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第5章<成長する>リーダーが重要な職務に就く準備を成長課題によって、より速く整えることができる

1.未知のリーダーシップポテンシャル~昇進のリスクと報酬

未知数のリーダーが現在就いている上級管理職階層から2階層上に昇進させる、または人事担当役員を未経験の製品担当リーダーのポジションに就かせるリスクを考えてみよう。主要な職務での失敗はビジネスに痛手となるばかりでなく、前途有望な人材のキャリアを損なうことにもなる。一方で、成功すればその人のキャリアの素晴らしい転機となり、組織にも大きな価値を生む。


その人が適切なサクセス・プロフィールを持っているのであれば、新たな課題を乗り越えるための能力を試す価値はあるだろう。サクセス・プロフィールにはスキル(コンピテンシー)、知識、経験、個人特性などが含まれる。だが、多くの組織は経験に重きを置きすぎる。経験はひとつの仕事に一定の期間就くことでしか身につかないと考えているためである。しかし正しいサクセス・プロフィールがあれば、経験は短期間で身につけることができる。個人が、対象となる職務での成功を阻むような個人特性(特に性格的阻害要因)を持っている場合のほうが、はるかにリスクが大きい。その場合、学習者は学び、成功したいというモチベーションがあったとしても、失敗する可能性が高いだろう。

世界的な化学品会社で最近起きたことを例に挙げよう。あるビジネスユニットにおけるフランスのカントリーマネージャー候補に2人のリーダーの名前が挙がっていた。現職者は1年後に定年退職する予定で、後任者は決まっていなかった。1人目の候補者デッシュの幹部経験は限られていて、その職務に就くとすればまったく別のビジネスユニットから2階層上がることになり、文化的にもまったく違うところに飛び込むことになる。「優れたビジネス感覚を持つ」と言われているデッシュの仕事ぶりは、並みはずれていた。学ぶのが速く、フィードバックを自分から求めて受け入れ、新たな環境にもすぐに順応し、人間関係を作るのもうまい。そして、常にインタアクション・スキルを使う。

2人目の候補者イリナは、デッシュよりも幹部の経験を多く積んでいて、その職位には 1階層上がるだけで済む。別の国でこのビジネスユニットのリーダーを務めている。堅実な仕事ぶりだが、最近阻害要因と思われることが現れた。責任の範囲が広がるにつれ、以前と比べてかなり支配的になったのだ。さらに良くないことに、彼女は自分の感情を抑えるのが難しくなってきていた。怒りを爆発させたり、最後の最後で大規模なやり直しをチームに求めたりした。だが、イリナはこの問題に関するフィードバックを受け入れ、克服する気になっているように見えた。

結果はどうなったのか?ヨーロッパ担当の副社長はより大きな危険を冒す道を選び、個人特性に根差す行動パターンを克服しなければならないイリナではなく、デッシュを選んだ。だが、会社はデッシュをただ一か八かで新たな職務に就けたわけではない。まず、ヨーロッパ担当副社長は、ビジネスユニットにとって一番重要な顧客関係管理システムの改善をデッシュに取り組ませた。会社は彼をフランスに転勤させ、経験と知識を授ける非常に重要な育成目的の職務に就かせた。デッシュの仕事には下記のようなものが含まれた。

・フランスのビジネスユニットの主要リーダーやその同僚と面談したり、ともに過ごすことで、問題や課題、取り組み、人材、プロセス等について知る。
・フランスで苦戦している製品のプランド戦略を変えるための分析を支援する。
・鍵となる顧客との話し合いに参加し、顧客のニーズや関心事を理解する。
・フランスでの販売コストを削減すべく配備された販売プロセス改善チームと協力する。
・非常に成功したドイツのカントリーマネージャーに自分の経験を話して、コーチングと洞察を得る。

デッシュはさらに、新たな職務で予測される課題に直結するトレーニングにも参加した。公式学習と社内のエグゼクティブ・コーチとの取り組みによって、より高度な戦略実施方法、大きくて複雑なビジネスユニットの中での人材育成戦術、そして高度な影響を与える技術を学んだ。コーチの協力で、新たな職務に就く前にキーアクションを学んで練習し、それを最初から適用する計画を立てた。

一年経たないうちに、デッシュは間もなく率いることになるビジネスユニットについて、広い知識やスキルと洞察を得た。そのおかげで、開始当初から順調に、早い段階で高い実績を確立することができた。彼が完了した成長課題は、成功に不可欠だったことは明らかで、その後、デッシュのケースは、ハイポテンシャル・リーダーの準備度を急速に高めるためのモデルとなった。

この例では、空きポジションを埋める必要性がリーダーの高速学習の理由となったが、適切な成長課題は、待ち受けているポジションがあろうとなかろうと、スキルと知識に急速な効果をもたらす。この化学品会社が行ったような有効な学習の取り組みは、どの組織にも豊富に存在する。それらは、普段のビジネスをたいして混乱させることもなくすぐに作ることができる。短期の取り組み(1~6カ月)もあれば、長期のもの(1年あるいはそれ以上)もある。小さなリスクを伴うものもあれば、大きなリスクを伴うため、上司やメンター、コーチ、人事部門の支援をより必要とするものもある。わずかな構造化と訓練(次にわれわれが焦点を当てる)で、経営陣はさらに適切な成長課題を作り出すことができるようになり、 リーダーの経験の習得速度を飛躍的に上げられる。

2.おすすめ人材アセスメントソリューション

3.DDIとは

DDIは、世界最大手の革新的なリーダーシップ・コンサルティング企業です。1970年の設立以来、この分野の先駆者として、リーダーのアセスメントや能力開発を専門としてきました。顧客の多くは、『フォーチュン500』に名を連ねる世界有数の多国籍企業や、『働きがいのある会社ベスト100』に選ばれている世界の優良企業です。
DDIでは、組織全体におよぶリーダーの採用、昇進昇格、能力開発手法に変革をもたらす支援をすることで、すべての階層において事業戦略を理解し、実行し、困難な課題に対処できるリーダーの輩出に貢献しています。
DDIのサービスは、現地事務所や提携先を通じて、多言語で93カ国に提供されています。また、同社の研究開発投資は業界平均の2倍であり、長年にわたる実績と科学的根拠に基づいた最新の手法を駆使して、組織の課題を解決しています。

◆DDI社の4つの専門分野

DDI社は、4つの専門分野を中心に、長年の実績と科学的根拠に裏付けられたソリューションと、より深い洞察を提供し、優れた成果を生み出しています。

4.会社概要

会社名:株式会社マネジメントサービスセンター
創業:1966(昭和41)年9月
資本金:1億円
事業内容:人材開発コンサルティング・人材アセスメント

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