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✓とにもかくにもごはん

▽あらすじ
公園で一人パンを食べる小学生を見てつぶやいた
「うちでご飯を食べさせてやりたいなあ」
交通事故で急逝した夫の
そんな生前の一言が心に残り、
子ども食堂を立ち上げた波子さん。
栄養のある食事を提供し、
居場所のない子供たちの安心できる場所を作るため、奮闘する物語。


▽印象に残ったフレーズ

「米粒は残すなって母に言われてるんで。」
そもそもは父に言われていた。幼稚園児の頃からだ。
それを母が引き継いだ。
父が亡くなってからも言い続けた。
学校なんかでは、
お米をつくってくれた人のことを考えて、
ご飯粒は残さず食べましょうみたいなことを言われる。
現実にはそこまで考えない。
人は、顔の知らない他人のことまでは考えられない。
もっと近い所でいい。
食器を洗う人のことを考えたら、ごはん粒は残せない。
それは母が言ったことじゃない。
父が言ったことだ。食器を洗うのは
いつも母、だからそう言った。
それを言わなくなることはなかった。
どういうことか。
ちゃんと母を思っていたということだ。
父は母を適当に扱ったりはしなかったということだ。
母も父を適当に扱いはしなかったように。

とにもかくにもごはん


▽感想
区切りとなる章のタイトルが
人の名前になっていて少し斬新だなと思った。
こども食堂の一日を、訪れた人、ボランティアする人、
いろんな人たちの視点で書かれている。
前の章の登場人物や話が次の章の話でも出てきて、
その後どうなったのか分かったり
影響を当てたりしていて面白かったなあ
昔の親の気持ちが分かったり、
今の自分を変えたいと思ったり・・・
マイナスな気持がほぼなく、あたたかい本だった。
最後の終わり方も衝撃で涙が止まらなかった
出てきた人たちみんなが
幸せになれるだろうなと思える作品でした。

とにもかくにもごはん/小野寺史宜/講談社

↳試し読みもありますので、ぜひ

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