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写真についての考察

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写真について考えたことをまとめたものです
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最近の「ミニマルフォト」は「アンチ・ミニマルフォト」である

最近の「ミニマルフォト」は「アンチ・ミニマルフォト」である

最近、「雲のない空に何か一つだけ主題を配して撮る」とか「壁や建築物をきわめて平面的に撮る」とか「幾何学的なアプローチで画面を整理して撮る」とかいったことをひっくるめて「ミニマルフォト」と言う人が多いと思う。

しかし、「見栄えのよい写真」のための「ミニマリズム」は、ある意味で装飾のためにミニマリズムのテクニックを使っているのであって、「装飾を遠ざける」ミニマリズムの本質から離れた行いではないか?

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カメラを買ったあなたがやるべき、たったひとつのエクササイズ

カメラを買ったあなたがやるべき、たったひとつのエクササイズ

カメラを買ったあなたがいます。

たぶん、綺麗な写真が撮りたいとか、毎日の記録を残したいとか、そういう理由で買ったんだろうと思います。

カメラを買ったあなたは有名なフォトスポットに行くかもしれませんが、おそらく「何を撮りたいんだかわからない写真」とか、「誰かのインスタにあった写真の焼き増し(あるいは劣化コピー)」のようなものをぶら下げて、その目で見た感動をイマイチ写真に残せないまま帰ります。

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Silence, Strain, Subtle Sway

Silence, Strain, Subtle Sway

その画面は、静けさを湛えている。

その画面は、こころの糸をぴんと張る。

そしてその画面は、微妙にゆらいでいる。

VSCO Montage で遊ぼう

VSCO Montage で遊ぼう

こんにちは、むらいです。

この記事では、先日リリースされたVSCO Montageをご紹介します。

こいつです。ざっくりいうと写真やら動画やらを重ねて並べてコラージュして、イカしたビジュアルを作れるツールです。

詳しい使い方は公式のチュートリアルを確認してもらうとして、
作品の構成を考えるところに焦点を当ててお話してみようと思います。

素材を用意しよう素材がなくては始まりません。
写真、動

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「あいまいさ」について -floating thingsのステートメント

「あいまいさ」について -floating thingsのステートメント

floating things
https://www.murainobutomo.com/floating-things

世の中、とにかく「あいまい」だし「不安定」だなと思う。

ついこの間まであったビルが無くなっていた。あそこにはどんなお店があったっけ。
久しぶりに帰った地元。変わっていないようで、変わっている。お隣のおばあちゃんは亡くなってしまったらしい。

その形を、ふるまいを、関係を、

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写真の色作り、その前に。

写真の色作り、その前に。

あなたの写真をスペシャルなものにするために、色作りは欠かせない工程です。

今日、lightroomなど現像ソフトのハウツーは多くの書籍やブログや記事で紹介されています。

しかし、多くはパラメータの説明と操作方法について触れるのみで、
ソフト操作以前の設計段階、つまり自分の出したい色がどのように成り立っているのか分析して、どのようにソフトで再現するのか見当をつける手法はあまり共有されていないのが

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タイムラインは写真が持つ刹那性を増長させる?

タイムラインは写真が持つ刹那性を増長させる?

SNSでは写真がものすごい早さで消費されてるってのはもう言われ尽くしてるんだけど、アップしている当人も自分の写真をそういうスピードで消費してる感じがあって、これがより写真の刹那的なところを際立たせてるって考えると結構おもしろい振舞い方かもしれん

従来のプリントまでを一纏めにする写真には「過去あった瞬間を永遠のものにする」というはたらきがあったのだけど、単にデータ、情報としてのみ存在する写真の場合

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主語

*このnoteは深夜帯のツイートをつぎはぎして備忘録としたものです
読みにくかったらごめんなさい。

ストリートスナップの主語はどこにあるのか?みたいなとこある

共感とはまた違うステージの話だと思う、鑑賞者は写真の主語になり得るか?という話

写真の主語がどこにあるのか?「私が」立ち合い見て撮ったものとしての写真か?「彼が」営むことが写った写真か?実際は混じり気があるのだけど、その色相がどちらに

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「見る」ために「撮る」こと。

街を歩いてたら、写真としてのイメージが景色にダブる瞬間があって、それっていい傾向だと思ってたんだけど結局カメラに見せられてるというか、撮れるようにしか見てないってことなんだよな。
ニュートラルじゃないし、観察できてない。

それで、そこから抜け出すリハビリの手法もわかんないからなおさらシャッター押せなくなるし。つら。

枚数撮るトレーニングは最初の段階にいいんだけど、ちょっとミスると「撮るために撮

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#イマジナリーポートレート

#イマジナリーポートレート

「ここに人が立ってたらエモいよな」と思って写真を撮ることがよくあります。実際そこに人が写ることはほとんどなく、哀しい思いに枕を濡らす日々ですが、ぽっかりと穴が空いたようにも見えるその写真に、何故か心惹かれるのです。

「誰か居てほしいところに、誰も居ない」というマイナスの事象が写るわけですが、どうにもこれが写真のレイヤーを増やしているというか、奥行きのある仕上がりになっている。

視覚的イメージと

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写真の「見せ方」を考える

写真の「見せ方」を考える

(横長いのは見開きページをイメージしてください)

小さい余白強い没入感、鑑賞者を引き込んでいく。

大きい余白すこし後ろに下がる感覚、傍観。

似てるものを並べる色が似てる。形が似てる。できごとが似てる。

違ってるのを比べる黄色と、青。たくさんと、ひとつ。直線と、曲線。

リズムを保つ淡々と、ドキュメンタリーに。

リズムを崩す画面に動きをつけよう。

時系列に並べる映画をみてるような気分で。

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デジタル写真を演出するために 〜エディットの心構え~

デジタル写真を演出するために 〜エディットの心構え~

こんにちは、むらい(@MRIPhoto)です。かなり久しぶりの更新になります……

みなさん、デジタル写真の編集ってされてますか?
LightroomなどでがっつりRAW現像される方もいれば、撮って出しのjpegをVSCOなどのフィルターで簡単にエディットするという方もいることでしょう。

ぼくは普段、iPadのLightroomでエディットする事が多いのですが、デジタル写真のエディットというのは

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デジタル写真はアート足り得るのか

デジタル写真はアート足り得るのか

アナログ写真がアートだというのはなるほど分かる
アートの歴史はものづくりの歴史だと思うし、撮影から現像、プリントのプロセスの間、銀粒子として確かにそこに「もの」がある感覚は「ものづくり」であって、「アート」だなと思う
だからといってデジタル写真をアートでないとする言説はあまり好きじゃない
だってセンサーが吐き出した電気信号をSDカードフラッシュメモリに書き込んで、PCで処理してプリントするまでの間

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#Murai式をやってみよう

#Murai式をやってみよう

こんにちは、ムライです(@MRIPhoto)。

みなさん、VSCOのアプリ、使ってますか?
豊富なフィルターと、マニアにはたまらないフィルム再現プリセット、Raw編集も可能、などなど素晴らしい機能満載で、スマホ写真には欠かせないツールです。

中でも僕が気に入ってるのが、「枠線」機能。
インスタの白枠をつける時に使ってる人も多いかなと思うのですが、
カラフルなフレームをつけるのが結構楽しくて。

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