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無敗継続、そして『鬼門』陥落へ 2023.#5 浦和レッズ×アルビレックス新潟 見どころ

順位予想では軒並み降格圏。目立った補強は無く、2部を勝ち上がった陣容そのままで乗り込んできた昇格組。そんな中で一体誰が予想したでしょうか

昨季のルヴァン杯ファイナリストに1勝1分、リーグを陣取る王様相手にホームで白星。開幕4戦負け無しの3位、今浮かれないでいつ浮かれるんだというくらい波に乗っているアルビレックス新潟

そんな好調ぶりにも関わらず「イケイケではなくもっと上のステージに行けるように、今日の出来では物足りない」と語る大エース様。そんな飽くなき向上心に対して、更に火を灯さざるを得ない。そんな強力な相手が今週末、新潟相手に立ちはだかります。


浦和レッズ

浦和レッズ。日本に留まらずアジア屈指の名門チーム。強力な陣容、そしてわざわざ形容詞を用いる必要がないサポーター。彼らとのアウェイゲームはこれまでなんと『0勝』。ホームを含めても記憶の限りだと

2006年 (2-1〇,確かこの試合で達也が大怪我から復帰した)
2015年 (5-0〇,ナビスコ杯ラウンド16)

上記の2勝のみ。数字もそうだし印象的にも一番相性が悪いチームです。

また、伊藤涼太郎トーマスデンにとっては古巣対戦。両者共にスタータ―である事は間違いなく、様々な感情を残してきた地でどのようなパフォーマンスを見せてくれるのか凄く楽しみです。

そこで今回は両チームの特徴を踏まえながら駒場決戦の見どころについて書いていきます。鬼門を攻略して負け無しを継続するために新潟が乗り越えるべき壁とは。大注目の一戦です。



新潟式をぶつける時

予習のため前節を観たのですが、相手のビルドアップは大迫に向けての長いボールが多かった。そこで下から繋ぐ傾向にあるセレッソ大阪との前々節を踏まえた上で、個人的に感じた浦和の特徴を新潟と照らし合わせながら進めていきます。

まず思ったのはそこまで『プレスプレス!前へ前へ!』というチームではなかった事。浦和な方々の分析記事を読むとまだまだ発展途上のようですが、それでも少しイメージと違ったのも事実です。ボールを捨てるなんて事はなく、守備でも構えてから奪いに来る(比較的)など、割と新潟の武器が活きるチームなのかなと思いました。

桜戦 53:30~辺り

2トップがボランチを背中で消しながらGK.CBへ。ボールが出たCBのサイドにはWGがジャンプして奪いに来る浦和。ただマンツーマンで守る感じはなく、ボランチが後方と前方のスペースを埋めるように守るので、ビルドアップで数的有利が出来ます

上記のシーンでは(画面には映ってなかったけど)伊藤敦樹がトップ下を消すように位置していたのでダブルボランチの一角が浮いたセレッソ。大久保が消しきれない所に顔を出して、中央経由でSBに逃がす事で前進から崩しへと移っていきました。

浦和としては下記のようにFWのプレスをスイッチとしてWG.SBが縦にスライド、逆サイドも絞る事で同サイドに追い込んで奪いきりたいのかなと思いました。

しかし、セレッソのビルドアップでは相手を見ながらポジションをとってボールを循環させたので浦和の狙いがハマりにくかった。そして一つ飛ばしのパスを送るGK・キムジンヒョンの存在が効いていました。そういった相手の目論見を破壊できる最後尾のフィールドプレイヤー、皆さんならもうご察しですよね。

新潟としてもこの司令塔を使いながら上手く浦和のプレスを剥がしていきたい所。

桜戦 63:30~辺り

浦和FWはボランチを消しながらプレスに行くのが決まり事のようですが、時折消しきれないシーンが見受けられます。そしてその余波を食らうのがWGの選手。桜戦では小泉がボランチを消しに行った事でSBがフリーに。ジンヒョン→毎熊でプレス回避を幾度も成功させていました。

正確にボールを届けられるGK(小島)、ロブパスをスムーズに収めてドリブルなりパスなり出来るSB(藤原)。この二人を抱える新潟ならプレスを外すなんてのは全く難しくないはず。上手く圧を回避しながらファンタスティック・フォーによる独演会へ繋げていきたいところです。


自陣での浦和の振る舞いを見ると、同サイドに圧縮しながら人もスペースも消す形をとっています。

 スペースも人も消しながら。

人による密度を高めて奪う確率を高めるのと、比較的薄い逆サイドを起点にカウンターを成立させる事。こういった狙いがあるのでしょうか。

新潟としては中・中・中…とならずにピッチを広く使いたい所。それもただ左右に展開するのではなく、同サイドで切り崩してから逆サイドで仕留める形が好ましいかなと思います。それも左から右へ。だって左サイドで仕留めようとしてもそこには酒井宏樹-アレクサンダーショルツがいるから。

これまで高めてきた密集下でのパスワーク・ポジションチェンジが通用するのか。そして中央に君臨する大天才・伊藤涼太郎はハブになるのか、或いは警戒された中でも怖さを見せつけるのか。

いよいよ止められなくなってきたファンタジスタ、当日は1プレイヤーとしてブーイングを浴びる存在であって欲しいです。きっとそれは涼太郎からしたら最大の称賛ではないでしょうか。



ストロングを消すために

前節はゾーンディフェンスに則った4-4-2で構えながら川崎相手にクリーンシートを達成した新潟。コンパクトな陣形を保ちながら、新潟FWが背中で川崎CMFを消しながらプレス→外へ追い込めば新潟SB.SHが、中にパスが来ても予測出来ているので新潟CMFが…というように11人で呼応しながら穴を開けない守備構造を徹底しました

浦和はGK-CBで保持しながら比較的大外から起点を作っていくように見えました。リカルド期から変わったな~と思ったのはショートパスを多用するのではなくロングパスで盤面を好転させる事

巧みなオフザボールを誇る興梠(これ以上あの動きに惑わされたくない)を中心に背後を突くアタッカー陣、そして高いパス精度を誇る北欧のCBコンビ。腰が浮くフットボールを体現すべく少しずつ縦志向に進んでいます。

神戸戦ではピッチを横切るような斜めのボールで相手を間延びさせて浮いたスペースに入ってきた伊藤敦樹のゴラッソ。シンプルですが狙い通りの完璧なゴールのように思えます。

新潟としては圧をかけるなら最終ラインも押し上げて浦和のアタッカーをゴールから遠ざけるように、川崎戦同様のコンパクトな守備構造を保って前と後ろを繋ぎ続けたい所。

多分こんな構図。2枚で制限する新潟、そして降りたがる岩尾なら。

4-4-2で圧をかける新潟に対して浦和はこう来るかなと。2トップに対して+1(岩尾)を作りながら各所に生まれる配置のズレを利用してきそう。マリウスやショルツが浮いたら良い状態で長いパスを蹴れますし、大久保や小泉が内側でボールを引き出したり、それによりCB.SBを釣り出してその背後を狙ってくる事も考えられます。

果たしてオレンジブルーはどう向き合うのでしょうか。同サイドに圧縮してスペースを消した広島戦の継続か、或いは川崎戦と同じようにバランスの良い守り方を選択するのか。松橋監督がどんな準備をしてくるのか楽しみですね。

このようにCBと逆サイドを放置しても容易にマリウス→モーベルクが開通する。どうする新潟


また、押し込んだ中では裏をとる動きを多用したり、サイドでの関係性でSB-CB間を割りたい狙いが伝わってくる浦和。⇩の左サイドは勿論、右の酒井-モーベルクも大外に張って人を引き寄せる事でハーフスペースを突く関係性が見事に出来上がっています。

新潟としてはSH-SBにボランチも加わりながらマークを受け渡したり、時にはダブルチームを組む事で相手のストロングに蓋をしたいところ。前節に好パフォーマンスが光った泰基ですが、特に前半は人に意識が行って大事なエリアを空けてしまうシーンがありました。確実にそこを突いてくるのがホームチーム、周囲と連携しながら上手く守る必要があります。

そして守備でもハードワークが光る太田修介と三戸舜介のSHコンビはまたしても頼りに。超超頼んだ



苦しい時間帯、そして追い打ち

直近3戦は後半になるとボールも試合も支配されて守備に回る傾向にある新潟。

・相手がリスク込みでGK.CBにプレスをかけてくる
=余裕を持ってプレス回避できない
単純に選手達のスタミナが落ちる

リードして迎えているという側面もありますが、この傾向に対しては何かしらの手を打ちたい所。それに浦和には(元新潟の)荻原拓也・関根貴大など動き回ってチームに活力を与えられる選手が控えており、途中出場の選手にそういった選手がいない新潟にとっては中々嫌な存在です。

そして時間が経過する毎に強くなる後押し、浦和サポーターの存在もあって相当苦しい後半戦になりそうなアウェイチーム。

その時点でのスコアを予想せよと言われてもあの岸田総理でも検討がつかないでしょう。ただ、もしリードして迎えるようなら川崎戦で見せたピッチ全体を使った巨大ロンドで相手もボールも時間も動かしていきたいところです。殴られ続けた広島戦から終盤の振る舞いを徐々に良化させてきて、次節も更なる積み上げを発揮できるのか。

強力な相手、そして全く良い思い出の無い対戦カードに対して新潟のフットボールで渡り合った上で連勝を飾る。今後更に上を目指すつもりなら善戦ではなく勝利を掴む必要があります。良いも悪いも全てを含めて楽しみな一戦は3.18 駒場スタジアムにて開演。果たして、貴方はどのようなテンションで週末を終える事になるのでしょうか。


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