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私の原点は、宇宙戦艦ヤマト!?

前回の「心が震えた名曲10選(アニメ編)」で、宇宙戦艦ヤマトの劇中歌の紹介を考えていたときのこと。
 
ふと、私がこれまで書き連ねてきたことを振り返ると、宇宙、海洋、南極、地球環境、国際情勢、外交、防衛など、やや壮大なテーマに関心が強く、艦船や航空機などの大きな乗り物が好きで、正義とか潔さとか古臭いものにこだわっていて、ひょっとしたら「宇宙戦艦ヤマトが自分の原点かも!?」と思ったので、このようなタイトルにしました。
 
という訳で、今回は私の原点かもしれない !?  宇宙戦艦ヤマトの創生とその魅力についてご紹介したいと思います。
 
1 当時は斬新なアニメだった
『無限に広がる大宇宙。静寂な光に満ちた世界。死んでいく星もあれば、生まれてくる星もある。そうだ宇宙は生きているのだ。時に西暦2199年、地球は今、最後の時を迎えようとしていた・・・』
 
木村幌さんの渋めのナレーションで始まり、地球に遊星爆弾が落ちゆく中、川島和子さんの澄み切った声でスキャットが流れる・・・

1960~70年代生まれの多くの方が知っているであろう、宇宙戦艦ヤマトの印象的なオープニングのシーンです。
 
それは、未知の大宇宙を舞台に繰り広げる冒険と友情や恋愛など、あの頃の子供たちを夢中にさせる全ての要素が詰め込まれた、斬新なアニメだったのです。
 
2 宇宙アニメブームの先駆け
宇宙戦艦ヤマトは、1974年に放送されたテレビアニメです(来年で50周年♪)。
 
当初は、同時間帯に放送されていた「猿の惑星」や「アルプスの少女ハイジ」などの影響もあって視聴率が低迷したようですが、翌年の再放送で改めて注目され、1977年の映画公開までには社会現象とも言える大ブームとなりました。
 
当時、類を見ない宇宙アニメで、大人をも虜にし、その後の銀河鉄道999、機動戦士ガンダム、超時空要塞マクロスなど、宇宙アニメブームの先駆けとなったのです。

20世紀後半にブームを呼んだ宇宙アニメ

3 宇宙戦艦ヤマトはこうして生まれた
宇宙戦艦ヤマトは、小説や漫画からアニメ化されたものではありませんでした。
 
「宇宙を舞台としたアニメをやりたい」と最初に言い出したのは、プロデューサーの西崎義展(にしざきよしのぶ)。
 
その依頼を受けたSF作家・豊田有恒(とよたありつね)が、西遊記をベースに宇宙旅行に仕立て上げ、遠くの星に人類を救う放射能除去装置を取りに行く「アステロイド6(シックス)」という原作を作り、漫画家・松本零士(まつもとれいじ)が「その宇宙船には、戦艦大和を使おう」と言った。

左から、西崎義展・豊田有恒・松本零士

かくして、戦後日本、高度経済成長と環境汚染、原子力開発、アポロ月面着陸、核戦争の恐怖、ノストラダムス大予言など、あの当時の世相にも影響を受けながら、
 
『放射能に汚染され滅亡の危機に瀕した地球を救うため、宇宙戦艦に改造されたかつての戦艦大和が、14万8千光年の彼方、マゼラン雲にある惑星イスカンダルに向けて旅立つ』
  
という斬新なストーリーが出来上がった。
 
特に、衝撃的だったのが、毎回、終盤に表れる「地球滅亡まで○○日」というテロップ。子供心に「果たして、ヤマトは地球が亡びる前に帰還できるのか」と、毎週のように釘付けにされたものです。

4 西崎義展という人物
一般に、宇宙戦艦ヤマトは松本零士の作品のように思われがちですが、実はそうではありません。
 
初回のストーリー原作を手掛けた豊田氏によれば、西崎義展は段々と怪物化し、シリーズが進むにつれ次第に謙虚さを失い、まるで自分だけの作品のように扱い始めたという。

初期の3部作

~ シリーズ作品のラインナップ ~
1974年 宇宙戦艦ヤマト
1977年 さらば宇宙戦艦ヤマト
1978年 宇宙戦艦ヤマト2
1979年 宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち
1980年 宇宙戦艦ヤマトIII
1980年 ヤマトよ永遠に
1983年 宇宙戦艦ヤマト 完結編
2009年 宇宙戦艦ヤマト 復活編
 
また、私生活も段々と派手になっていったようで、特に完結編と復活編の間(1990〜2000年代)は、覚醒剤取締法違反や銃刀法違反で逮捕されたり、松本零士とシリーズの著作をめぐって裁判になりました(2002年3月に西崎義展が勝訴し、翌年7月に和解が成立)。
 
晩年は車椅子生活となり、2010年11月、小笠原村父島の海で、皮肉にも「YAMATO」という名のクルーザーから海に転落し死亡。
 
破天荒な人生であったが、人たらしで情熱家だった西崎義展という人物なくして、宇宙戦艦ヤマトのシリーズ化と、続く日本アニメのブームはなかったのかもしれません。

有難いことに、その後もシリーズの排出は続いていて、私は今でも少年のような心で一つ残らず鑑賞し、新作の登場をいつも心待ちにしています。
 
2010年 SPACE BATTLESHIP ヤマト (実写版)
2013年 宇宙戦艦ヤマト2199
2018年 宇宙戦艦ヤマト2202
2021年 宇宙戦艦ヤマト2205
ヤマトよ永遠に REBEL3199 (予告)

最新の作品

 宇宙戦艦ヤマトのここが好き
(1) ストーリー
細かいことを気にすれば多少のツッコミどころはありますが、全般にストーリーのスケールが壮大で、新作が出るたびに斬新なアイデアに惹き込まれていきました。
 
そもそも「将来の夢は、天文学者」という宇宙少年だった私は、夏休みの自由研究といえば、決まって宇宙船の設計図とか惑星などの断面図…。いつも苦笑いしていた教師の顔が思い出されます (^o^;
 
そして、宇宙戦艦ヤマトの再放送をいつも心待ちにしていました。
 
(2) キャラクター

ストーリーを際立たせるのがキャラクターの存在です。主人公の古代進のみならず、沖田艦長や島大介、森雪、デスラー総統など、彼らのどこまでも真面目でストイックで、正々堂々と愛と正義を語れるキャラには、いつも憧れを感じていました。
 
ヤマトを通じて、子供ながらに正義感や潔さ、愛と勇気など、そういった価値観の形成に影響を受けたような気がします。
 
(3) メカニック
メカのデザインや描写は松本零士が手掛けました。毎回、新しいタイプの宇宙戦艦や艦載機が登場し、二連三段空母や次元潜航艇などの斬新なアセットや、波動エンジン、ワープ航法などの未知のテクノロジーにいつもワクワクさせられたものです。

地球防衛軍で最大級の宇宙戦艦「アンドロメダ」

おかげで、お年玉は、たいがい宇宙戦艦のプラモ代に消えていきましたが…(^_^;
 
(4) BGMや劇中歌
そして、宇宙戦艦ヤマトといえば、やはり臨場感あふれるBGMや、情緒ゆたかな歌曲がとても素晴らしいことです(大人を虜にした要因のひとつ)。
 
~ お気に入りの楽曲ラインナップ ~
宇宙戦艦ヤマト(ささきいさお)
真赤なスカーフ(ささきいさお)
無限に広がる大宇宙(宮川泰/川島和子)
テレサよ永遠に(ささきいさお)
ヤマトより愛をこめて(沢田研二)
ヤマト!! 新たなる旅立ち(ささきいさお)
大いなる愛(宮川泰)
別離(堀江美都子)
二つの愛(桑江知子)
ヤマトよ永遠に(ささきいさお)
新銀河誕生(宮川泰)
明日に架ける虹(トランザム+桑江知子)
愛よその日まで(布施明)
ラブ・シュープリーム(八神純子)
 
特に、スペース・オペラ感を惹き立てるのは「ヤマトよ永遠に」のエンディング・テーマになった「新銀河誕生」でしょうか。

一方、愛のテーマも充実していて「大いなる愛」などは本当に美しい旋律だと思います。

6 日本人にとっての宇宙戦艦ヤマトとは
西崎義展は生前、次のように語っています。
 
「宇宙戦艦ヤマトは、本物の大和があってはじめて生まれたドラマであり、昭和20年に沖縄特攻に向かった大和がなかったら、宇宙戦艦ヤマトは生まれなかっただろう。 ・・・ 宇宙戦艦ヤマトは日本人のドラマであって、その民族意識を忘れたところでは、ヤマトはありえないものとなります。」
 
つまり、世界一の主砲を有していながら、日本を守るために殆ど活躍することができず、沖縄特攻で大海の藻屑に消えてしまった戦艦大和。
 
その船が、宇宙戦艦となって蘇り、邪悪な侵略者を次々に撃破し地球を守るその勇姿に、多くの日本人の胸の奥でくすぶる無念の思いが昇華されている。
 

ひょっとしたら、そのことが今もなお世代を超えて支持されている理由のひとつかもしれないと思いました。

宇宙戦艦に改造中の戦艦大和

おわりに
というわけで、私自身は物心ついた時から、ずっと宇宙戦艦ヤマトの世界観に浸ってきたわけですが、今の自分の価値観や考え方を顧みると「やっぱり、古代進を追っかけてるかも…」と、あらためて多感な子供時代の体験が人生観の形成に及ぼす影響について実感した次第です。
 
いつも、邪悪な侵略者と地球の間に立ちはだかって、身を挺して地球を守る宇宙戦艦ヤマトと古代進の雄姿。これからも憧れのヒーロー像を追い求め、少年の心を持つリアリストであり続けたいと思います。

「生き残るべきはヤマトではない、地球だ!」

☟ 本物の戦艦大和については、こちらへ