的におトクなのです。
なお、イタリアでは、アグロマフィア(農業マフィア)がトマト加工品の流通にも関与していると見られており、問題視されています。

トマトから世界が見えてきた

いかがでしたでしょうか。
日頃食べているトマトを通じて世界のさまざまな社会事情を覗くことができて、むぅちゃんはとても面白かったです!
このノートをきっかけに、読者のみなさんも自分の食べているものの背景に興味を持ってもらえたら嬉しいです😊
また、気になる方は後日アップされる「消費編」も読んでみてくださいね🍅

出典・参考資料


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?