ペットシッターの仕事と立ちはだかる壁
専門学生の時にM先生にいただいたアドバイスを基に、私はまず「ペットシッター」になって、日本の犬や猫が各家庭でどんな風に飼われているかをリサーチすることにしました。
ペットシッターのお仕事
「ペットシッター」とはベビーシッターのペット版で、基本的にはホテルや病院に預けられなかったり、自宅外でストレスが大きくかかる犬や猫の為に、お留守番している家に行って一通りのお世話(ご飯、お散歩、掃除、その他飼い主様のご要望にお応えしたサービス)を行なう人の事を言います。
資格がなくてもできますが、やはり雇ってもらう際に資格は分かりやすい目安となりますし、何よりも、お客様に信用される資格があると、別のお客様のご紹介や、長いお付き合いにも繋がっていきます。
私は訓練所での経験や、専門学校での犬や猫の病気や訓練の勉強、犬や猫の種類やその特徴などをしっかりと勉強していたので難なく面接を通り、九州で初めてペットシッターを始めた会社で在学中から仕事をする事となりました。固定給はなく、働いた分の歩合で、稼いだ分から数十パーセント分を会社に支払う仕組みでした。
最初の数回はオーナーの常連のお客様から同行させていただき、徐々にそのお客様を一人で行けるようにし、最終的には自分1人で回れるようにトレーニングをしていただきました。
サービス受注の流れとしては、「電話やメールでの問い合わせ」→「飼い主様との面談&カルテづくり」→「シッティング」→(「鍵の返却はポストに投函する場合と、直接お返しする場合の2通りあり。」)となります。
お世話する犬や猫が大歓迎!
「ペットシッター」が行なうサービスは、どれも犬や猫を喜ばせるものばかり。
犬だとほぼ間違いなくお散歩。
お散歩をきらいなわんこはほぼいません。(笑)大抵のわんこは大喜びで私の到着を待ち、あまりに嬉し過ぎて飛び跳ねまくって私に頭突きをかますラブラドール(←本気でいたい)や、興奮しすぎてその場でぐるぐる回り続けるボーダーコリーなんかもいました。大型犬のブンブン振る尻尾は考えようによっちゃー凶器です。(笑)
でも私のお客様で1匹だけ、小さな小さなチワワの女の子がいて、このこはお散歩が大きらいだったために、お客様のご要望通り途中まで抱っこして連れて行き、帰り道は歩くのでその分をお散歩というわんこもいました。
そういう小さな子から、超大型犬までおり、だいたい小型犬は20分、中型犬は30分、大型犬は40分お散歩させます。もちろん長さはお客様のご要望によって変更され、時折広いお庭のある家であれば、外に話してボール遊びをするなんてオーダーもあります。
私は小さいころからずっと大型犬を買いたかったのですが、ペットシッターをしてからというもの、大型犬を買う場合は自分が広い庭のある一軒家に住むようになってからと夢のイメージが変わりました。(笑)散歩がとにかく大変だからです。
お散歩中に一番気を付けなくてはならないのは、わんこを逃がしてしまうこと。あとは人や車にぶつかる事故などです。最大限に気を張り、通りすがる犬や猫、車やバイクの動向などに注意をはらい、かなり集中してお散歩するので結構つかれます。
そしてお散歩が終わればお楽しみのご飯タイム♪これもきらいな犬や猫はいませんね。(笑)
大型犬だと瞬殺でなくなるのですぐに食器が洗えます。(笑)猫ちゃんの場合は、全部食べ切ることは少ないので、残っているご飯の感じと、最初に出した時の様子をお客様に毎回提出するレポートに書き込んで報告。食欲はあるか、変な食べ方をしていないか、食事中も注意深く観察します。
その後は打ち合わせでお伺いしたペットの喜ぶことをして遊びます。
遊びたがることは遊び、その時間で距離をどんどん縮めるんです。
ご飯を食べた後に急激な運動をするともどしたり、体調を崩すこもいるので、そういう場合はブラッシングなどでゆっくりと一緒の時間を過ごすことも。
そして、その日の様子を全てレポートに記し、お仕事終了!
長い子になると、1週間とかお世話をしたりもするので、通う度にどんどん仲良くなっていきます。私は愛車のカブで移動できる範囲で仕事に行っていましたが、もちろん晴れの日ばかりではありません。その場合は移動中も雨、散歩中も雨で濡れっぱなしです。。
でも、玄関を開けた時に笑顔で尻尾を振りながら迎えてくれるこ達が待っていてくれていると思うとがんばれました。
犬の場合は大抵仲良くなれますが、猫の中には、全く出てきてくれない子もいるんです。そういう場合は、トイレのチェックや、ご飯のチェックを行ない、逆に無理やり接してストレスをかけないように、構い過ぎないようにします。でも最初は出てきてくれなかったこが、少しずつ慣れてくれたこともありましたよ。
普通のお客様は大抵朝と夕の2回のシッティングになる事が多いのですが、時折仔犬のお世話が入ったり、中には贅沢にもおやつの時間にも足を運んでくださいというお客様からの要望があったりで、日に3回家に通う事もありました。
基本的には旅行中などはお客様に旅行を楽しんでいただく為に、何か特別なことが起こらない限り連絡はしないのですが、私は打ち合わせの時に、ご希望いただいた方に限り、その日の様子を簡単にメールで送ったり、写真を送ったりしていました。まだまだ携帯がスマホでない時代ですけどね。(笑)
珍しいお客様ではうさぎちゃんもいましたよ。可愛かったですが、犬や猫のようにどうやったら喜んで遊んでくれるかがわからず、日々試行錯誤していました。(笑)
安定的な収入が得られなかった「ペットシッター」の仕事
「ペットシッター」の仕事は大好きな犬や猫と触れ合え、とても楽しめる仕事でした。しかし、当時「ペットシッター」を利用していただいていたのは、ご旅行や、入院や、お盆&年末年始などの、非日常的なタイミングで利用される方がほとんど。毎週決まって依頼をいただくアナウンサーのお客様もいらっしゃいましたが、そういう方は稀でした。
毎日仕事がある訳でもないので収入は安定せず、家に満足にお金も入れられない状態。。これが本当にいやでした。
そこで学校を卒業してからは、安定的な収入を確保する為に朝の6時まで営業する焼肉屋さんで夜の11時から朝の6時まで働き、朝のシッティングの仕事に行って就寝。そして夕方のシッティングに行って焼き肉屋のバイトという昼と夜が真逆になった生活を続けていました。
シッティングは急に仕事の予約が入ったり、昼間に仕事が全く入らないという訳でもなかったので、昼間のバイトが入れられなかった為です。
しかし、その様な生活を続けていると、やはり仕事の最中に眠くなったり、注意力が散漫になったりするので、これは危険で、更に仕事にも良くないと感じ、働いていた先のオーナーにある一つの提案をする事にしました。それは、今働いているペットシッターがその仕事で充分な収入が得られるようにする仕組みです。
新しい仕組み創りの提案
まず地域のペットシッターの誰もが登録しているペットのシッティングに行けるようにカルテを共有できるシステムを作り連携。1人のシッターが朝と夕に行ける件数は行けても2-3件なので、仕事が入り過ぎても消化できない為助け合う必要があるからです。その後旅行会社と提携をして、お客様を定期的に送客してもらう仕組みを創ってはどうかというものでした。
しかし、オーナーに言われたのは「私はビジネスを広げるつもりはなく、今の常連さんをしっかりと相手にしたいから、あなたがそれをやりたいなら独立して。」との答えでした。あとになって知ったのは、オーナーは他のペットシッターと交流がなく、その仕組みそのものの実現が不可能だったのだそうです。
ペット業界には横の繋がりや、人同士の繋がりを好まない方が意外に多く、人と上手く接する事ができないので動物業界を選んでいるという人も確かにいらっしゃいました。その仕組みにも、ペット業界の闇の部分が関係あるのではと思い悩むことに。
どうやったら”捨て犬や捨て猫のいない世の中になる”為の活動を行なうことのできる仕事ができ、日本のペット業界の現状を知った上で海外に行くことができるのか。。それまで順調に進んでいた進路選択や仕事選びに暗雲が立ち込めだしました。
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