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子供もいないし働いていないという傍流

30代は私にとって『迷い』の時代だ。

子供を産み育てるのか
どんな仕事がしたいのか
自分はどう生きたいのか

20代は『頑張れば報われる』と思って生きていた時代で、それが30代になるころからギシギシと軋み始めた。

不妊治療を始めたころは年齢的には恵まれていたため、すぐに子供を授かるだろうと思っていたし、医者からも「若いから有利です」とも言われていた。
でも、頑張っても授からず、世の中には自分の努力だけで何とかならないこともあると知ることができた。

不妊治療のためではないが、ちょうど仕事も辞めていたので、この先どうしようと考えた。
昔から専業主婦には抵抗があったので、働かなくちゃ!と思ったが、私の体がそれを嫌がって抵抗した。いろいろ不調が出てきてしまったのだ。
なのでしばらく短期でポツポツ新しい仕事に挑戦しつつ、専業主婦になってみた。

自分がダメだと思う方に流れた経験がほぼ無かった私が、流れで専業主婦になってみると、これが私にはとても良いものだった。

夫はずっと、私が働いても主婦になってもいいというスタンスだったが、私は自分が専業主婦になることを許せなかった。
なぜ許せなかったのか・・・。はて?
よくよく考えてみると、「専業主婦にならない」は自分がした判断ではなかったのではないか…という気がしてきた。

子供のころから母に「女も働いて経済的自立をしないといけない」と言われて育ったことと、そのために大学まで教育を受けてきたこと、また社会的にも「働く女性」が推進されてきた影響を受けていたからだと思う。そうじゃない生き方はまともじゃないんだと思い込んでいた。
いわゆる洗脳ってやつに近いのでは・・・。

子供を育てない方向に人生の舵を切ってみたら、違う世界が見えてきた。
今まで自分が努力していた方向は、全部『自分ではない誰かが指し示す』方向だったことに気づいた。

確かに、歴史的に見れば女性が家庭に縛られて、経済的に自立できなかった時代があり、それを改善するために多くの人が尽力してきたことは知っている。そして経済的自立は個人の幸福度を上げるだろう。

でもそれは、あくまでも歴史的、統計的な話であり、現状の私個人にあてはまらなくてもなんら不思議ではない。例外だって存在するのだ。

専業主婦を経験したら自分に合っているかもしれないなんて。
実は子供を育てない方が自分に合っているかもしれないなんて。
今まで考えたことも無かった。
でも、そういう状況に身を置いてみて思ったのが、私にはこういうのんびりした生活の方が合っているということだった。

もちろんそう思えるまでには時間がかかった。
何せ30年近く洗脳されていた思想だったので、最初はこの状況に対する自己否定がすごかった。
何だか自分の人生を無駄にしているみたいで。
キャリアを積んでいる人や、子育てをしている友達と自分を比べたりして、「自分は無価値なのでは・・・」なんて思ったりもしていた。

今は自分の人生を気に入っている。
自分の中に新しい価値観ができて、それが私のオリジナルだと思えるから。
世の主流に乗らず、自分の気持ちに沿って生きることができるのは本当に嬉しいことだと思う。そして、それは誰かに批判されるようなものでもない。

人生にはいろんな山と谷がある。
今が専業主婦でも、この先はキャリアウーマンかもしれない。
今がキャリアウーマンでも、この先は尼さんかもしれない。
今が尼さんでも、この先は大勢の子供のお母さんかもしれない。
流れ流れて流れることを楽しめるのは、時として流されず留まることより強い。


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