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憶えていても寂しいので

貴方の言葉を心臓に染みわたらせると震えるように涙が出ること、私はうれしかった。ゆえに理解しようとそればっかりで繊細な機微を踏み荒らしていた感覚があります。 これからのことについて、これでよかったのだと、正しかったのだと思います。 光を可知できたときがほんとうの幸福だった。でも幸せだったわけではないの、だから届かなくていいんです。あの日々のこと私は好きでした。自分だけがいつも我儘です。 結局私はくだらない人間だから、最悪の寂寥をとどめきれなかった。でも祈りがあるって思った

    • Sleep Walk

      錆びた梯子の生温かさ、高台からさらに一段昇ったら攫われゆくよう、夕陽が涼しく、山々は遠かった、小さくならなくては、軽く、狭く、空へ上ってゆけるように 水が透明になるのは、縁がちゅるんと騒ぐのは今日だけだった、地の聲に振り向かずにはいられない、たしかに逢えたのだ、追いかけても追いかけてもまどろみ 斜めに伏して祈る女、み空は晴れることなく、森の中の赤いポストから辿り着く知らせ、ふと思い返すことといえば光、靄となり消えるのは私でよかったという 信号機が変わることさえ崩れ落ちる

      • 十月の朝香

        目醒めるときはいつも喧騒であった。もううんざりしていたが酷薄な私はひらくことしか許されなかった。しかし毎朝恐る恐る覗いても"削除されました"と刻まれているだけだった。 冷たい柱に括りつけられた私は焦点の合わない瞳を憎んでいた。だが祈った。両手首を支えている薄い布はやわらかく縛り方もゆるいので一人で解くことは易かった。地に戻り微笑みながら膝の上で布を畳む自分は一体何に見えるだろう。 陽の光がよく当たりますようにと窓を開け放されて落胆した。朝ごはんは何処にあるのかと問うても音

        • おかしい街

          高校3年間毎日帰る途中たすけてって見つめた交番にケーキの落とし物届けた。落とし主が見つからなかったら私のものになるんだって。じゃあ印刷して配りたかったな。 息ができないのにスーパーで野菜買ってとか言われて断る私だけがおかしい街 真っ暗なのに向かいのビルが眩しいとか言われて頷く私だけがおかしい街 知られたくないから見つけないように届くなとか唱えて隠す僕等だけがおかしい街 愛しかないから微笑むだけで生きるとか唱えて眠る貴方も偶におかしい街

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        憶えていても寂しいので

          冴えない蒼色の真珠

          かつてわたしだったものが空漠のうちに砂塵となる。誰でも最期は砕かれるものである。 地を続くはずが切りとられなかったはずが断片がゆるりと消滅する。空が蒼が忘れられる。あんな所まで行けるのかな。 あなたは一人の人間に固執しすぎよ。もっと輪郭をなぞりなさい。なだらかにしなさい。あとは境界さえ認識できればいいの。 麻酔なしで我慢したら琥珀色に輝きだした。 心臓を掴んで離さないのは芸術なんかじゃなく、なんだろうね?ああ、明日着る服が決まらないまま眠ることがとても不安だ。 やる

          冴えない蒼色の真珠

          I would get myu. kill me.

          I would get myu. kill me. みゅになってしまったの。殺して。 beat rabbit is cotton baby ビート兎は綿あめベイビー I only exist inside custard watanuki who are aware of my existence. 私の存在に気づいたカスタード渡狸の中にだけ私は存在しているのよ。 I am mini souvenir. 私とは小さなお土産です。 I wish the numbers

          I would get myu. kill me.

          八月の彩夏

          幸せとはそれ自体が漠然としているので掴むことが難しい。彩夏。 そうめんから煙が出ている。散りばめられた氷からなら冷たいし麺の湯気からなら熱いのだろう。 フローリングって柔らかくないのに暖かくないのに心地いい。陽が差し込むこともない部屋は苦しい。 蜃気楼って人生においてもう二度とみれないのかも。私の居場所ってないから。 夏の雲を感じられる人はこちらに向かって叫んでください。表層と象徴を冷たい象牙で破る。 グレアムのアイスレモンティー 爆発するほどのミニトマト 萎れ

          八月の彩夏

          氷菓を渡せたらいいな

          このままずっと想いを馳せるだけの一方通行だと思うと遣る瀬ない。 大きな音で突き落とされたんだから飛び降りなきゃだめだったんだ。だけどあの時舞い降りたのは声だった。何の音も聞こえなくても「わたしたちは光の戦士だよね」って言葉はたしかに届いていた。 神様に見放されてるってそんな筈ない。私のことはどうでもよくてそれ以外は何もかもが尊いのにまだ傷を抉らなきゃいけないなんて嫌だよ。 アヴェマリアを歌ってくれたのもまだおぼえてるんだよ。あんなに美しい旋律を忘れなくてはいけないという

          氷菓を渡せたらいいな

          地獄の樹

          数年前、向かい側に青年が住んでいた。青年は鉛筆を拾った。しかし翌日から二度と現れなくなってしまった。私が彼に「それが生きる理由でしょうに」と息を荒げて話しかけたからだ。 とぼとぼと俯く日々に無花果の木が立っていた。凛と目が合うので挨拶をした。「断ち切れない傷が煩わしいから逃げるのは、青いということ、苦いということ」と言い残し去っていった。微かに憶えているのはこの枝の一員だったということだけなのである。 地獄には大きな樹が立っている。

          地獄の樹

          ぬいぐるみぐるい

          暗転して目が慣れるとぬいぐるみの海があった。 人間がぬいぐるみを動かす様子がすき、ぬいぐるみが一人で動かないのがすき、それは空想の特権だから。 でもぬいぐるみは人間を知っているからすき。 「狂え。本質を見抜け」とかありえんつぶらな瞳で主張する。 ぼくらのぬいぐるみ戦争。物語なんかじゃない。

          ぬいぐるみぐるい

          この世界には沢山の思いが入り乱れているけど、大抵は、自分(他人)のために、”幸せになりたい、お金持ちになりたい、楽になりたい”などの何か一つの気持ちに対して動こうとする。単純に一つだけでは、答えが出ない。複合的に絡まって、色んな場所に散らばっている。永遠に答えは出ないかもしれないのに、それらを傷ついてでも拾っていこうと考える人がいて、また、この世界線で出会えたことが運命だと思った。運命って言葉じゃ足りないんだけど、その瞬間のために、今まで私は独りでもやってこれたのかなって思う

          ミザリーは仲間がだいすき

          なかったことにすればよかったのに。 言葉は閃光のように飛び降りていった。突き落とされたのはこのぼくだったはずなのに、肉体はまだここにある。ここにいたくない。たしかに突き落とされたのにまだ立っている自分がきらい。飛び降りたい。散るため舞い上がるのに。まだここにいる。 自殺することにその人の強さも弱さも関係ないと思う。現実との乖離具合なんだ。誰にも測れない。ぼくらはもう何も考えられない。瞬き一つせず欄干を摩っている。止めてほしいよ今だけは。勘違いすんな。 鈍い頭痛。攫うよう

          ミザリーは仲間がだいすき

          ふわふわの生クリィムたち

          真っ暗な夜、仄かな灯りのもと床で寝る。ベッドの横で寝る。とても安心できますアーメン。 それはそれはドールになりたいわよ。苛烈に憧れるドールの代わりに人間やってるの。 日本も地球も全部終わっていい。そう、その実、全部終わっていいと思う境地に行ったのは俺だけだから最低だ。勝手に終わっていいと思ったのは俺だけだ。 みんな苦しみたくないわかる。つらいのはわかってる。そうして、私が最終地点であることに気がついていないのなら、私はこの泥を一体誰に渡せばいいのだろう。 自転車が倒れ

          ふわふわの生クリィムたち

          Komm, süsser Tod〜甘き死よ、来たれ (和訳)

          I know, I know I've let you down わかってる、あなたを失望させ続けていること I've been a fool to myself わたしはずっと愚か者です I thought that I could live for no one else 誰かのために生きるなんて、できないと思っていたから But now through all the hurt & pain でも、すべての痛みと苦しみを経た今 It's time for me to r

          Komm, süsser Tod〜甘き死よ、来たれ (和訳)