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人で人生は変わる
人生を変えた出会いと言えばやはり当時付き合っていた彼女であろう。
色々と無邪気な彼女で、振り回されることも多かったが、男子校卒で屁理屈屋な自分に女性とはどういうものか、感情とはどうなのかを教えてくれた人だ。
出会いは大学公認の勉強団体。試験に受かると準会員から会員となり、成績次第で個人机も与えられる。ヤマが当たり会員になり、個人机も与えられ歓迎飲み会が行われた。
そこで僕は彼女に出会う。
隅っこで男友達と飲んでいた僕に彼女が来て
「私、こっちに友人があまりいないんだよね、友達になってくれるー?」
といった。
僕は「ていうか、もう友達でしょ!!」(クソキモスマイル)と答えた。
それが初めての会話だった。
彼女は彼氏と別れたようで、そこから泥酔し、滅茶苦茶笑っていたかと思うと突然
「信じてたのにー!!」
と言い、僕の友人にいきなりビンタをかました。もちろん友人も彼女とは初対面である。
あまりに唐突で、時が消し飛んだかのような感じである。友人を見て、「あ、鳩が豆鉄砲を食ったような顔ってこういうことなんだ。」と妙に感心した。
彼女は先輩女性に介抱されながら帰って行った。
とんでもねぇやつがいたもんだな。
これが彼女に対して抱いた感想だった。
その後謝られ、偶然会えば会話をする、所謂学友という関係で時は過ぎていった。
夏休みに差し掛かるころ、彼女が実家へ帰るとのことで、夏休み中の講座の録音を頼まれた。
頼られてまんざらでもない僕は二つ返事で了解したが、実際夏休み前になっても特にアクションがない。どうなったか聞くと
「ごめん、他の友達に頼んだ―。」
なんじゃそれ!!まぁでも何かあったらということで、連絡先の交換をしたのだった。
それからメールや電話などをするくらいにはなった。
そんなある日
彼女「というかさぁ、もう言っちゃいなよ?」
僕「え?何を?」
彼女「私のこと好きなんでしょ?」
僕「え、あ、はい・・・す、好きですぅ。(震え声)」
本当は違った。正直別に好きな人はいた。かといってその子とは僕がクソキモスマイルで一方的に会話するような状態。
男子校卒で女心というものもわからない自分にとって、これほど分かり易い「これはいけるやつ!」というアタックチャンス。もはやボット並みに自動応答だった。
彼女「えー、でもお互いのこと知らないし、考えさせて。」
全然いけるやつじゃなかった。
僕は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていたと思う。皆様に至っても十分注意をしてほしい。いけそうでいけるやつじゃないことはままあるということを。
そうして、ぶるんぶるん振り回される僕と彼女の関係が始まった。
何とか初デートにこぎ着けた僕。
当時出来たばかりの水道橋のラクーアでのデートとなった。
彼女は黒髪に白いワンピースだった。今思えばあざとい。
お化け屋敷がある一角にボックスがあり、暖簾のようなものでボックス内が隠されていて、そこに顔を突っ込むと何かが見えるという物体があった。
カップルが3,4組並んでいたのだが、何を思ったか、ふらふらっと寄っていってカップルが覗いている真ん中に顔を突っ込む彼女。
あ、これ並ぶ奴だと気づいた彼女。
彼女「ごめんなさいーーーーー!」
そう叫びながら僕をおいて逃げていった彼女。
勿論、覗いていたカップルは鳩豆顔(鳩が豆鉄砲を食ったような顔)だ。
百歩譲って行列を無視して見知らぬカップルの間ににょっきり入り込んだのはいい。なぜ叫ぶ必要があったのだ。並んでいるカップル達に僕が白い目で見られたことは言うまでもない。
後ほど、何とか合流して一応は謝られたのだった。お茶目な彼女だということで自分を納得させた。
また、あるデートの日、その日は夏日だったため、コンビニでアイスでも買おうかということになった。
彼女は、ガリガリ君のような棒タイプのアイスを買った。
購入後、袋はいらないですと言うとおもむろに開封してレジ前で食べ始めた。
僕は、後ろに並んでいた。僕のお会計中隣でぺろぺろする彼女。
店員さんはやはり鳩豆顔をしていた。
流石に店を出た後、今のはおかしいのではないかと抗議したところ
「え、お金は払ったよ?」
お茶目な彼女である。
そんな苦難を乗り越えて何とか付き合ってもいいという返答を得た僕、ある日彼女の部屋で手料理を作ってくれることに。
グラタンを作ってくれた。
彼女の料理とか初めてで僕は浮かれていた。絶対、何食べても美味しいよな!とほくほく顔でグラタンを食べたが
ガリッ!!
グラタンに鳩豆でも入っているのかと中を見たが、そこにはカッチカチのマカロニが圧倒的存在感を放っていたのだった。
漫画などで、好きな女の子が手料理をふるまって殺人料理が完成するっていうギャグ展開はよくあるけど、まさか本当に食べられないものが出てくるとは思わなかった。
現実は厳しい。
「どう?おいしい?」と無邪気な質問をしてくる彼女に対して「まずは食べてみて?」としか言えなかった。
彼女は「あれー、おかしいなー、グラタンの素の説明通り作ったんだけどなー。」と言っていた。
絶対、マカロニ茹でてねぇ・・・なまじオーブン使ったからカッチカチになったんだ・・・お茶目である。
またある時・・・
「今日は、生ガキが売っていたので牡蠣鍋を作ってみました。」と豪語する彼女。
「おお、いいねー!」といった具合で鍋の蓋を開けたら…
殻ごとの牡蠣がお鍋の中央に鎮座していた。正に威風堂々。
僕の牡蠣鍋イメージ
出典:レシピ大百科
実物イメージ
※雑コラですまない
僕「これは一体・・・なぜ殻ごとの牡蠣が入ってるの?」
彼女「え、牡蠣、熱したら空くかなと思って。」
僕「?????」(鳩豆顔)
僕「いやいやいや!!そりゃあね、確かに少しは空くよ?でもパカーッっていかないというか、大体それにしても1個だけで牡蠣鍋というのか・・・ていうか牡蠣の殻汚っ!!なんかいっぱい生えるてんじゃん!!せめてちゃんと洗ったの?え?なに?なんか悪いことした?どうしてこうなっちゃったの??」(滅茶苦茶早口)
彼女「あー・・・言われてみたら。」
一言!?
流石にお茶目では済まされない、生命の危機を感じたのであった。
細かいことを上げたら暇がないが、おかげさんで、人は理屈や正論でどうにかならないこともあると学ぶことができたのだった。
お約束通り、この当時付き合っていた彼女とは現在の家内なのであるが、上記話をすると「あの時は調子乗っていた。」とどうやら本人にとっても黒歴史なので良しとしよう(殻ごとの牡蠣鍋は調子でどうにかなるかは知らんが)。
ただ、食事担当は基本的に全て僕である。家庭科5段階中2の人間だったが、人生分からないものである。
尚、上記話を公表するのは家内の許可済みであることを記しておきたい。
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