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moyami
2024年5月23日 23:46
君は、この世界に足を踏み入れる。それはもう恐る恐る。その足の先に、ガラスの破片のような物は落ちていないかと確かめながら。裸足で、現実という名の地面を踏み締める。アスファルトの熱を足の裏に感じながら。君は、この世界のことをよく勉強してきたみたいで、「靴を履いていないのはきっと僕だけだ」と呟いた。でも君は、靴を履くことを選ばなかった。ある日、人集りの中色んな靴に囲まれながら、君の素足は
2024年4月20日 14:27
黒にピンクのスライド型のガラケーを彼が手にした。何を見せたんだっけ。何を、彼に、見せたかったのだろうか。真ん中の一番後ろの席にいる彼と、その左斜め前にいる私。その周りに居た人たちの顔を一人も思い出せないほど、私の視界を彼が占領していた。大それた恋をしていたわけではない。それでもこうして夢にまで出てくるのは、彼の"優しさ"があるからだ。珍しい、"優しさ"が。スラッとした
2024年3月2日 01:33
息継ぎをした瞬間に彼が口にした、「空白」という言葉が、波打つ夜。水面を弾きながら進む石のように、言葉を放つ。そして、時に浮かび上がる点を感じながら、"今"という点を見る。ある地点においての点は、果たしてどこの点と結ばれるのだろうか。もしもマグカップの底と過去が繋がっていたならば、私たちはそこから過去の自分に会いに行くことを選ぶだろうか。それとも、こうして珈琲を啜りながら見ているくら