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✓手のひらの京/綿矢りさ

▽あらすじ
京都に生まれ育った奥沢家三姉妹。
長女の綾香はのんびり屋だが、
結婚に焦りを感じるお年頃。
負けず嫌いの次女・羽依は、
入社したばかりの会社で
恋愛ざたといけず撃退に忙しい。
そして大学院に通う三女の凜は、
家族内に内緒で新天地を夢見ていた。
春の柔らかな空、祇園の宵、
大文字焼の経の声、紅葉の山々、
夜の嵐山に降る雪。
三姉妹の揺れる思いを、
今日の四季が包み込む、愛おしい物語。


▽印象に残った文章

なんて小さな都だろう。
まるで川に浮いていたのを
手のひらでそっと掬い上げたかのような、
低い山々に囲まれた私の京(みやこ)。
古い歴史が絡みついたこの土地は、
時間が動いているようで、動いていない。
山の向こうにまだまだ日本は続いていると知っていても、
この地にいる限り、実感はできない。

好き嫌いじゃない、
旅び立つときが来るんだ。

▽感想
京都という場所で三姉妹が懸命に日常を送る。

綾香は、さすが長女という生き方で
真面目に誠実に生き、そして良き人を見つける。
どうして結婚を焦る年齢まで相手が
いなかったのか不思議だった。

羽依は会社で起こる、
いやがらせ(京都ではいけずという)
をされるけど、真正面からぶつかって
相手とやり合っていく姿を見て
私にはできないその逞しい姿に
ものすごく好感をもったし、
やったれー!と思っていた。
うちの次女もそうだけど、
あんなに好戦的なのは次女の特質なんだろうか笑

凜はしっかり者というイメージ。
達観していて、自分も周りも観れている感じ。
東京行っても頑張ってほしいな。

京都はとても良い所だというイメージがあるけど、
両親の京都へのこだわりが強いのは
少し強すぎるなと感じたな。

でも、一度は住んでみたい場所ではある。
三姉妹の日常を京都の風景を合わせて
物語が進んでいく。
読んでいてさわやかな風が吹いてくる感じでした。


✓手のひらの京/綿矢りさ/新潮文庫

↳サンプルもありますので、ぜひ

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