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✓天の台所

▽あらすじ
小学生の天には、かつておいしいご飯を
作ってくれる「ばあちゃん」がいた。
だけど、ばあちゃん、父さん、天、
弟の陽、妹の光の五人家族は、
去年の冬、四人家族になった。
突然ばあちゃんがいなくなった日々に
全員が戸惑うなか、天は近所で評判の
「がみババ」に料理を教わることに。
ばあちゃんの台所を守りたい一心で
始めた料理修業だが、天の料理が、
どこか穴のあいた家族を再び結んでいく――。

▽印象に残ったフレーズ

「あんたのその体が動いてるのは、
ものすごい数の細胞が
働いてくれてるおかげなんだよ。
だけどその細胞たちも
ただ働きはしちゃくれない。
栄養をやらなくちゃ。
どうせなら、しっかり細胞のパワーに
なるような栄養を、たっぷり
送ってやりたくないかい?」

「あたしは、作った料理をあんたに
食べろって強制することはできない。
あんたには、口に入れるものを選ぶ
権利があるからだ。
気持ちだって同じだよ。
善意も悪意も、自分の心に
入れるものは自分で選んでいいんだ。」

「ぼく、うちの台所には入れないけど、
中から音がしたり、コンロの火が
点いてたりすると安心する。
家が起きて、
元気に動いている感じがするんだ。」

「天はおばあちゃんのことがあって、
心にすごく大きな穴が空いてしまっただろう。
先生はそこに、楽しいこととか、
気になることとか、うれしいこととか、
そういうのをどうにしかして
つめこんでやりたくてな。」

「めぐるんだよ、料理ってのは。
あんたの心をこめた料理が
相手の腹を満たしたら、
相手の喜びがあんたの胸を満たす。
作る人と食べる人の間で
ちゃんとぐるぐるめぐるんだ」

▽感想
児童書コーナーにあった本。
挿絵も入っていたりして、
とても読みやすかったし想像しやすかった。
朝井一家にかなり不幸が続いていて、
みんなをどうにかしなきゃ、
ご飯を作ってあげようという思考に
なったのが小学生というのが凄い。

厳しくも、天君を見守った
がみババもいろいろ思うことが
あったんだろうなあ。
私、卵焼きうまくできないから、
練習しなきゃ…
天君は毎日作って練習してた。
尊敬する!!

天君の姿を見て家族が
一人、また一人と変わっていき
家族が一致団結して前を向いて
いく様子が分かって
とっても良い家族だなあと思った。

これから先も天君が料理を
作っていってほしいし、
陽君も光ちゃんも手伝うように
なっていってくれたらいいなあ。
きっと、ばあちゃん喜んでくれるよ。

天の台所/落合由佳/講談社

↳試し読みもありますので、ぜひ

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