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本当はわかっていたお産の痛みの話

息子と主人と散歩に出かけ、
家の近所の桜を見た。
それは作り物か何かのように、
わざとらしいほど
やけに綺麗に咲いていた。

去年の春、大きなお腹を抱え
主人と至る所へ散歩に出向き、
桜を見たのを思い出す。
日に日に大きくなっていくお腹と、
胎動を感じながらも、
出産や、それに伴い赤ちゃんが現れることに対し、
まるで現実味がなく、
来年は本当に
主人と息子と三人で桜を見ているのかしらと
どこか他人事のように
考えていたのを
昨日のことのように思い出せる。

あれから一年が経ち、
出産を経て息子が現れたわけだが、
出産の痛みも、息子の顔も、
ずっと前からわかっていたような気がするから
不思議である。
出産に関して、
人生において確実に目下一番の痛みであったが、
どこか腑に落ちるような痛みでもあったし、
あんなに不思議めいていた息子の顔も、
無事に見ることができた今となっては、
なんだかずっと前から知っていたような
そんな気さえする。

なんにせよ、家族三人で
桜を見ることができたことに
感謝の気持ちを抱きつつ、
桜を背景に撮ってもらった
息子とのツーショットにて
つい目をかっぴらき
デカ目効果を狙ってしまった
母を許してほしい。


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