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【旅日記】有名な「別府地獄めぐり」はまるで夢の中みたいな色彩だった

前回のあらすじ:徒歩で本州から九州に渡ってきた

今回は別府旅行のレポです。「地獄めぐりっていうのがあるらしい」くらいのふわふわ知識で行ってみたところ、何だこれは〜!?という驚きの連続でした。


別府駅に到着

青いソニックに乗って博多から別府へとやって来た。
この間めでたく還暦を迎えた叔母との2人旅である。

別府駅前ではなんとも珍妙な像がお出迎え!
王将を掲げているということは、棋士だろうか!?
この別府の地に生まれてかつて活躍した名人とかが像になってるのだろうか……!?

小鬼みたいなの連れてる…

……と思ったら全然違った。油屋熊八という、別府の地の観光を築いた大事業家の像が、この土日に別府で開催される藤井聡太名人vs豊島将之九段の名人戦に合わせ将棋仕様になっていたのである。この盛り上がりようではいつか藤井聡太さんの像も立つかもしれない。

お昼ごはん 大分名物りゅうきゅう丼

別府駅からはバスで「鉄輪(かんなわ)」まで。
町中から香る硫黄の匂いにテンションが上がる。
昼食をかなり悩んだ末、「伊藤商店」さんという居酒屋のランチをチョイス。結果、大大大正解であった。
叔母の頼んだ海鮮丼は超絶品!

わたしは大分の料理だという「りゅうきゅう丼」にした。この料理は刺身の漬け丼なのだが、甘いゴマだれでめちゃくちゃ好きな味。

「りゅうきゅう丼」の定食

しかも定食には、これまた大分のご当地グルメだというとり天が付いてくるのである!(写真右上)
柔らかくてさくさくで、すごく美味しかった……!

①白池地獄

お腹も満たされたところでいよいよ「地獄」をめぐる。
ここから紹介する順序は公式に推奨される順番ではなく(多分)、わたしたちの行った順ということになります。

記念すべき第一の地獄は「白池地獄」。和風のお城みたいな昭和感溢れる建物から入場。ここで全部の地獄を回れるセット券を買う。

さて、地獄の風景やいかに。一見普通の庭園だが……いや……なんか、熱い……!?沸いてる!!!薄緑の池が沸いてる!!!!

白い池が地獄のように沸いてる…

生まれて初めてのものを見ると、謎の無力感をおぼえる。だって普通の池っぽいところに熱湯が入ってて、しかも入浴剤入れたみたいに濁ってるんだもん。なんか変だ。すごく変だ。

白池地獄の奥では、なんと地獄の熱を利用して熱帯魚が飼育されていた。まさか水族館があるとは…。

キモかわいい

バカデカくて不気味な見た目の熱帯魚たちが、古びた水槽の中を大量に泳いでいる。……これは楽しい!!

いい味出してる水槽

こんな質感の説明板が現役で掲示されていてたまらない。これだよ、観光地に求める感じ……!これこれ!!

②鬼山地獄

続いて歩いてすぐのところにある(というか最後の2箇所以外全部ほぼ隣接していた)、鬼山地獄にやってきた。

ここはどんな色の地獄なのかな〜と思ったら、なんと、めちゃくちゃ澄んだ地獄だった!

99.1℃あるらしい

比べるのは申し訳ないけどさっきの白池地獄より「沸き感」が半端ない。「ここに落ちたら死ぬ」という直観と、猛烈な湯気。これ真夏に来たら文字通りすぎる地獄なんだろうな……。

そしてこの鬼山地獄の目玉は、ワニである。

……大量の、ワニである。(なんで!?!?!?)

こんな感じの飼育場
大量のワニ
大量の動かないワニ

ワニは夜行性だし体力温存するためにもあんまり動かないらしい。ぽて〜(:3_ヽ)_と横になって日向ぼっこしてるワニたちを見てると、人間もこれくらいでいいじゃんと思った。ご飯の時だけ動いて、あとはぽて〜っとしていたい。

③かまど地獄

続いてはかまど地獄。ここまで来ると次は何の動物がいるのだろうと期待してしまう。(動物はいませんでした)

しいて言うと鬼がいた

この地獄は幾つものエリアに分かれており、順路に沿って進むことになる。テーマパーク感というか、エンターテインメント性が高い感じだった。

地獄の「一丁目」

粘り気があってボコッボコッと温泉が沸いている。
「地獄」っぽさで言えば暫定1位である。

子どもの描く絵じゃないんだから

個人的にはこの「三丁目」が好きだった。鮮やかな青すぎて、現実にはありえない光景に脳がバグる。ここは夢の中か?今フィクションの中にいる?

これは飲むしかない!

「飲む温泉」まであって、大喜びで紙コップ半分くらい汲んでごくごく飲んでしまった。「少量にしておけ」という張り紙には後から気づいた……。ちょっと塩味があって美味しかったです。

足湯大好き!

足湯コーナーもあったので入ってみた。足湯、老若男女関係なく平和な雰囲気で楽しめる感じが大好きだ。地獄めぐりはストッキングでは来ないほうがいいですね!

④海地獄

海地獄の前に着いた時点で、あまりの暑さと疲労で心が折れそうになったため、カフェでかぼすソフトクリームを食べた。酸味があって美味しい。

さて、海地獄である。ここまで1つとしてネタ被り(?)してる地獄が無いのですごいと思う。各地獄の職員さんの努力もあると思うけど、単純に色んな沸き方してる温泉のほうも凄い。

入場すると、庭園のようになっていて、池がある。
色とりどりの「熱帯性睡蓮」が花を咲かせている。
……極楽……………………………………?

極彩色のモネじゃん

その先には綺麗で広い土産物屋があり、楽しかった。温泉の成分を凝縮した粉を買った。これで自宅でも温泉が楽しめるぜ!

綺麗な水色だ

土産物屋の2階から地獄を眺める。鳥居があるので地獄というよりは高天原の神様専用温泉みたいに見える。

敷地内には「地獄噴気利用温室」なるものまであり、さっき見た熱帯性睡蓮が花を咲かせていた。濃い紫、ピンク、黄色……。間近で見るとますます不気味な非現実感に襲われる。極楽の彩色担当の人が手がけた感じ。

日本じゃないみたいだ

⑤鬼石坊主地獄

海地獄を出ると、「もうおなかいっぱいだよ」みたいな気分になってくる。さて次はどんな驚きで我々を迎えてくれるのだろうか……と些かげんなりしながら門をくぐると、鬼石坊主地獄は思いのほかこじんまりとして軽めの地獄だった!(軽めの地獄とは)

美意識を感じる地獄だ

さて、残すところは「血の池地獄」と「龍巻地獄」なのだが、この2箇所は少し離れたところに位置するためバスに乗って向かう。

⑥血の池地獄

おどろおどろしい名前の血の池地獄は、文字通り血のように真っ赤な池だ。そして大きい。全ての地獄の中で最も視覚的インパクトがあり、「地獄」っぽいのは間違いなくここだろう。

この非現実感にも慣れてしまった

この光景を見ながら、「なぜ我々は地獄を全部めぐらなくてはならないのか」を考えていた。一応各所でスタンプは押しているが、全部集めて記念品が貰える訳でもない。なのに、なぜか惰性でここまで来てしまった、と…

要するに疲れていたのである。池に熱湯が張り、現実にはありえない(と思っていた)色に染まっている光景にも慣れてしまっていた。人間は慣れる生き物だ。たとえそこが地獄であっても。

何が熱血だよ……(疲)

⑦龍巻地獄

ああやっと旅館に帰れる……だなんて思いながら最後の地獄へと入場。そして別府の真価を見ることになる。

龍巻地獄にあるのは、これだけ。

ここの地獄は他と何もかも違っていた。
天然の間欠泉というもので、一定の間隔(30〜40分)で6分〜10分間噴出するという。

間欠泉の周りには石階段があり人々は噴出の瞬間を目撃するために座って今か今かと待っている。まるで彼らの視線の先には伝統芸能ショーでも行われるかのような雰囲気だが、あるのは泉である。

わたしたちも座って待つことにする。今まで色々なショーを見てきたが、「噴出」のショーは初めてだ。

うわーっ!!すげーっ!!!

凄すぎて愕然としてしまう。この勢いが、30分間隔で……!?一切の人力を介さずに起こっている……!?

自然ってすごい

写真では分かりづらいかもしれないが、かなりの規模である。迫力がすごい。噴出を見届けると人々はそそくさと地獄を後にしてしまう。わたしはこの間欠泉なるものを見たことで別府の真価に触れたような気持ちになっていた。

「地獄」という命名は言い得て妙だなと思う。
人が落ちたら即死してしまうほどの危険な場所を、観光地として整備することで人が楽しめる場所へと生まれ変わらせている。更には地熱を利用して熱帯の動植物を育てちゃうという自由な発想。

この間欠泉なんて、地球の大きな胎動に任せているだけではないか。この泉が沸き続ける限り、人々は入場料数百円を払い続ける。ここにマンションか何かを建てるために泉を埋めようとしたらものすごいお金がかかるだろう(そんなこと出来るのか分からないけど)。

すごいぞ、別府。来てよかった、別府。
他のどんな土地とも違う、ここでしか見れない光景を沢山見ることができた。わたしの中にあった「観光」の枠を壊して楽しませてくれた気がする。

そうして地獄めぐりに大満足したわたしたちは、温泉旅館に戻ってゆっくり温泉に浸かり、美味しいご飯を沢山食べてぐっすりと眠りました。

次回は絶景と話題の別府ロープウェイに乗ったけどめちゃくちゃ曇ってたよ!という記事を書きます。

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