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【いいところを語る映画評】「キネマの神様」

「キネマの神様」を配信で鑑賞しました。で、映画評を書いてみようと思います。

山田洋次監督の「今」の思い/創作エネルギーに脱帽!!


この映画を見て思ったのは、山田洋次監督の89歳の「今」が全部詰まってるなと。
どんなことが詰め込まれているかあげてみると、
①映画への愛情
②活気に満ちていた自身の撮影所時代の思い出
③コロナ下での映画館の状況
④老いに対する考え
ざっとこんなものかなあ。

正直、映画のストーリー全体としては少し無理を感じた。主人公の若き日の撮影所時代のエピソードと、老齢の今現在のエピソードがうまくつながってないというか。
さらに、どうしても若い頃のエピソードの方が元気があるし演出がうまい。(自身の体験だから思い入れがあるし、過去のことだから一歩引いた冷静な視線もある。)

それに対して現在パートは今現在のことだから、まだ消化不良で、またギャンブル依存やコロナ下での映画館の苦境、非正規雇用や引きこもりなど楽しい話でもないので、いまいちのれない。さらに老いに対する一抹の寂しさもある。
昔と現在のエピソードのギャップが大きくて、撮影所時代の話をもうちょっと見たいと思ってしまった。

でも山田監督のすごいところは、やっぱり今現在の状況を描きたいっていう創作エネルギーだと思う。「懐かしいなあ。昔は良かったなあ」っていう映画は撮りたくなかったんじゃないかな。
そういう映画を撮ることも可能だし演出も上手にできるんだろうけど、「映画と今現在の社会状況をつなげたい、観客にとってより響く作品にしたい」っていうある種「欲張り」な感じがあって、89歳で巨匠と呼ばれるなか、そういう気持ちを持ち続けていることに脱帽。

映画の後半ではカットバックという手法を使っていて、山田監督の作品ではなかなか見ない。(「男はつらいよ お帰り 寅さん」ではその映画の性質上多用されていましたが)
「こういう映画も撮れるんだなあ」と映画作りをご自身が楽しんでいる感じが素敵でした。新作を楽しみにしています。

総合評価 ☆☆☆

☆☆☆☆☆→すごい。うなっちゃう!世界を見る目がちょっと変わる。
☆☆☆☆ →面白い。センス・好みが合う。
☆☆☆  →まあまあ。
☆☆   →う~ん、ちょっと。。。
☆    →ガーン!





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