Sleep Walk


錆びた梯子の生温かさ、高台からさらに一段昇ったら攫われゆくよう、夕陽が涼しく、山々は遠かった、小さくならなくては、軽く、狭く、空へ上ってゆけるように


水が透明になるのは、縁がちゅるんと騒ぐのは今日だけだった、地の聲に振り向かずにはいられない、たしかに逢えたのだ、追いかけても追いかけてもまどろみ


斜めに伏して祈る女、み空は晴れることなく、森の中の赤いポストから辿り着く知らせ、ふと思い返すことといえば光、靄となり消えるのは私でよかったという


信号機が変わることさえ崩れ落ちるほどかなしいことなのです。点滅がぼやけることも電子音の心地よさも感ぜられなくなりました。知らないことばかりで成り立ちます。無意識の悪に汚染されます。


おわり

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