なすびちゃん

エッセイと、小説と、感想を書けたら良いな。

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閉ざされた夜

満たされた夜に小説を書くのが好きだった。 日頃の憂を全て忘れて、唯一の趣味に没頭できる寝るまでの数時間の事を、私は「満たされた夜」と呼んでいた。 昼の間は、何か小説の題材になりそうなものがあればすぐ紙に書き記した。 夜になると、そうして溜まった紙の山から面白そうなものを取り出しては文章を書いた。満たされた夜にしか書けない話が、沢山あった。 私は今迄病院に行く事を頑なに拒んでいたのだが、それは、病というものが私にとって呪いとなるからである。 幼い頃、外で元気に走り回った後家に

    • 能を見る為のお金でアイシャドウを買った

      駅にはたくさんのポスターが張られている。 私は、日々入れ替わるポスターを見るのがとても好きだ。 いつも使っているような駅でも、張られているポスターが違うだけでなんというか雰囲気がガラリと変わったように感じる。 いつも通りバイトに向かう為に電車を降りた私のの私の視界に、ある一つのポスターが映った。 「若手能」 よく近づいて見てみると、どうやら若手による能が来年の1月下旬ー今から2か月後にあるようだった。 緑色に、白い文字と人形?が載っているだけの凄くシンプルなポスターだった

      • クリスタルガイザーを見る度に思い出す話

        18歳の頃の私は散歩をするのが好きだった。 あの頃はなんだか毎日が限界で、今だったら絶対に真似できないほど荒んだ日々を送っていた。 毎日死にたかったし、脳死で週6のバイトをしている現状や、これからの未来のことなどを考えると毎日が憂鬱だった。 それらのストレスはかなり大きくて、バイトをしている時以外はたいてい塞ぎこんでいた。 ストレスの解消法はコンビニで買った食べ物を好きなだけ食べること。それでも回復しない日は自分の気が済むまで散歩をしていた。散歩をすると頭がすっきりして、一時

        • クリスマスについて

          なんだか、子供の頃のクリスマスの暖かい記憶を思い出して胸が締め付けられるようになったので「クリスマスの空気切ない」とツイートしようとしたのだが、ふと「そういえば切ないってどういう意味だっけか」と気になり検索をしてみたら「悲しさ・寂しさなどで、胸が締めつけられるような気持」と出てきて、 そこで「あぁ、切ないという言葉は悲しさを含んだ意味だったのか」と気がついた。 確かに広い意味で言えば昔のキラキラしていて無邪気だった自分と今の自分を比べると寂しい気持ちにはなるのだがそれとは意味

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        閉ざされた夜

          子供の頃のひなまつりの思い出

          今年の3月頃、Twitterでこんな呟きを見た。 「ひな祭りのご馳走といえばドラえもんの入れ物に入ったちらし寿司。ひな祭りが近づくと流れるちらし寿司のCMに胸を弾ませた思い出」 この呟きを見た瞬間に、ぶわーーっと昔の記憶が蘇ってきた。  なんだか水の中にいるような感覚だった。 なんで、こんなに好きだったものを今まで忘れてたのだろう。 私は小さい頃このドラえもん寿司を母によくねだっていたが、その頃の母は今と比べるとうんと厳しかったし、 「そのドラえもんの箱が必要なの?中身は

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          私が雨を降らす時

          このワンピースを着ると100%雨が降ります。 それも土砂降りの雨が。 これは私の体感ですが確実な情報です。 ピンクの花柄で、七分丈で、春に着るには持ってこいのワンピースですが、これは特別な日にしか着られません。 私は、好きな人に会いに行く時だけこの服を着ます。 ワンピースに合わせてピンク色のメイクを施したら、髪の毛もふんわりと巻いて最後にピンクのリップをつけます。 最高に可愛い私のまま外に出ると、やはり雨が降っています。 それはこのワンピースを着ているから。    雨

          私が雨を降らす時

          描きかけた漫画はどんな手を使ってでも完成させるべきだった

          小学生の頃の私の夢は漫画家だった。 「ちゃお」という少女漫画雑誌を愛読していたから、そのちゃおで連載を持つ事を夢見ていた。 暇さえあれば絵を描いたり漫画を描いたりしていたけれど、思えばきちんと完成させた作品は一つも無かった。 基本的に見切り発車で、主要人物や自分の描きたいシーンだけはノートにメモをしていたが、どういう風にお話が進みそしてどういう風に終わるのかという一番重要な部分を考えずに漫画を描き出してしまい、話が続かず飽きてしまいまた別の作品を描き出すという事を繰り返してい

          描きかけた漫画はどんな手を使ってでも完成させるべきだった

          半ば刷り込みのような黄緑

          小学生の頃から人目を気にし、過剰なまでの自意識を抱えながら生きていた私は、本当はピンクが好きだったのにも関わらず水色を好きな色として『設定』した。 ピンクに比べて大人っぽいイメージがあったし、それでいて誰にでも似合う色だと思ったからだ。 他人から変だと思われる要素は極力排除したい。その為にはピンクが好きな私なんて捨てても良いと思った。 「変だ」「似合わない」って、 実際に周りの人からそんな風に直接言われた事もあるけど、それ以上に自分が作り出した周りの声の方が遥かに大きいと思

          半ば刷り込みのような黄緑

          冬は早朝に来たれり

          目が醒めると午前3時だった。 2日前に風邪をひいてしまってからずっと寝込んでいたのだが、この身体の軽さからして体調はかなり戻ってきたようだ。 季節の変わり目が近づいてくると、私は必ず風邪をひく。 熱は数日で下がるとしても風邪の症状自体は更に長期間続く。 日頃の不摂生が祟って免疫力や回復力なんて無いに等しいから、完全な回復までに通常で1ヶ月程度、酷いと前の風邪を引きづったままで新しい風邪を迎える事もある。 こんな事が季節の変わり目毎、つまり最低でも年に4回はあるというのだからい

          冬は早朝に来たれり

          女の人はなぜいい匂いがするのか

          あれは小学校高学年の頃の出来事だった。 ある日、私が仲良くしている女の子からいい匂いがするという事に気がついたのだ。 前からいい匂いがしていたわけでもない。かと言って今日いきなりいい匂いがしだしたかというとそういう訳でもない。 私が気づいたのがたまたま今日だったというだけだ。 昔から、「女の人」から良い匂いがするというのはなんとなく分かっていた。 毎年、夏休みになると大阪のおばちゃんの家に遊びに行っていたのだが、都会ですれ違う綺麗な女の人はみんないい匂いがしていた。

          女の人はなぜいい匂いがするのか

          雨の降らない夜に傘をさす

          今日は友人と遊んだ。 長話が過ぎたのか、友人と別れた頃には25時を回っていた。 今日はたくさん遊んで疲れているのではやく帰りたいところだが、もう電車は動いていない。 あまりこの時間に出歩きたくはないのだが、一駅分だし良いかと思い、私は歩き始めた。 何度か歩いて帰った事はあるので大体道は分かる。この辺り一帯は住宅街になっていて、 流石にこの時間になるととても静かで薄暗い。夜だから当たり前のことなんだけど、人がたくさんいる場所にもかかわらず、その姿が見えないってのがなんだか怖い

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          僕は吸わない煙草を半額で買った

          近頃、煙草はどんどん値上げをしている。 数年前にはエコーとわかばが値上げされたが、あの時は本当に驚いたものだ。 エコーなどのいわゆる旧三級品と呼ばれている煙草はニコチンがきつく吸えたものではないのだが、安いという理由でよく売れている。 しかし、1箱に300円もかかってしまうのなら、それはもう安い煙草だなんて言えないだろう。 最近になってから、更に驚くべきニュースが飛び込んできた。 「旧三級品が販売を終了する」というものだ。 まあ、完全に廃止されるという訳ではなく、紙巻き煙草

          僕は吸わない煙草を半額で買った

          彼女が春を連れてきた

          日本には四季がある。とは言うものの、最近は段々と二季になりつつあると思う。 温暖化の影響?詳しい事は分からないけれど、春と秋の期間がどんどん短くなってきている。 「四季」なんていうとまるで4つの季節が平等に訪れるように聞こえるけど、実際のところ、春と秋の期間は短い。というか殆ど無いに等しい。 誤解を呼ぶから四季なんて呼び方はやめて欲しい。 来年は春と秋が来るのかと、期待をしてしまうから。 きっと多くの人が同じ意見だと思うけれど、私は夏と冬が嫌いだ。 夏は、日焼けもするし、

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          先生に塗られた青

          小学生の頃、図工の時間に自分の似顔絵を描くことになった。その頃の私はちゃおを愛読していたので漫画系の絵を描くのは得意だったのだが、逆にリアル寄りの絵は全くと言っていいほど描いたことがなかったので苦手だった。 普段描く絵はそんなに下手な方でもないのに、授業で描かされた苦手な絵だけで、「この子は絵が下手だわ」と判断されたら嫌だな〜、なんて過剰に心配をしながら描いていた事を覚えている。 わたしは、苦戦の末なんとか下書きを終えて色塗りに取り掛かり始めた。この「色塗り」という作業も当

          先生に塗られた青

          はじめまして

          以前からやろうやろうと思っていたnoteですが、ついに始めてしまいました。 友人が小説を投稿していたり、私の大好きなオードリーの若林さんがnoteを始めたのを見て、いいな〜と思ったので謎に書き溜めていたエッセイ的なものを投稿していけたらなと思っています。

          はじめまして