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✓小さいおうち/中島京子

▽あらすじ
昭和初期の東京を舞台にした、
冬至の街や人々の暮らしなどが描かれている。
女中タキの視点で坂の上の小さな家で
暮らす人たちを中心に物語は進む・・・。
戦争によって少しずつ
時代に流されいく家族のお話。

▽印象に残った文章

戦争は終わり、田舎にも、進駐軍のジープがやってきた。
けれど、どう書いたらいいだろう。
それらはみんな、たいせつなことを追い越してしまった後の
日々のことだ。

▽感想
青春としての若い時代を
女中として捧げたタキが
年老いて日記を残す。
その日記を甥が見つけ、
読み進めていくという視点で始まる。

穏やかに、贅沢に始まっていく生活。
すべての出来事が幸せへの積み重ねで、
何か特別なことがあるわけでもないのに、
それらは記憶に残っている。

でもそれは、戦争がはじまるまでのこと。

タキさんはたしかに素敵な日々を送っていたけれど、
戦争でそれらが奪われてしまったのは胸が苦しくなった。

お金持ちの奥様とほぼいたからか、
女中として家の中にいたからか、
社会の情勢についての描写がほとんどなかった。
外のことは旦那様からちらりと聞くくらい。

奥様が世間知らずというか、
そんな印象を受けたので、一緒にいるタキとは、
社会情勢についての話題のもなるはずがないよなあ
と思った。その描写もよくできていた。

映画化もされている作品なので
時間があれば見てみようと思いました。

とても良い本に出会いました。


✓小さいおうち/中島京子/文藝春秋

↳ハードカバー

↳単行本

サンプルもありますので、ぜひ

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