広刈メリ|ショートショート

ショートショート書く人|ショートショートnote杯、読売広告賞、日本ブックデザインアワ…

広刈メリ|ショートショート

ショートショート書く人|ショートショートnote杯、読売広告賞、日本ブックデザインアワード入選など|小説「クドリャフカの旅立ち」自費出版にて発売中です。 https://note.com/mrkwcopy

マガジン

  • ショートショート小説「クドリャフカの旅立ち」

    昨年、自費出版しましたショートショート小説「クドリャフカの旅立ち」に掲載されている全9篇のショートショートを一気読みできるマガジンです。  紙の小説も下記のURLにて絶賛発売中です。(無くなり次第販売終了) https://suiro.theshop.jp/items/36063808 紙の小説では書き下ろしのショートショートやあとがきも掲載されています。 デバイス上でも、紙の小説上でも、ぜひショートショートをお楽しみください。

最近の記事

お久しぶりです。だいぶ投稿に日が空いてしまいましたが、今週の日曜日に「文学フリマ東京」に出展します。 noteに投稿した作品をはじめ、書き下ろし作品も収録した新作ショートショート集「絵本にない」も販売します。よろしくお願いします! https://bunfree.net/event/tokyo35/

    • タクシー

       「すみません。前の車、あの黒いSUVを追ってください」  ついにこの瞬間がきた。“前の車を追ってください“。この言葉ほど、タクシードライバー冥利に尽きる目的地はない。  「ええ、承知しました」  タクシーの仕事に就く前は、電気技師として主に病院施設の電気設備の点検や修理を行っていた。病院では無数の電気装置が備わっており、どれも人の命を救うために必要不可欠なものばかり。自分は医師ではないものの、少なからず人の為に役に立っていると思っていた。  しかしある日、自分が修理し

      • 争いの星

        朝起きてコーヒーを淹れる。テレビをつけてみると、いつものようにT国とR国の戦争の様子が流れていた。 荒廃した地で兵士や戦車が向き合い、とある兵士たちはビルの陰から銃を構えながら相手軍の動向を静観している。数分経ったのち、T国の司令官が発破をすると、途端に銃声が激しく鳴り響いた。 撃つプロフェッショナルもいれば、守りを固めるプロフェッショナルもいる。はたまた、相手の連絡経路を破壊するサイバープロフェッショナルなども存在する。ここに映っている兵士たちは全員、戦う意欲を持って出て

        • ショートショートnote杯 表彰式&ゲーム会に参加してきました

          こんにちは。文京小噺あらため、刈川メリです。(ペンネームを変えました) 先日ショートショートnote杯で「ゾッとするで賞」を頂き、審査員と受賞者の皆さんがzoomで集う表彰式&ゲーム会に参加してきました。 改めて審査員の皆さま、そしてnoteを読んでくださった皆さま、ありがとうございました。 もちろん自分は受賞者の方々ともはじめましての状態なので、zoomに入室するボタンを押すのにかなり緊張しました。心の中では「よろしくお願いしまあああす!」と叫び鼻血出しているサマーウォ

        お久しぶりです。だいぶ投稿に日が空いてしまいましたが、今週の日曜日に「文学フリマ東京」に出展します。 noteに投稿した作品をはじめ、書き下ろし作品も収録した新作ショートショート集「絵本にない」も販売します。よろしくお願いします! https://bunfree.net/event/tokyo35/

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        • ショートショート小説「クドリャフカの旅立ち」
          9本
          ¥500

        記事

          ショートショートnote杯のご報告

          こんばんは。文京小噺(刈川メリ)です。 11月はしばらく「ショートショートnote杯」への応募作品を投稿させて頂いてました。 慣れない410字という短さでのショートショートでしたが、たくさんのスキやうれしいコメントの数々が本当に励みとなり、自由に楽しく書くことができました。改めてありがとうございます。 ということで、審査員である高橋晋平さんのアカウントにて、本日12時にショートショートnote杯の結果発表がありました。 受賞作品15点に対して、応募総数2,600作品(!

          ショートショートnote杯のご報告

          君に贈る火星の

          「君に贈る、火星の『ポラ植物』です」 ある日、惑星移住計画で火星に滞在している宇宙飛行士の友人から謎の植物が贈られてきた。 飾るには見た目があまりにおぞましく、オークションに出して大金を手に入れた。 次の日、また友人から箱が届く。 「君に贈る、火星の『ビオットの骨』です」 ビオットとはなんだろう。何か動物の骨のようだったが、これもオークションに出してさらなる大金を手に入れた。 「君に贈る、火星の『リラ油』です」 謎の液体はさすがに気味が悪い。すぐさまオークションに出

          空飛ぶストレート

          9回裏、2アウト満塁。 キャッチャーから送られるカーブのサインに、ピッチャーは首を横に振る。 呆れた表情が伝わってくるが、ここはストレート以外に選択肢はないだろう。 大きなフォームとは裏腹に、特に速くもないその球はなんなくバットの芯で捉えられた。 「打ったー!レフトスタンド一直線!逆転満塁ホームランだー!」 実況の叫びに続き、呆れた解説の声が漏れる。 「まさに『空飛ぶストレート』。なんで彼はいつも大事な場面でストレートを投げてしまうのでしょうねえ」 そう、過去のデータを見

          冷蔵庫カフェ

          灼熱の真夏日。営業先へ向かう途中だったが、少しどこかで涼みたいと思い近くを歩くと「冷蔵庫カフェ」という店が現れた。なんと魅力的な店名だろうか。 さっそく扉を開けると、中からひんやりとした最高の冷風が漏れ出した。すれ違うように中から出てきた客は、長居をしたのか寒さで顔が青ざめている。 席に着きホットコーヒーを頼んだ。たった数分で冷え切った体にホットコーヒーを流し込む体感は、例えるならば、寒い冬の日にコタツに入ってアイスを食べるあの極上に近い。最高の気分だ。 さすがの寒さに

          株式会社リストラ

          「すごい社名ですね。」 名刺を渡すたびに驚かれる社名、株式会社リストラ。 仕事の内容はというと簡単に言えば「解雇手続きの代理業務」である。 リストラというのはどんな理由であれ、通達される側だけでなく、通達する側も心身の負荷がかかるものだ。 そこで第三者の我々が企業の人事部に出向し、対象社員へのリストラ通達から手続きまでの業務を行う。 今日はとあるIT企業からの依頼だった。依頼主の暗い表情からみても何か事情はありそうだ。まずは1週間、対象社員の観察を行う。 結論から言うと

          ショートショート#14 「代償」

          「ようこそお越しくださいました、ユアスタンダードホテルへ。当リゾートホテルでは、一人ひとりのお客様に合わせた世界最高級のサービスを提供いたします。申し込みは一人30泊以上の長期宿泊プランから。料金に関しましては、特に金額の規定はございません。サービスを体感した充実度に合わせ、お客様ご自身で料金を設定していただく『お客様料金委託制度』を採用しております。制度における条件やその他注意事項につきましてはこちらの契約書をご覧ください。」 客として訪れた男は、受付のコンシェルジュから

          ショートショート#14 「代償」

          ショートショート#13 ラジオの末路

          「では、続いてのお便りに参りましょう!ラジオネーム『きのうの明日』さんのセツナピです。」 何度目だろうか、このラジオネームを読み上げるのは。 当番組では恒例となった人気ラジオコーナー、“セツナでセツナいエピソード、セツナピ!”。このコーナーでは、リスナーからの「本当に一瞬のできごとだったけれども、切なく感じたエピソード」を募り、ラジオパーソナリティーである私が紹介するという企画である。 決して大げさなエピソードではなく、日頃のささいな出来事に含まれる切なさを上手く表現して

          ショートショート#13 ラジオの末路

          ショートショート#12 黒服

          「昨日、あそこの交差点で『黒服』を見かけたのよ。もしかしてこの街にもそんな人がいるのかしら。」 道端で繰り広げられる夫人たちの世間話を、エフ氏はたまたま耳にしてしまった。まさかあの「黒服」が実在しているだなんて本当なのだろうか。 黒服。それは今の世の中において最も出くわしたくない存在。 寒い日も暑い日も、年中真っ黒なコートを羽織っている彼らは、今日も世界のどこかの玄関をノックしていることだろう。 時代は総国民富裕時代に突入していた。 いつの時代だったか、子供を学校へ通わ

          ショートショート#12 黒服

          ショートショート#11 サンタクロースの計画

          街の誰もが寝静まっている深夜の時間。 誰もいないはずの下の階からコトンと何かが倒れる物音がした。 「ねえ、今なにか聞こえなかった?」 「ああ、何か物音がしたな。まったく不気味だこんな夜中に。下の階まで見てこようか。」 男と女は一緒に足音を立てないよう、慎重にリビングのある1階に降りていく。 男は暗闇の中、手探りで電気のスイッチを見つけゆっくりと押した。 「きゃあ!」 女は目の前に広がる光景を見て思わず叫ぶ。 男も特に言葉は発しなかったものの、目を見開いて驚いた顔をして

          ショートショート#11 サンタクロースの計画

          【自己紹介】文京小噺の小噺

          はじめまして(あらためまして)、文京小噺です。 本日はショートショートではなく、「文京小噺」の中の人、私の自己紹介を挟みたいと思います。 この文京小噺というアカウント。5月にnoteをスタートしてからやっとのことで10本のショートショートを更新しました。(ノロノロで本当すみません・・・) たぶん同時期に始められたショートショートアカウントの方々は30本近く、多い人では100本、200本近くと更新されていて、これはもう本当にすごいことです。 実際にショートショートを書いてい

          【自己紹介】文京小噺の小噺

          ショートショート#10 「クドリャフカの旅立ち」

          いま、人類の未来を運命付ける瞬間が訪れる。 クドリャフカは20匹の候補犬から選ばれた秀抜な1匹だった。 数ヶ月に及ぶ体力テストでは抜群の成績をおさめ、健康状態に関しては一度たりとも不調の兆しを記録したことはない。 宇宙開発センターのスタッフたちは歴史上初めて生物を宇宙に送り込む計画にあたって、喧々諤々と議論を行なっていた。 しかし宇宙はまるで未知の世界。どんな犬が宇宙空間に相応しいかなど正直誰も知る余地もない。

          ショートショート#10 「クドリャフカの旅立ち」

          ショートショート#9 「黄色いパートナー」

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