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大切なことはアサガオが教えてくれる~1年生とアサガオの素敵な1年~
こんにちは。特別支援学級教員13年目のMr.チキンです。久しぶりに戻ってきました。11日から2泊3日でキャンプに行ってきました。たまちゃんさんからアドバイスをいただいて、テントを購入。即キャンプでした。(たまちゃんさんアドバイスありがとうございました!)子どもたちが嬉しそうだったのが印象的でした。よかったよかった。
今日は、学校で1年生が育てるアサガオについてお話をさせてください。
絵日記が大変・・・でも、アサガオには意味がある!
そろそろ夏休みが終わりに近づいてきました。
まずい!宿題やっていないぞ!
と焦っている小学生も多いのではないでしょうか。
中でも、”アサガオの観察”なんていう、コツコツやっていないと痛い目を見る宿題もよくあると思います。宿題を出す側としても心苦しいところです。
お手伝いをしている保護者の方の中には
なんでアサガオなんか育てるのだろう?
と(怒りにも似た)疑問に思われる方も多いかもしれません。
アサガオを育てると何が育つのか。
少しお話していきたいと思います。
一年生とアサガオの一年
全国の多くの小学校で1年生の時にアサガオを育てます。
アサガオは一年間かけて子どもたちを育ててくれます。
1学期
・種との出会い、それぞれの想い
子どもたちはアサガオと出会います。アサガオは種として子どもたちの目の前に現れます。多くの学校では2年生が1年生に渡します。
![](https://assets.st-note.com/img/1660510565231-kMYHgJNlpS.png?width=1200)
「小さいね。」
「たくさんある!何粒あるかな?」
「青い花かな?赤い花かな?」
子どもたちは小さな種に想いをもちます。
・絵に見える子どもたちの想い
子どもたちに絵を描かせると面白いです。
小ささを表現するために小さなツブツブを描く子
「ここに小さな黒い点がある!」と、見つけたことを知らせたくて種を拡大して描く子
とんがっていることに気付いて、三角形を強調して描く子
などなど、種に対する想いがそれぞれバラバラなことに気付かされます。
・雨の日に水やり?子どもたちのお世話
そして、一所懸命にお世話をします。
「Aくんのアサガオ、もう芽が出てきたって!」
「え?ぼくのまだ全然出てこない・・・もっと頑張って水をやろう。」
「私のもう花が咲いた!青くてかわいいな。」
時には雨の日に水やりをする子も出てきます。
それでも良いんです。一所懸命なんです。
2学期
・”花より種”?子どもたちの気付きと算数
夏休み中、おうちでお世話をしたアサガオ。
2学期は少しの間、花を楽しみます。
そして、
アサガオ枯れてきちゃった・・・
と悲しい表情を見せるのもつかの間。
次の瞬間には
アサガオの種が出てきたよ!おもしろい!
と、夢中になって取っていきます。
ちょうどその頃に、算数の授業では”20より大きなかず”を勉強します。
アサガオの種の数をかぞえてみようか。
あれ?20よりも大きくなるよ?どうやって数えるのかな?
という自然な流れで子どもたちは20よりも大きな数を数えていきます。
(日本の教育カリキュラムって素敵ですね。)
・余すところなく・・・クリスマスリースづくりに!
そして、枯れたアサガオを乾燥させて、クリスマスリースを作ります。
![](https://assets.st-note.com/img/1660510921845-EQfPjfuPmi.png)
子どもたちだけでは難しいと思い、以前は保護者のボランティアを募るほどの一大イベントでした。でも、コロナ禍で保護者が来られないとなると、子どもたちはたくましく作り始めます。
「そっち押さえて!もっと端の方。」
「ここを切るんだよ。押さえてるから。指と指の間のところだよ。」
などと、言葉を巧みに使いながら協働してリースを作ります。
3学期
・次の1年生にプレゼントしよう!
3学期の少し前になると、子どもたちの意識は2年生に向いていきます。
教員の声掛けも次第と
次は1年生が入ってくるよ!少しお兄さんお姉さんになるんだよ~。
となるので、子どもたちもすっかりその気になります。
そんなところに、教員から
みんなの育てたアサガオに種ができたね。
あのさ、この種を次の1年生にプレゼントしてあげない?
と声をかけると、みんな喜んでプレゼントの封筒づくりを始めます。
”いっしょうけんめいそだててね””きれいな花がさくよ”と、アドバイスに絵を添えて次の1年生に託します。
このように、アサガオは1年間かけて、全身全霊命を懸けて1年生を育ててくれるのです。
方向目標と到達目標
でも、ここまでの話を聞いて、
なんだかボンヤリとした教育活動だなぁ。
と感じられる方もいるかもしれません。
算数のような「繰り上がりのたし算ができる。」や
国語のような「1年生の該当漢字を読むことができる。」等のような明確な目標が、アサガオを育てる活動には見られません。
これらの目標は”到達目標”と言います。すべての子が”ここまでは到達してほしい”という基準の明確な目標です。
それに対して、生活科は”方向目標”という目標を組むことが多いです。例えば
【あさがおさんと ともだち】
育てている植物に関心をもち,育てたり親しく関わったりする活動を通して,植物の成長や変化の様子に気付き,植物への親しみをもって大切にすることができるようにする。
"親しみをもつ"や”大切にする”には明確な基準がありません。
何ができれば”親しみをもつ”や”大切にする”が達成するのか分からないですよね。この記事の”種との出会い、それぞれの想い”で書いた通り、子どもたちのバラバラな想いから始まった学習ですので、明確な基準にそろえることもできないのです。
でも、それが良いんです。例えば、
雨の日に水やりをしているAくん
は、”理科”のような到達目標のある学習では評価されません。
でも、”親しみをもって大切にする”という基準で考えると、Aくんのとった行動は”親しみをもって大切にする”を体現してくれているのです。(きっとAくんは水やりをしながらアサガオに声をかけてますよ!)
アサガオで見える子どもの”生活”
ある年、アサガオのリースを作っている時、1年生の子がこんなことを言いました。
ぼくね、これを作ったら、妹にあげるんだ。
そしてクリスマスパーティーに飾るの。
幼稚園から”人にあまり関心がないタイプ””自分のやりたいことなどを表現することは苦手”と引き継がれていた子でした。この二つの彼の特性を、アサガオはガラッと変えたような気がします。
いっしょにリースづくりをしながら、その子が妹にリースをあげている姿、そしてクリスマスパーティーを楽しんでいる生活が目に浮かび、嬉しくなりました。
では、またね~!
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