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延命治療で管だらけの最期迎える日本医療と無理な延命処置が行われないスウェーデンの平均寿命が変わらない現実。

決して他人事とは思えない問題だ。東京福生病院で腎臓病患者の女性(44)が人工透析中止を選び、意思確認書に署名した1週間後に死亡した。今年3月、そのことが報じられると、病院が〈死への誘導〉をしたと批判され、意思確認や手続きが適切だったのかが問題視された。女性は亡くなる前日に「透析を再開したい」という趣旨の発言をしていたという夫の証言もあった。

延命治療を続けるのか、やめるのかという判断は非常に難しい。そもそも延命治療とは、何か。病気や事故、老衰などで、回復の見込みのなくなった終末期と判断された患者の命を少しでも延ばすために人工的な処置を施すのが延命治療と呼ばれています。

医療の大原則は『患者の意思の尊重』ですが、日本は先進国で唯一、延命治療を差し控える、ないし中止してほしいという患者の意思が法的に担保されていません。だから病院側はのちに遺族から訴えられるリスクを回避するため、患者に延命治療を勧める傾向がある。本人の意思やQOL(生活の質)よりも家族の意向を優先して亡くなるまで延命治療を続けざるを得ないのが日本の医療の実態である。

実際の延命治療は、苦痛を伴うものが多い。延命治療を選択した場合、意識のない状態で寝たきりの人生を送ることになります。自力で喀痰を排出できない場合には、喀痰吸引や気管切開部のチューブ交換が行なわれ、それは患者に耐えがたい苦しみをもたらします。また、胃ろうや経鼻胃管などでは患者がチューブを抜いてしまうのを防ぐため、四肢や体幹を拘束されるケースが多い。

事実、多くの人は延命治療を拒否する意思を持つ。平成29年度の厚労省の「人生の最終段階における医療に関する意識調査」によると、末期がん治療での「経鼻栄養」は望むが9.8%、望まないが64.0%、「胃ろう」は望むが6.0%、望まないが71.2%、「人工呼吸器」は望むが8.1%、望まないが65.2%と、望まない人の方が圧倒的に多い。

高齢者の多くは『人生の最期を管だらけの身体で迎えるのは嫌だ』と思っています。何年も寝たきり。年金目当てで無理やり生かされる高齢者が多く。ある病院は9割が寝たきり患者で経営している病院も少なくはないのが日本の医療だ。

日本人が本気で向き合うべき延命治療

日本人の平均寿命は80歳以上といわれています。周りを見ても元気なお年よりは多いですよね。しかし、寝たきりの人が多いのも事実です。平均寿命は80歳といわれていますが、健康寿命は70歳程度といわれています。この健康寿命は、日常生活を普通に送ることができる期間のことです。つまり、70歳を超えると、寝たきりになる確立が高くなるのです。医療の技術も進歩し、寝たきりのままでもさまざまな治療を受けることはできます。そして、最後までがんばるという人も多いし、家族が望むこともあります。

日本では寝たきりの老人も多いですが、欧米諸国には寝たきり老人がそもそも存在していないとも言われています

日本と欧米では、何が違うのでしょうか。たとえば、福祉大国といわれるスウェーデンにも寝たきり老人はほぼいません。手厚い看病を受けることができそうですが、高齢者は病気になっても積極的な治療を行わないことが多いようです。病気で食事が取れなくなったとき、日本では胃ろうや点滴などを行いますが、スウェーデンの場合はそういった処置は行われません。

無理な延命をせずに、自然な死を迎えるという価値観があるからです。これは、欧米諸国では一般的な考え方となっています。

寝たきり老人がいないスウェーデン

スウェーデンではたとえ肺炎になっても内服薬が処方される程度で注射もしない。過剰な医療は施さず、住み慣れた家や施設で息を引き取るのが一番だというコンセンサスがあるのです。

介護する側もされる側も、寝たきりにならないように努力をする。それでもそのような状態に陥ってしまえば、それは死が近づいたサインだということで潔くあきらめる。それがスウェーデン流の死の迎え方なのだ

このような介護体制を根底から支えているのは、充実した介護福祉の人材である。介護士は独居老人の家を頻繁に回り、短い場合は15分くらいの滞在時間でトイレを掃除し、ベッドメイクを済ませ、高齢者と会話をして帰るというようなことをくり返す。

日本では介護というと、どうしても医療からの発想になりがちで、手助けよりも治療という対処に傾きやすい。日本の場合は病院経営をする医師などが主導権を持っているケースが多く、すぐ投薬・治療という方向になる。

しかし、スウェーデンの場合は介護士たちが大きな権限を与えられていて、認知症の場合には薬を使うよりも、本人がどんな助けを必要としているか汲みとることが重視されています

日本では介護士というと薄給なわりにきつい仕事というイメージだが、スウェーデンでは安定した公務員で、経済的に困窮するようなこともない

スウェーデンでは認知症の人のうち約半数が独居しているという。しかしそれで大きな問題が起きたこともない。日本では2007年に認知症患者が徘徊して起こした鉄道事故で、監督責任を問われた遺族が鉄道会社から損害賠償を求められるという裁判があったが、このようなケースはスウェーデンでは考えられない。

スウェーデンでは、介護の負担はすべて国や自治体がします。国は一つの大きな家族であるという発想が定着していて、家族が介護のために経済的負担を強いられるということもありません

また、施設を訪れた家族が、食事や入浴の手伝いをすることもまずありません。家族は一緒に楽しい時間を過ごしてもらえばそれでいいのです。

老後破産や孤独死、老老介護による共倒れなどがますます深刻化している日本の現状から見ると、まさに北欧の楽園。

延命治療を受けることと、自然な死を迎えること、どちらが良いかは人それぞれです。長期間の延命は、本人だけでなく家族にもさまざまな影響を及ぼします。延命治療を避けたいなら、延命を拒否する文章を残しておいたり、家族とあらかじめ話し合っておく必要があります。自分の終わりの迎え方を考えてみるのも良いかもしれませんね。  

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