弓道が気づかせてくれたこと
前回の投稿で、日本文化の美しさ等を伝えていきたいと書きましたが、
まず何をきっかけに日本文化というものに興味を持つようになったのか、を振り返りたいと思います。
私が明確に意志を持って日本文化に触れたのは、
弓道部に入ったことがきっかけでした。
突然ですが、
皆さんは「弓道」と聞くとどのようなイメージをされますか?
「弓を引いて矢を的に当てる競技だよね」
「矢の当たる場所によって点数とかあるの?」
「袴姿がかっこいい」
「精神統一が必要そう」
などでしょうか。
私は弓道を通じて、
競技としての弓道の根底にある日本の文化や美学の魅力に惹かれました。
幼い頃からずっとピアノ一筋で学校の部活にも所属しなかったのですが、
大学入学を機に「運動部に入ってみたい」という気持ちが芽生えました。
そこで、
運動部に入りたい
→せっかくなら今までやったことがない競技がいいな
→「〜道」と付く日本の競技が気になる
→でも自分はそんなに運動神経が良いわけではないし、素早い動きは苦手だな
→弓道・・・!
という発想に至り、弓道部に入部しました。
しかし、軽い気持ちで入部した体育会弓道部はとても規律が厳しく、毎日怒られながら練習をし、なかなか上達もせず、泣いてばかりの日々でした。
辞めたいと思うことも、何度もありました。
そんな日々の中で、少しずつ部に馴染んできて的にも当たるようになってきた頃、
ふと思いました。
「弓道では、射場に入り弓を引き、的場から出るまでの礼があり、道場の中での礼があり、的場での礼がある。そしてそれは、場所に対する礼儀・人に対する礼儀を学ばせてくれているのではないか。」
「弓道は相手を倒す技術を学ぶというよりも、精神的な修行のようなもの、自分の内面と向き合う儀式のようなものに感じる。弓道を通じて身体的に強くなるというよりも、精神的に成長しているような気がする。」
「試合の時間だけではなく、道場を掃除している時間、師範に教えていただく時間、練習中に仲間と向き合う時間、どの時間もただ「的によく当てるため」という目的だけではなく、人としてどう弓の道に向き合うか。を問われているように感じる。」
弓道には、決められた沢山の動きが出てきます。
簡単に分けると、
・射場に入る前の動き
・入ってから矢を番えるまでの動き
・矢を番えてから放つまでの動き
・矢を放ってから退場するまでの動き
です。
これには一つ一つ意味があり、さらに美しい動作で進めていくことができます。
指導をしていただいた時の返事の仕方や、他者が試合をしている時の声かけの仕方も決まっていました。
弓道は、型が綺麗なだけで当たるとは限りません。
もちろん基本的な型ができていることは大前提です。
ただ、教科書通りの動きをしていれば当たるわけではない。
私がやっていて思っていたのは、当たる人と当たらない人の差は、
的と自分だけの世界でいかに精神を統一して、無駄なものを取り去って、的と己と向き合えているか。だと思っていました。
これは、もはや闘いというよりも修行だと感じます。
長々と書いてしましたが、
「たくさん的に当てる!嬉しい!」「敵に勝つ!気分がいい!」「綺麗な型を極める!かっこいい!」
というようなことが弓道の真の目的ではなく(もちろんそういう気持ちもあります・・・笑)、
己と向き合い、健全な精神性を身につけ、己に勝つ。
他者や場を尊重し礼儀を尽くす。
自分はどう生きていくのかということを具現化する。
というのが弓道なのでは。と感じ、
「道」って奥深く、独特の文化だなあと感じました。
まだまだ不勉強な状態での浅はかな解釈かもしれませんが、
己と静かに向き合う姿勢や、
他者を敬い礼儀を尽くす細やかな心遣い、
繊細な動作等は
日本の文化のそこかしこに見られ、
日本が持つ魅力的な文化として世界の方々から評価を受けているよなあと思ったのです。
「道」という言葉には、
「人として正しい在り方を学ぶ」
という意味があるそうです。
「正しさ」は時代や国が変われば変わっていくものだと思いますが、
まさに私は弓道を通して、
尊重するとは何か、礼儀とは何か、美しい所作とは何か、真摯に一つのことに向き合うこととは何か、
という「道」の精神性を学ぶことができ、
日本文化というのは繊細で品があり美しいな・・・と感じるようになりました。
これが、私が最初に「日本の文化」を意識し始めたきっかけです。
つい弓道のことを沢山書きたくなってしまいましたが、
それはまた別の機会に書かせていただけたらと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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