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nostalghia
2019年7月12日 00:45
藤生の背中には、背骨をなぞるように裂傷の跡がある。白くて艶やかに膨らんだそれは、蛹の羽化を連想させた。行為のあと、豆電球の照らす下で橙色に染まったその傷をなぞると、新しい皮膚の柔らかさが指にまとわりついてきた。細く平板な背中に走る縫い跡と傷跡。それが、絶頂を迎えたあとの見慣れた景色だった。「緑間先輩……今、背中に触りましたか?」 丁寧な口調でそういって、ベッドの端に腰かけた藤生は肩越しに
2019年7月9日 00:24
さて問題です。 日本にある上り坂と下り坂。 多いのはどちらでしょう? ……ええ、もちろんそうですね。正解は「どちらも同じ数」です。 では、もうひとつ問題です。 日本にある階段で、上り階段と下り階段、どちらがより多いでしょうか? ……どちらも同じ? いいえ、ちがいます。 正解は、上り階段。 なぜなら、絞首台へ続く十三階段は、上ることはあっても下りることはないのだから……。
2019年7月6日 22:33
やばいことになった。まじでやばい。生まれてこのかた十一年、こんなにやばいことはない。塾の帰りだった。夜九時に外なんて歩くんじゃなかった。家まで歩いてすぐだからって、スマホ見ながら歩いているべきじゃなかった……この世は残酷なんだ。大好きなゾンビ映画から、わたしはなにも学ばなかったということか。阿呆め。馬鹿め。 家まであと一分のところだった。いつもの通り、裏通りを選んで近道していたら、急に体がぐ