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今週の選挙(2024 10.27投票) 後編


 「出まくりマンとオレンジの幸福な万博編」と題した前編に続き、本日は後編。
 コチラも衆院選以外のものを取り上げます。 総選挙と重ならなければ大注目されただろう選挙が目白押しです。 是非ご覧ください!




◎北海道・釧路市長選挙

 5期目を目指す現職に、道議を辞した新人2人が挑む選挙は、50歳の元道議が市長初当選を果たしました。

 鶴間候補は市議を4期務めたアト、4年間の浪人生活の間に道議選と市長選に落選。 そして昨年、念願の道議に当選した、のですが僅か1年半で辞職し再び市長選に挑みますが、せっかく掴んだ道議の地位を易々と手放す姿勢には疑問を感じていたのですが、見事当選し、道議を辞めてまで出馬した大博打に勝利。 お見事です。

 敗れた現職と新人は共に自民の支持を受けていていました。(当選した元道議も保守系らしいですが立憲や共産から応援されていた模様) 同日に行われた衆院選で釧路市を含む北海道7区では自民の鈴木貴子氏が当選しており自民支持層は多いものの票が2候補で割れたのが響いたようです。

 現職は他候補よりSNSを利用して発信するなど精力的に選挙運動していたようですが、多選批判を跳ねのけるコトは出来ず、保守分裂の構図もマイナスとなり、最下位に沈みました。


◎青森県・田舎館村長選挙

 4期務めた現職が出馬せず、次の座をいずれも村議を辞して出馬した4人で争う選挙は、4期途中まで村議を務めた候補が初当選を果たしました。

 現職は御年87歳と全国で最高齢の首長で、前回の選挙も高齢批判の中で出馬しており、なかなかその座を譲ってくれなかった人がやっ・・・とどいたというコトで「次は私が!」と候補が多数出てきた、この選挙。
 「52歳女性」「67歳男性」「69歳男性」「72歳男性」と選択肢がある中、全国最高齢の村長が君臨していた次、となれば若い候補を選ぶのだろうと思っていたら、当選したのは「72歳男性」の候補だったのだから驚きました。

 ただコレを村議のキャリアで並べてみると、「1期1年」「3期9年」「5期12年」「5期17年(※村長選1回、県議選2回落選アリ)」となり、5期のキャリアが有って落選契約の無い人を選んだものと思われます。

 しかし、87歳の町長の次が72歳というのも・・・ まぁそれでも15歳若返ったワケですが。


◎山形県・飯豊町長選挙

 4期務めた現職が出馬せず、次の座を巡り元副町長と元町職員が一騎打ちで争い、元町職員が初当選を果たしました。

 現職の2期目から無投票が続き選挙となるのは16年ぶり。 副町長が出ているというコトは恐らくそこに禅譲する流れなのでしょうが、それに抗って出馬して当選したのが町の職員だった、その名も「嵐」氏。 名字が「嵐」なのです。 珍しい。

 サスガに名前のキャッチ―さだけで当選したワケではないでしょうが、元副町長を僅か44票差でしたが倒したというのは大したものです。

 ちなみに彼のYouTubeチャンネルは「あらし正人のA・RA・SHIチャンネル」という名前で、昨年改名した某芸能事務所と同曲を踊るのが得意な某党の政調会長からクレームが来ないかと心配になってしまいますが、某政調会長は衆院選で完全落選したのでクレーム来るコトはないでしょう。 ひとまず安心して町長職に就けそうです。


◎茨城県・つくば市長選挙

 3期目を目指す現職に県議を辞した新人が挑む一騎打ちは、現職が3選を果たしました。

 「市長の退職金をネット投票で決める」というトンデモな案を出し、それで退任するならまだしも、またしても市長選に出てきた現職。  新人候補は自民系で組織力は高かったものの、人口が増加して住民の平均年齢が県内で最も若いつくば市では、先述のトンデモ案を出すような “キャラ立ち” した人が人気を得やすく、加えて衆院選前に赤旗がスクープした「裏金」「2000万円」問題で自民に逆風が吹き、つくば市を含む茨城6区で立憲の青山大人候補が当選した流れも有り、現職が当選したのでした。

 この市長のトンデモについては冒頭に載せた「今週の選挙 後編」に詳しく載せているので是非読んで下さい。 マジで酷いから・・・


◎茨城県・つくば市議会議員選挙(定数28/46人)

 現職19人、新人27人(!)立候補し、党派別では地域政党「つくば・市民ネットワーク」が4人、公明と共産が3人ずつ、自民が1人立てた、女性候補12人の選挙は、現職2人、新人16人が落選し、女性候補は8人当選しました。

 候補者の約4割、18人が落選するという超激戦。 しかも新人がほぼ議会定数と同じ27人も立候補した選挙でしたが、終わってみれば落選18人中16人が新人候補で、実績重視で市民は投票したのだと “一見すると” 見えます。

 私が注目していた候補の結果を見ると、

 前回の市議選で「街頭演説をしない」「選挙カーを使わない」「寄付を募らない」「後援会も作らない」で、「ひたすらゴミ拾い」をする選挙運動が注目されて3位で当選した川久保氏は、今回2位当選。 1期目の実績が評価されたのでしょう。 

 今回「33歳シングルマザー」の新人候補が出馬し、1期目の上位当選が「女性だから」「かわいいから」という理由で投票する「スケベ票」だけでは無かったコトが証明されました。 そして今回その票を多数集めたであろう33歳の候補も、16位で当選しています。

 つくば市の魅力をSNS等で発信していて前回市議選に出馬し19位で初当選した「勝手につくば大使」こと小村政文氏は今回18位で当選。 コチラも獲得票を積み増しています。 ただこれは1期目の実績以上に、自民会派入りして組織票を得たコトが大きかったかと思われます。
 初当選時は市の魅力を伝えたいピュアな若者だった彼を、ちゃんと招き入れて自党の戦力にする・・・ サスガです。
 これこそが自民の強さ。 左派政党、左派会派にも是非見習っていただきたい。

 その他、「オレをこき使え!!」というコピーを掲げている候補は24位で当選したので是非焼きそばパンを買いに走らせたいと思ったりなのですが、、、 

 残念なお知らせです。 絶対当選させてはいけないコイツが26位で当選してしまいました。
 コイツの見た目の良さは抜群なものがありますが、これまで、かすみがうら市、千葉県柏市、取手市の市議選に出て、いずれも落選。 市議選は「居住要件」があるため、その度に引っ越して出馬し、落選したらとっとと次の地へ向かい、遂につくば市で当選してしまったのです。
 上記3市の有権者はヤツの “正体” を見極めて落選させたのに、そんな人を当選させてしまったのですよ。 つくば市民の皆様!

 案の定、彼のSNSを見ると選挙後の更新は一切ナシ。「当選の言葉」すらありません。 そんなヤツなんですよ、コイツは。
 まぁコレでこれから4年間(他の選挙に目が眩んで辞職する可能性も有りますが)他の選挙に出ないのであれば茨城&千葉県民及び選挙クラスタにとっては安心です。 どうか責任もって “保護” して下さい。 それが当選させた「責任」です。

 なお、党派別でみると共産候補が3人中2人落選しました。 獲得票数も前回の6,263票から7,484票に増えているのに、当選した1候補が前回の2,639票(14位)から3,867票(6位)と、増加分全てを持って行った形になり他の2候補は伸び悩んで落選。 議員も1人減って僅か1名に・・・ 共産って票割りが出来ていたハズなのに段々出来なくなっているのは、やはり組織力の弱体化なのでしょうか。 残念です。


◎新潟県・阿賀野市議会議員選挙(定数16/18人)

 現職10人、元職1人、新人5人が立候補し、党派別では共産が3人、公明が1人立てた、女性候補1人の選挙は、新人2人が落選。 女性候補は当選しました。

 コチラは共産が70代の現職3人が立候補し、前回は8位、12位、14位でしたが、今回は12位、14位、16位。 更にギリギリでしたが、コチラは何とか3候補当選となりました。

 3候補が元気なうちに若手に代替わりした方がイイのですが、そもそもそういう人材がいれば今回そうしてるハズなので・・・ 4年後が心配でなりません。


◎石川県・七尾市長選挙

 2期目を目指す現職に市議を辞した新人が挑む一騎打ちは、現職が2選を果たしました。

 能登半島地震で大きな被害が出て、和倉温泉に建つ 「日本一の旅館」として名高い加賀屋も未だ営業再開できていない中で行われた市長選。

 同時に行われた衆院選で七尾市を含む石川3区では立憲の近藤和也氏が自民の西田昭二氏を破り当選。 現職には岡山県総社市長やアルピニストの野口健氏(!?)から応援メッセージが贈られていて「大丈夫か?」と思いましたが、当選の挨拶をする現職の背後に飾られた為書きを見ると神棚を挟んで左右に馳知事と近藤氏が並ぶ一方、自民国会議員の報告会に出席し小泉進次郎氏とツーショットの写真をバンバン載せていた新人は、落選の挨拶をした背後に馳知事と西田氏が並んでおり、その “序列” から見て衆院選同様、非自民寄りの候補が当選したというコトなのでしょう。

 ただ、約千五百票差という僅差が物語るように、現職に対し「復興が遅い!」という批判があるのは事実。 選挙も終わったので更にギアを上げて街の再建に取り組んでいただきたいものです。


◎山梨県・笛吹市議会議員選挙(定数19/23人)

 現職14人、新人9人が立候補し、党派別では公明2、共産1人立てた、女性候補5人の選挙は、現職1人、新人3人が落選。 女性候補5人は当選しました。

 この選挙、候補の中にプロレスラーがいるため、プロレスファンとして注目していたのですが、なんと、ブービーで落選!

 先月取材した甲斐市議補選の記事でも書いた、「シアタープロレス花鳥風月」の流れを汲む大会が開催された際に「山梨県笛吹市在住レスラー」として出場しており、所属レスラーが選挙に出る率が異様に高い同団体に触発されたか、市議選に立候補し東スポで大きく報じられたりしたのですが、結果はブービー落選。
 プロレスラーが市町村議選に出れば当選はするものですが、現在笛吹市に住んでいるとはいえ出身は大分県別府市。 笛吹市内に親類縁者がいるとは思えず、地縁血縁で票を投じる人が多い山梨県の有権者気質には受け入れられなかったのでしょう。
 まだ29歳と若く恵まれた体格を持っているのだから、やはりレスラーとして鍛錬を積むコトを優先してほしいなと、希望します。


◎長野県・千曲市長選挙

 2期目を目指す現職に市の経済部長だった人が挑む一騎打ちは現職が2選を果たしました。

 この選挙は本来取材に行かなくてはならないものでして、

7月の市議選を取材した際、市長選に関する情報を多数入手したのでそれを披露するためにも行きたかったのですが、個人的な事情で取材できなくなり申し訳なく思っています。

 千曲市は現在、上信越道に屋代スマートICを作る計画が進行中。 その他、長野道姨捨PAのスマートIC化や戸倉地区の河川敷に総合運動公園を作る計画や道の駅建設計画など、「どっからそんなお金出てくるの!?」といった計画が多数上がっており、どれを優先するのか、そもそも必要なのか、などが問われています。
 また、千曲市役所の退職者が多いコトから現職には何らかのハラスメントをしているのではないかといった疑惑が有ったり(現職は否定)、新人にはかつて市政を伏魔殿のようにしていたと言われる前職がバックについていると言われていたりと、候補者個人(及び陣営)に対する批判も巻き起こっており、とても荒々しい展開となっております。 これらのコトを現地で確認したかったのですが、、、 本当に申し訳御座いません。

 同日に行われた衆院選は千曲市を含む長野3区で立憲の神津健氏が自民の井出庸生氏を破っています。 市長選候補の両者の党派性がハッキリ見えないのですが、4年前の選挙に倣えば現職は政党色の薄い一方で、自民をバックに組織戦をしていた前市長の支援を新人は受けていたと言われているため、そうであるならば現職に有利だったとも言えますが、前述の通り党派性が見えないため何とも言えません。

 ただ、現職は信濃毎日新聞に「時に感情的になる」と評されるような人で、私もそれについてはいくつか話を聞いています。
 4年前に取材したときはそんな印象を全く受けませんでしたが、権力を手にして人柄が変わってしまったのでしょうか。 もしそうならもう一度襟を正して職員に接して下さい。
 強いトップダウンを以って市政を変える時代は、もう終わりましたよ。


◎滋賀県・湖南市長選挙

 1期務めた現職が1月に転倒して腰椎を圧迫骨折、現在も車椅子で公務をしており健康面に不安が有るとして出馬せず、前職、元市議、元教育長の3人で次の座を争った選挙は、元教育長が初当選を果たしました。

 3候補の中で唯一政治家経験が無く、出馬表明が告示11日前。 掲げるスローガンが「市民笑顔率世界一!」という「アレ」なモノと不安要素が多かったものの、体調不良で退任する現職から後継指名されたという事実はそれらを吹き飛ばす圧倒的なアドバンテージとなり、接戦を制しました。

 私としては既に4期務めた経験が有る前職が当選すると通算5期目と多選市長が誕生するのは避けてほしかったし、何より本人がネット右派系の思想を持つ議員、首長と繋がりが有ったので、それが避けられたのは良かったと思っていますが、退任する現職は「何もしない」という評判が多かったのも事実です。
 それを継ぐ立場になり「傀儡市長」と言われないように独自色を出してバリバリ働いてほしいなと思います。



以上です
当選された皆様の御活躍をお祈り申し上げます


「選挙結果振り返り」テーマ曲
ギターパンダ / 選挙に行ったけど


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