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✓女王の百年密室


▽あらすじ
2113年の世界。
小型飛行機で見知らぬ土地に不時着したミチルと
同行していたロディは、森の中で城砦都市に辿り着く。
それは女王デボウ・スホに統治された、
楽園のような小世界だった。
しかし、祝祭の夜に起きた殺人事件をきっかけに、
完璧なはずの都市に隠された秘密と
ミチルの過去は呼応しあって・・・


▽印象に残ったフレーズ

疑ってはいけない。試してはいけない。
すべて受け入れ、そして信じるのです。
思い起こし、考えることは、疑いを生み、迷いを導く。
疑いと迷いは、試練の海に浮かぶ小舟です。波のせいではない。
自らの焦心が、船を揺らし、その揺れは次第に大きくなる。
船が揺れれば原理を見る目は閉じられ、真実を聞く耳は塞がれる。
見てはいけない。話してはいけない。
そもそも見ることはできない。知ることはできない。

女王の百年密室

自分の両親や子供を商品のように選択することはできない。
人生のほとんどは選択できないもので占められる。
それが運命というものの定義。
それなのに、どうして、
幸運だとか不運だとかいた判定をしてしまうんだろう。
無意味ではないか。取り替えできないものい対して、
良し悪しを識別したところで、何も生まれない。

女王の百年密使室


▽感想

instagramの小説紹介で気になっていた本。
主人公のカイバ・ミチルとロディの会話が
『キノの旅』を思わせるコンビだった。
時代が2100年代ということで今よりも進んでいる。
本や紙の媒体が貴重になっている世界で、
すべてがデータでやり取りされているという
設定が斬新だなと思った。

この城砦都市はどこの国からも影響を受けておらず、
独自の価値観がある。
疑わない、試さない、目の前で起こったことは受け入れる。
なぜ?どうして?そんなことを考えない人たちの集まりがあるとしたら?
自分の普通は本当に普通なのか、
自分の価値観が間違っているのではないか
自分と相手の普通がずれていると、
自分が合っているのか
そもそも自分の普通が相手の普通とは限らない。
それが【死】に対する価値観であればどうだろう。

ミステリー要素もあったけどプラスしてSFようそもあったりで
ごりごりのミステリーが好きな私にとっては
少し腑に落ちないところもあったなあと
でも読み応えのある素敵な本でした。
ぜひ読んでみてください。

女王の百年密室/森博嗣/新潮文庫

↳試し読みありますので、ぜひ

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