感性とコーディネーション・センスが問われる仕事 前回(2)で述べたようなブレストを招集し、成果物としてまとめ上げていくのはディレクターの重要な役割です。が、その前にもう一つ、大切な仕事があります。それは、スタッフを決めるということです。営業もしくはクライアントから直接聞いた意向に応えるために、「どういったクリエイティブ・スタッフに任せるか」を考え、招集することです。 デザイナーにしろ、コピーライターにしろ、カメラマンやイラストレーターにしても、各々何かしらの特徴があるも
クリエイティブ・ディレクターの仕事とは 先日の記事では、どちらかと言えばディレクターの心構え的なことを書きましたが、肝心の”どういった仕事をするのか?”については触れていませんでしたので、あらためてこちらでご紹介したいと思います。 中堅以上の広告代理店には、必ずクリエイティブ・ディレクター(CD)という肩書の人と、その下にアート・ディレクター(AD)という肩書の人がいます。CDとは、担当商品の広告からSP(セールスプロモーション=販促活動のこと)にいたる、あらゆるコミュ
性暴力啓発ポスターのニュースに触発されて 内閣府が制作・配布した「若者の性暴力被害予防を啓発するポスター」において使用されたイラストが、別のイラストレーターの作品に酷似していたため、使用を中止するという事件をネットニュースで知りました。 先日も、大阪のIR施設のイメージ画と動画の中に、奈良美智氏や村上隆氏の作品が勝手に使われていたという事件があったばかりでしたので、「またか…」という暗澹たる気持ちになったのですが、考えれば考えるほど「なぜそんなことが起るのか」と、私の中
BizDev実施導入のメリット 企業にとって、BizDevというスタイルで新規事業開発に取り組む際のメリットはどんなところにあるでしょうか? 以下に列挙してみます。 1.委託先(外部チーム)さえ見つかれば、経営者や責任者の決断ひとつで比較的スピーディにスタートできる 2.しかもスタート時に、社内の人的リソースをやりくりする必要があまりない 3.事前契約を明確にしておけば、軌道修正や中断・中止も比較的容易にできる 4.結果として失敗した時も、社内に与えるダメージは比較的少
飛び込んできたニュース記事から 昨日(4月12日)、ネットニュースの中に「サイバーグラフィックスが社名を変更、創業時の『オリエンタル写真工業』に」というタイトルの記事があり、とても興味を惹かれました。 実は私、不勉強ながら[サイバーグラフィックス]と[オリエンタル写真工業]という両企業名を知ったのは、この記事でのことです。フィルムなど写真関連素材のメーカー/商社ですので、広告制作に関わっていればそれほど遠い世界ではないはずなのですが、これまで知る機会がありませんでした。
BizDev(ビズデブ)とは? 少し聞きなれない言葉かもしれませんが、”BizDev”とは 、Business Development の略で、「ビジネスを開発する」というそのままの意味です。一般的には「新規事業開発」と言ってもさしつかえないと思いますが、通常の企業で行われているそれとは、異なった入口からチャレンジする方法のことです。 企業が新規事業を始めようとする場合、まずは「今ある社内リソースを使ってどうやるか?」を考えると思いますが、色々と調べ、計画を立てようとす
慣習にとらわれないチーム作りを 既存ブランドに何らかの手を加える場合、専門のブランド・マネジメント・チームがあればよいのですが、そういったチームがある企業はごく少数だと思いますので、おそらくどの企業でも、あらたにプロジェクト・チームを起ち上げることになると思います。 そして通常、こういったチームは、社長もしくは担当役員が中心となって、経営企画室や広報などから選ばれた精鋭たちが”慣習的に”集められることになります。 経営を左右する可能性もあるわけですから、そういったチー
意外に大切なツール診断 これまで、どちらかというとマーケティング分野のなかでもマクロ的な業務について紹介してきましたが、今回は一転してミクロな業務のひとつをご紹介します。 まず「コミュニケーション・ツール」とは何か?ということですが、ひとことでは「企業がステークホルダーに対して様々な情報を伝えるための手段」だと言えますが、今回取り上げるのはもっと狭い意味でのツールになります。 そのツールとは、顧客(潜在顧客含む)や消費者に対して商品やサービスの内容を伝え、買ってもらう
はじめに ブランド・リノベーションは、その言葉の通り、まったく新しいブランドを作り出すのではなく、過去から現在まで受け継がれてきたブランドを見直し、現在から将来に向けてふさわしいカタチになるよう手を加える(=改革する)という考え方に基づいています。 ここでは、その方法について、まずは全体を俯瞰しながらお知らせしたいと思います。お時間のない方は、この記事だけ読んでいただければ、リノベーション手法の概要をご理解いただけるものと思います。 リノベーションの3つのフェーズ
「ブランドの役割」を理解するということ ブランド・リノベーションの方法をお知らせする前に、そもそも企業活動においてブランドにはどのような役割があるのか、について押さえておきたいと思います。 というのも、そこをしっかり理解しておかないと、リノベーションをする段階になって「なぜ、こんなことまでするの?」「こんなこと必要なの?」と、関係者の間で不信感を抱かれることになる可能性が出てくるからです。 ブランド・リノベーションの成功事例 私が携わったわけではありませんが、とて
ブランドも、ほっておくと劣化する 「以前のように売上が伸びない」、「販促策の効果が表れない」など、 現状のマーケティング活動になんとなく行き詰まりを感じていませんか? また「社内スタッフのベクトルがバラバラ」、「協力企業との意識統一が難しい」など、内部コミュニケーションに見えない壁があるように感じていませんか? それらの原因は、ブランドが劣化しているせいかもしれません。過去に築かれたブランドに頼ったまま、もしくはそれらを放置したままにしていると、企業や製品への求心
自己満足に陥りがちな企業イメージの統一 「企業イメージの統一って、何のこと?」と思われる方もいらっしゃると思いますが、企業を取り巻く人々(ステークホルダー)に対するコミュニケーションツールにおいて、ビジュアルやメッセージなどの要素が一貫した考えやルールに従って表現されているかどうかということを指します。 ごく最近のことですが、とあるクレジットカード会社がロゴ・マークを変更しました。それまではグラデーションのかかったブルーを背景に、シャープな白抜き文字が映えるロゴ・マーク
ある意味で深刻な、昨今の状況 実は、1on1ミーティングについては前回で終わりにしようとしていたのですが、たまたま気になる情報に触れる機会がありましたので、少し危機感を感じて投稿することにしました。 ひとつには、巷で『1on1ツール支援ツール』なるデジタルモノが流行っているということを知ったからです。1on1ミーティングは、これまでも述べてきたように、社内で行う場合には、確かにそれなりの準備が必要になります。特に上司側では、「どう進めたらよいか」「部下のホンネを引き出す
”静かな退職”(=クワイエットクイッティング)とは? 最近耳にする言葉に「クワイエットクイッティング(quiet quitting)」なるものがあります。直訳すると”静かな退職”という意味ですが、「理由も告げず(辞表も出さず)に、いつの間にかいなくなる」離職スタイルのことではありません。 「会社は辞めないが、必要最低限の仕事しかしない」社員の働き方のことで、言葉の発生源であるアメリカでは、コロナによるパンデミック以来、広がりを見せるようになってきたということです。 コ
1on1ミーティングからはじめるチーム作り 「1on1ミーティング導入で社内コミュニケーションを活性化させる」というのは、波状効果としてあたり前にできていくように思われがちですが、実はそれほど簡単なことではありません。というのも、上司と部下(もしくはメンターとメンティ)間の”縦”のコミュニケーションは当然取れるのですが、部下(メンティ)同士の”横”コミュニケーションについては、そもそも考えられていないからです。 ただ、せっかく時間をかけて縦のコミュニケーションが図れるよ
プロモーション戦略の立案 マーケティング活動全般の中で、”戦略立案”というワードが使われる頻度が最も高いのは「プロモーション戦略」だと思います。ここでいう「プロモーション」とは、広報や広告宣伝から販売活動に至るまでの広い意味であり、販促活動を意味する「セールスプロモーション=SP」とは区別されなければなりません。 その昔、ある程度の規模の企業では「広報部」「広告宣伝部」「販売促進部」「販売部(営業部)」などと部署が分かれており、例えば新製品を投入する際には、それぞれの部