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なんの小説の一文だったか思い出せない話

「人は幸せの絶頂にいる時ほど、
今まさに幸せの絶頂へ向かっているのだと
感じてしまう」というような一文のある小説は、
誰のなんという小説であっただろうか。
ここ数年ずっと思い出せずにおり苦しい。
なんとなくハッとさせられ
印象深いものの、
そこまで物語の根幹を担うような一文ではなく、
本の中でさらりと出てきた程度であり、
また私が正確に覚えていないため、
どのように検索しても
一向にヒットしないのである。

まず外国文学だったか日本文学だったかも
定かでない。
なんとなくフランソワーズ・サガンや
スコット・フィッツジェラルドのような気がするが、
日本人作家だったようにも感じる。
フィッツジェラルドといえば
グレートギャツビーの最後の一文は
作者の墓石に刻まれるほど有名であるが、
この一文もそのように
有名な一文であればすぐに見つかったかもしれない。

もはや「この一文の出てくる小説を読んだことがあり、
さらにこの一文に対し印象深く思ったことがある」
という非常に限定的な条件を満たす人物に
偶然巡り会うことでしか
答えを知る術はないように感じる。
一縷の望みをかけて
読書家である主人に聞いてみたのだが、
わからないとのことであった。

それにしてもこの一文には
共感しかない。
これから幸せの高みへと
上り詰めていくのだろうなと
思っている時ほど、
後になってみれば
実は幸せのピークであったというようなことは
私の人生において大変ありがちなのである。
いっそ私が思いついた一文ということに
して良いかもしれない。
ダメか。



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