衝動的なADHDの私が、脳外科の患者さんから思わぬ影響を受けている。薬よりも効く何かは、いったい、何なのか。

ADHDの点数がフツウのひとより3倍高いと言われている私です。

脳外科の外来で働き始めてからというもの、
不思議な変化が起こってきた気がします。

本来　せっかちで、待つことが嫌い
時間の流れ方が独特な自分ですが、

なんだか最近、ふつうに生活していて
予定を入れないという事が罪悪感なく、
できるようになりました。

私はもともと、脅迫的に「○○しなければ」と、
自分を追い込む癖のようなものがあります。

色々やっていないと自分には価値がないと思ってしまい、
人の何倍も努力をしたり苦労をしていないと、
生きていてはいけないんだと思っている節がありました。

しかし、
最近、ぼーーーーーっとすることが
やっと
自分に許可できたような気がします。

しばらく考えても、
理由がわからなかったのですが、

「あれ？もしかして、脳外科のしごとのせい（おかげ）かな？」
と思い始めました。

脳外科に定期通院して来るのは、脳梗塞後の患者さんです。

脳梗塞や、脳出血。
それらの病気で入院したあと、家や施設に戻られて、
それから通院してきます。

認知症のかたも多いです。

あまり、せっかちに話をする人は、いません。

言語障害があり、発語が上手くできない人も
珍しくないですし、
ゆっくり話す人が多い気がします。

麻痺がある方も多いので、
杖歩行だったり、
車いすを使う方もいます。

自力で歩行できる方も勿論いて、
車の運転をしてくる方も半分くらいいます。

先生は、
患者さんがわかりやすいように、
ゆっくり、落ち着いて

あるいは、
はっきり、短く
話します。

周囲の環境を過敏に感じ取る自分。

そして、その影響が大きく体に出る自分。

知らず知らずのうちに、
それらの環境の影響を受けているのかもしれません。

片麻痺がある中、杖をつきながら帰ってゆく患者さんの後姿を見ているうちに

あるいは、

車いすで診察を待つ患者さんの前を
普通に歩いて通る自分を感じる場面でも

ふつうに生活できているということだけで

なんだか
これって、
当たり前なことじゃないんだな、

ありがたみを感じられるようになりました。

ADHD、あれもこれもしなければいけないと
降ってきたアイデアを手当たり次第やらないと
気がすまなかった自分を

少し

手放すことを知ったような気がしました。

もちろん、
頭の中には
「あれもしたい」「これもしたい」

相変わらず思考が忙しく、

ランダムに様々なアイデアが浮かんでは、
衝動のスイッチを入れようとしてきます。

しかし今の自分は、
あえてそれを実行に移さず、
保留にしています。

置いておいています。

その結果、
詰め込まない幸せというものを感じています。

ボーーーーーっとしても良いし、
スマホを眺めてマンガを読んだっていい。

気がすむまでピアノを弾き続けてもいいし、
こたつで寝てしまってもいい。

ゆっくり休む、
何もしない、
ゴロゴロする。

そんなことを罪悪感なくできることが、
こんなに平和なんて。

人から
「何もしなくたっていいんだよ」
といってもらったとしても、
心から納得は絶対にしなかったでしょう。

発達障害人は、
こだわりの強さから、

人から強制されたものや
指示されたこと、すすめられたことに対し

極端に嫌悪感を感じたり、
信じなかったりすることがあります。

なので、自分なりに納得できるというプロセスが本当に大事。
そして、それは強要されてもできるものでもない。
むしろ、放っておかれて一人になる時間が十分にあってからこそ気づけたりする。

現在わたしは、ADHD関連の内服はしていません。
ドイツから帰国して以来6か月、
内服を中断してしまっています。

フラッシュバックは起きますが、
内服せずともここまでの心の平穏を感じることができています。

薬よりも効果があること
それは、

何もしないでいい日

何の予定もない日

気ままに過ごしていい日

何をしても、許される時間

それを自分に対して許可してあげることでした。

キラキラしていなくてもいい。
SNSにあげる写真なんて撮れないような一日で、ぜんぜん　いい

私にとっての今日の幸せは、
何も予定が無くて、はやく寝ちゃってもいい、
ということです。

もちろんスマホでマンガも読みます。
ピアノはもう5時間くらいは弾きました。

映画も見ました。

お風呂は入っていません。

2枚だけ、窓を拭きました。
トイレ掃除もなんとなくやってみました。

クッキーを焼いて、
ミシンで一つ作品を作りました。

やりたいときに、やりたいことを
やりました。

発達障害でも、映えなくても、
自分の好きにできて、
平和で幸せでした。