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3/10今日は東京大空襲の日。眠らされている被災者の証言映像。

1945年3月10日の東京大空襲から79年がたちました。
一晩で10万人が亡くなり100万人が被災したと言われる大惨事でした。


その東京大空襲の被災者による証言映像が、2月28日、東京都豊島区であった「東京空襲資料展」会場で公開されました。
公開される映像は、収録した330人の内、都が昨年6月までに本人や家族などから同意を得られた122人分。死亡して同意が得られなかった証言者もいるといいます。



この証言映像は、90年代に東京都が計画した「都平和祈念館(仮称)」で展示予定でした。94年の基本計画によると、再現模型や写真などを用いた被災の解説や、犠牲者らの人となりを伝えるなどの内容でした。
また、戦時下や敗戦後の生活、戦後の冷戦構造、核軍拡の歴史など幅広く戦争と平和について伝える計画が立てられました。

その一つ「東京空襲に至る道」と題したコーナーでは、終戦までの歴史を紹介する中で、日本による加害行為も取り上げる予定でした。
ところがこうした計画に対して、自民党や民主党(当時)の都議らが「日本の加害者の面が強調されすぎていて不適切」「自虐史観を教えるような展示」などと指摘しました。
そして98年に都議会が「建設は都議会の同意を得た上で実施」と議決し、都側も都議会の決定を尊重する考えを示して、祈念館計画は事実上凍結されました。

収集した証言映像は都の倉庫に置かれたままになってしまいました。
四半世紀以上も塩漬け状態だったのです。


「貴重な資料。少しずつでも活用しなければ」ということで、2022年のロシアのウクライナ侵攻を機に、戦争を伝える資料としての映像活用が都議会で取り上げられ、都が期間限定の展示で公開することにしました。



しかし、祈念館の計画自体は今も議論が進んでいません。
都は空襲の犠牲者の名簿も作成していますが公開していません。
沖縄戦や広島・長崎の原爆被害では体験者の証言を記録していたり、犠牲者の名を碑に刻んだりしています。


死者10万人の犠牲というのは世界的にみても最大級の民間人の被害です。
その実態が十分に明らかにされず、貴重な体験者の証言も眠らされているのは都の怠慢です。

都民からは、
「語り継ぐことが生き延びた者の使命と思って協力してくれた証言。映像がなるべく多くの目に触れるよう、都は努力してほしい。」
と要望がでています。



過去の戦争の実態を忘れず次の世代に引き継ぐことで未来の戦争を防ぐことができるでしょう。
それが戦争で被災した人たちの苦しみ・悲しみに報いる道です。


あったことをなかったことにして忘れることは許されません。



執筆者、ゆこりん



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