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冷蔵庫カフェ

灼熱の真夏日。営業先へ向かう途中だったが、少しどこかで涼みたいと思い近くを歩くと「冷蔵庫カフェ」という店が現れた。なんと魅力的な店名だろうか。

さっそく扉を開けると、中からひんやりとした最高の冷風が漏れ出した。すれ違うように中から出てきた客は、長居をしたのか寒さで顔が青ざめている。

席に着きホットコーヒーを頼んだ。たった数分で冷え切った体にホットコーヒーを流し込む体感は、例えるならば、寒い冬の日にコタツに入ってアイスを食べるあの極上に近い。最高の気分だ。

さすがの寒さに長居もできないので、お代を置いてカフェを出ようとした。が、扉が全く開かない。店員に扉が壊れたようだと伝えると、こう答えた。

「申し訳ございませんが、中から開けるとこはできないのです。ここは冷蔵庫カフェ。子供の頃、冷蔵庫の中に入って遊んではいけませんと言われませんでしたか。」

カフェに入るときにすれ違った客の青ざめた顔を思い出し、男の背筋はすぐさま凍った。

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