発達障害にとっての恋愛とは。(ASDが恋愛から卒業して。)
発達障害のある人間にとって、恋愛は薬にもなり、一方で人生を破滅させるほどのモノともなる可能性のあるものだ。
ADHDの要素が強かったりすると、恋愛は好奇心や刺激が欲しい気持ちを満たすのにピッタリなので、新しく出会った人、わかりやすく外見が魅力的な人などをすぐ好きになってしまう場合がある。
ASDの場合は、好みが一定していたり、偏っていたり、ストライクゾーンが狭い場合があるが、一方でとても素直なので、文字通りに言葉を受け取る結果、自分を褒めてくれたり好きだと言ってくる人間を結果的に受け入れたりもする。
発達障害のある人間は、甘い言葉に騙されやすいし、そのまま信じてしまう。言葉をそのまま真に受けて素直に喜んだり、物を与えてくれる人間=良い人と思ってしまったり、素直で子どもっぽい一面もあったりする。
さて、その恋愛だが、
結論から言うと、しなくても全く支障がない。
むしろ、恋愛しないことでかなり心が安定する。
恋愛をしないようにすることをすすめているわけではない。
恋愛をしなくても大丈夫だよ、と言いたいのだ。
上述したように、発達障害があると 簡単に人を信じたり、
表面的な魅力に惹かれて、中身をよく知らないままに恋愛にはまっていってしまい、結果上手くいかなかったりすることも起きる。
あるいは相手がいくら人間的に素晴らしかったりしたとしても、
逆に刺激が足りなかったり、妙なこだわりが心に引っかかって
相手は何も悪くないのに突然ブチ切れてしまってめちゃくちゃにしてしまったり
自ら問題を引き寄せてしまうような事態も発生する。
そんな発達障害人。
類は友を呼ぶ、という言葉がある。
やはり一緒にいて落ち着くな~とか、
落ち着くな~と思うのは、
相手も同じ特性、つまり発達障害の傾向があったりする場合も多い。
それなので 上手く言っているときはよいが、相手の浮気や感情の爆発により、
突然終わりを迎えてしまうこともある。
恋愛。
ADHDの人は、感情がコントロールできずに、まさに『爆発』して、暴言や暴力を振るってしまうことがある。
ASDも、『絶対にこうでなければならない』という自分ルールが強く、ものすごく些細なことでキレてしまうことがあり、安定している人から比べると未熟な部分が浮き彫りになりやすいのが恋愛だったりする。
こんなトラブルが、恋愛をしない、となったとたんにすべて解放されるのだから、それはそれは、平和に決まってる。
もちろん、刺激という点では少なくはなるが、
感情の浮き沈みが少なくなって、精神エネルギーが消費されなくなるのを実感できることだろう。
恋愛は、人づきあいの中でも、一番といっていいほど濃密に他者と関わる行為だ。
ASDの人間にとって、他人というのは、なんというか
本来遠い存在。空気というか。
表面的には確かに、関係はしているのだろうけど
本音で言えば、その人がどうなろうと自分には関係が無く、
どうでもいいという感じがして、
自分とはあまりにも違うので、種類が違う動物というか。
動物だけど、言葉が理解できる動物というか。
とにかく精神的に遠いのが標準設定。
けれども恋愛となると、もはや相手と自分の境界もよくわからなくなるばかりか、
相手のものも俺のモノ状態になり、相手のきもちを理解しようとするというよりも、自分中心が優位に来て
「どうしてわかってくれないのか」
と、コントロールできないパートナーに対して怒りや不満が募っていきやすい場合も多い。
そんなわけで、家の中では簡単にキレるものだから
相手に発達障害があると、家庭内で暴力が発生する場合がある。
モラハラやDVという形で、家庭の問題として表れてしまうことも、
悲しいかな、あるのが事実。
私の父は、典型的なASDで、外ではめちゃくちゃ真面目。
しかし家の中では母親相手にいつもキレて怒っていて、
爆発すると母を家から閉め出したり、投げ飛ばしたり、叩いたり、
引きずりまわしたり、そりゃあひどかった。
家庭内というのは、外面を気にする必要のない場所。
そのため、普段よりも瞬間的に怒りが沸点まで到達して、爆発するという事が起きる。
つまり、キレてしまう。
家=自分のこだわりも全開にしてOKな空間という認識があるため、
当人としたら、もちろん全て思い通りにしたいし、
そうでなければストレスになるのだ。
人によって、こだわりの対象がルーティンワークのような生活の流れ自体にある人もいるし、物の置き場所にある場合もある。
特定の食べ物や娯楽にある場合もある。
いずれにしても、自分一人の空間が必要だという事。
リズムも自分なりのものがあるし、プレッシャーのない環境で自分でコントロールできている感じを感じたいのだ。
色々と長くなってしまったが、
恋愛をしていると、すごくエネルギーを使う。
恋愛は、刺激の強さで言ったら
かなり強い部類に入る刺激だ。
ADHDの傾向が強かったりすると、好奇心やその刺激の強さから
恋愛の面白さ、目新しさで、夢中になってしまう。
好きなことに歯止めがかからなくなる傾向が強い発達障害の人々。
全てのエネルギーを注ぎ込んで、無理していることにも気づかないという事もある。
恋愛は、もちろん人生を楽しくする一つの大きな要素だと思う。
しかし、いまの私の年になってみると、
後悔することの方がずっと多い。
恋愛に夢中になっていなかったら、
もっと海外で仕事をしたり、
キャリアについても保守的な形はとらず、
さっさとワーホリにでもいっていたことだろう。
恋愛に投じた時間と資源がすべて虚しく感じる。
後悔先に立たずだ。
というわけで、話があちこちに行きそうになっているが
今恋愛をしなくなって、ようやく自分だけの、
ひとりの幸せをゆっくりと感じる醍醐味を味わっている。
本当の自分のペースというものが、やっとわかってきた気がする。