父親たちの星条旗の話
先日「プライベートライアン」を
鑑賞したことで、
「今の自分は戦争映画を見ることができる」という
妙な自信をつけることができた。
歳をとったからなのか、
出産という自分の中で衝撃的な体験を経たからか、
良くも悪くも感覚が鈍麻になっている。
そこでこの際、
今まで勇気がなく
見ることができなかった戦争映画を
片っ端から見ていこうと思い至った。
そして今回は、
クリント・イーストウッドの
「父親たちの星条旗」を鑑賞した。
硫黄島での死闘を生き残り、
摺鉢山に星条旗を立てたことで
人生が変わってしまった
三人の海兵隊員を中心とした
物語である。
国債キャンペーンに利用され、
アメリカ各地をツアーする三人の
硫黄島での凄惨な記憶が
度々フラッシュバックする形で描かれている。
これがある程度緩急のついた
飽きさせない作りなのかもしれないが、
自分にはなぜか全体的に単調に思えた。
特に「プライベートライアン」での
兵士達の束の間の休息シーンから
否応なく戦闘が始まり、
次の瞬間には辺りが地獄絵図になっているという
緊張感と臨場感のある画を見た後では
少し物足りなかった。
とはいえラストの
「戦場に英雄はおらず、
誰も一人の人間であるが、
それを作り上げないことには
命を犠牲にすることを正当化できない」
というようなモノローグと、
海兵隊員たちが
制圧した硫黄島の海辺で
無邪気に海水浴をするシーンは
切ないものがあった。
三人の末路についても、
特にアイラに至っては
悲壮であった。
日米共同制作であり、
日本側の視点から描いた
「硫黄島からの手紙」も
ぜひ鑑賞したいと思っている。
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