DaVinci Resolveとは?
当方のブログでもDaVinci Resolveの機能を紹介していますが、noteでは、ちょっとコアでニッチな話題を書いていきます。
サポートしていただけると記事の頻度がアップ!どうぞよろしくお願いします。この記事は有料設定ですが全部読めます❗️
今回はお題の「#とは」に乗っかって「DaVinci Resolveとは」です。
DaVinci Resolveの歴史
ソフトウェアの「コンセプト」って、最初にリリースされた時に大体決まるんですよね。
ソフトウェアってバージョンアップで次々と機能が追加されていきますが、「基本的な設計コンセプト」は変わらないケースが多い気がします。
生まれた時の家柄というか、運命が既に決まってるみたいなモノですね。
ソフトウェアが生まれた背景を見ると、どんな機能に特化しているかを知ることができるんです。
DaVinci Resolveってなに?
DaVinci ResolveはBlackmagic Design社の提供しているカラーグレーディング動画編集ツール。
一般的に映像の色を調整するソフトとして認識されていますが、バージョン14でオーディポストシステムの「Fairlight」、バージョン15でデジタル合成ソフトウェアの「Fusion」が統合され、1つのソフトで入力から出力までを行える統合型のアプリケーションに成長しました。
バージョン16では「カット」ページで編集がより簡単に素早くできます。
編集と合成を統合的に扱えるアプリケーションには「Foundry Nuke Studio」や「Autodesk Flame」などがありますが、圧倒的な価格差が!
NukeやFlameは年間で50万-100万程度です。(これでも昔に比べてだいぶ安くなったんですが…)
もちろん、これらのシステムに固有の便利な機能がありますが、標準的な機能はDaVinci Resolve(Fusion)でも代替できます。
DaVinciは元々ハードウェアベースのカラーコレクション(色補正)ツールでした。フィルムの撮影からテレビの移行期の時代に一世を風靡した「テレシネ」システムで使われた機器の一つです。
テレシネとは?
昔々の話です。(テレビの創成期の5-60年前の話です)
TVが始まった当初はスタジオ用の大きなカメラしかなく、現在のハンディーカメラのような小型のロケーションで使えるカメラは存在しませんでした。
テレビ放送局は、16mmフィルムカメラを使用して番組を制作し、フィルムからビデオに変換してオンエアーの素材として使いました。そんな時代に、もちろんPCはありません。編集はテープで行われます。
テレビ以前に映画は存在していましたし、多くのフィルムストックがあったため、フィルムからビデオに変換する仕事は数多くありました。
これは、テレビ局にとっても好都合。新しく番組を作ることなく「映画(アニメーションを含む)」をテレビ用に変換することで、コンテンツを増やしてきました。
この状況って今の状況によく似てるんですよね。
テープのメディアをデータ化したり、SDの時代にアナログで「テレシネ」されたフィルムストックをコンテンツの再利用のために4Kで再キャプチャする必要があったり…。
フィルムからTVの時代に変わったように、今度はTVから放送やネットという垣根を超えて、デジタルフィルムの時代に回帰しています。昔のフィルムプロセスをデジタルで簡単に再現できるようになってきたんです。
ちょっと話が逸れたので元に戻すと…
後にBlackmagic Designによって買収されることになるCintel社は、この「テレシネ」を行う機械を製造している会社です。テレシネの原理は簡単に言うと、フィルムを映写し、撮像管やセンサーを使って再撮影する事です。
テレビが登場してからそれほど時間がかからずテレシネのシステムも登場します。
この時に圧倒的にシェアがあったのがCintel社のURSAシリーズです。(URSAの名前はBlackmagicのカメラの名前として残ってます!)「テレシネ」の利点はリアルタイムで処理できる点です。
テープに変換した後にカラーコレクション(色補正)するよりも「テレシネ」で録画するときに色補正することで、劣化なく処理する事ができるます。(当時はアナログ信号処理で、編集を重ねていくと次第に劣化していったんです!)
そこで登場するのがda Vinciシステム。フィルムからビデオに変換する作業中にカラーコレクション(色補正)を行います。映画やTVドラマ、CM、プロモーションビデオなどで数多く使われてきました。
この頃は、カラーグレーディングという言葉はまだ一般的ではなく、色補正とビデオへの変換を含めた処理を「テレシネ」と呼んでいたんです。
時代が進み、フィルムで撮影される機会が少なくなり、マーケットが縮小していく中で、マシンの性能も上がり「テレシネ」の作業から徐々に「データスキャン」に移行していきます。Cintel社はその過程で一歩乗り遅れた感じに…。
初めの頃の「データスキャン」は時間がかかり、作業の費用も高額でした。最初に登場したフィルムスキャナーがKodak社の「Cineon」です。
「データスキャン」の利点は素材を高品質のままデジタルデータとして利用できる点で、主にハリウッドのVFXなどで使われていました。CGはコンピュータで生成されるため、その相性はバッチリ。
現在ではARRI社の「ARRI SCAN」などが多く使われています。
新しいBlackmagic Cintel スキャナーはThunderbolt3を搭載し、35mmフィルムを4K HDRでリアルタイムにキャプチャでき、DaVinci Resolve Studioに標準で付属するフィルム修復ツールを使って修復できます。
Blackmagic Cintel スキャナー
そうです!DaVinci Resolveはデジタルシネマのためのツールなんです。
これが他のムービーを扱う「マルチメディア」の編集ソフトウェアとの大きな違いです。
元々フィルムの編集はハサミと糊(スプライサーとフィルムセメント)があれば編集できました。
ソフトウェアが「無償」な「コンセプト」なのも、その延長なのかもしれませんね。
DaVinci Resolveはレーシングカートのような存在?
レーシングカーの最高峰に「F1」の存在があります。その登竜門として「レーシングカート」があり剥き出しのエンジンやシャーシのままですが、モータースポーツの楽しみを教えてくれます。
DaVinci Resolveは一部のプロ用の機能を除いた「無償版」と「有償版」のDaVinci Resolve Studioがあります。
まずは「無償版」で動画編集の楽しみを味わってみてください♪
Blackmagic DesignのPocket Cinema Camera 4KやURSA Miniを購入すると、なんとStudio版が付いてきます!
Blackmagic Designは他のソフトウェアの販売会社と異なりハードウェアの会社。
実はソフトウェアを安く提供することで、ハードの売り上げがあれば問題ないんです。
単純にビデオの入出力が必要な場合は、キャプチャー再生ボードを購入します。
Blackmagic Designのキャプチャボードは他社のアプリケーションで使用できますが、DaVinci ResolveはBlackmagic Designのボードしか使えません。ここがネック!
さらに、コントロールパネルが必要な場合はパネルを購入します。
サードパーティのパネルも使用できますが、純正のパネルは、使い勝手がよく考えられています。
例えば、最低限の機能が必要な場合は「マイクロパネル」を使用します。持ち運びに便利ですがプライマリーに必要な機能しか搭載されていません。
「ミニパネル」は「アドバンスド パネル」で使用できるほとんどの機能にアクセスできます。
なんでパネルが必要なの?
PCの操作画面は必ずしも最終的な出力と同じ色域やサイズではありません。ボードから出力された信号を最終的な画面で確認する必要があります。
この操作の時には、PCの画面を見ないんですよね。手元を見ずに、感覚で操作できるパネルが必要なんです。
さらにハードウェアを追加!
Fairlightが搭載されたことで、本格的なミキシングが必要な場合はミキシングコンソールが必要になるかもしれません。モジュール形式で別れたコンソールは小さなサイズから始めて徐々に大きくする事ができます。
フェアライトのコンソールはこれくらいのお値段になる予定です。
「F1」と同じでチームが必要?
「レーシングカート」と同様にスキルが上がると、もっと大きな舞台でチャレンジしたくなるかもしれません。
DaVinci Resolveの動作に必要なハードウェアを揃えたり、使用環境に合ったワークステーションを揃えると、それなりの額の投資が必要になってきます。
さらに専門的な別の知識を持つ人が必要になり、もはやは「チーム」で動く必要が出てきます。優秀なエンジニアやマネージャーがいると、アーティストは作品に専念する事ができるんですよね。
プロ仕様で組むとこんな感じ。。
Studio版では、別々のマシン同士をネットワークで繋ぎ共同作業を行う事が出来ます。
これは、必ずしも一人で編集からエフェクト、サウンドミックスの全てを操作するという訳ではなく、同じDaVinci Resolveを使い、別のプロフェッショナルな編集者やエフェクトアーティスト、ミキサーなどをアサインし、人を入れ替えて使えるようになる事を意味します。
DaVinci Resolveを使う利点は、他のアプリケーションとのやり取りのためのファイルの変換や入出力が必要なくなるという点です。
早く使うほど得をする!?
Adobeなどのサブスクリプション形式の編集ソフトと異なり、DaVinci Resolveは買い切りのソフトウェアです。
年間の維持費やメジャーバージョンアップ時の追加料金は一切かかりません!2009年にBlackmagic Designに買収されて以降一度もバージョンアップで追加で費用が発生したケースありません。
例えば、バージョン8のドングルはバージョン15でも使う事ができます。(現在ではシリアルキーの販売がデフォルトです)
ソフトウェアの資産が目減りしないばかりか、長く使うほどにコストが安く抑えられます。
Apple Final Cut 7の正当な後継?
もしかしたら、DaVinci ResolveがFinal Cutの正当な後継なのかもしれません。
DaVinci ResolveはMacとの親密性も高く、WindowsやLinuxでも使用することができるマルチプラットフォームなソフトウェアです。
Final Cut Studioをご存知ですか?
アップルが2005年から2011年にかけて販売していたプロ向けのソフトウェアスイートのひとつです。
Final Cut Proを中心としてLiveType、Compressor、Cinema Tools、Motion、DVD Studio Pro、Soundtrack Pro、Colorを含むパッケージ製品です。これらに加え、以前はノードコンポジティングのShakeが存在していました。これらの一連のアプリケーションを統合的に使うことができたんです。
このFinal Cut ProとColorとCinema Toolsの機能がDaVinci Resolveに当たり、Soundtrack ProはFairlight、MotionやLiveType、Shakeの役割をFusionがそれぞれ担います。
DVD Studio Proはオンラインのための配信設定で代替し、Compressorの機能と共にDaVinci Resolveに内包されます。
当初のスティーブ ジョブズの思惑は、ハリウッドやTV業界で通用するビデオ編集ソフトウェアを提供し、メディアを席巻する予定だったのでしょう。
ですが、当時のMacはパワーが不足していました。映画やCGなどのハイエンドのシステムではSGIのグラフィックワークステーションが使用されていました。
一方、簡単にFirewireでDV信号を取り込める事から、Final Cut Proはコンシューマで急速に普及していきます。
現在ではFinal Cut Pro Xになり、プロフェッショナルだけでなくコンシューマにも使いやすいソフトウェアに変化しています。
DaVinci ResolveはFinal Cutに似てる?
DaVinci Resolveの操作やショートカットなどの多くはFinal Cut Pro Xと似ています。
Blackmagic designのグラント ペティは熱心なApple信者として知られ、ホームページがAppleそっくりだった時もある程です。
なんとトレーニングコストも無償!!
トレーニングのための公式のガイドブックが発売され、Amazonで販売されています。
オンデマンド印刷なのか、一度に10部づつくらいしか入荷されません。入荷されても直ぐに売り切れるので、こまめにチェック♪
ペーパーバックでは¥4600程度の価格ですが、Blackmagicのトレーニングサイトで無料のPDFがダウンロードできるようになっています。
さらに巻末に記載されている認定試験をオンラインで無料で受ける事ができるんです。
Apple FinalCut Pro Xでも公式の認定試験がありますが、別途有償。
AdobeのPremiereProやAfterEffectsの認定試験も以前はありましたが、現在では無くなっています。
誰でも編集やエフェクトができて、プロとアマチュアの差が無くなってきていますが、自分のアプリケーションの修得レベルを計ったり、こんな機能があったんだ!っていう気付く事ができますよ。
最短で認定証をゲット!するならこちらをご覧ください。
もう少し詳しく知りたい方に…
DaVinci Resolve 15 Text+を使用したでアニメーションを解説しています。基本的な編集とDaVinci Resolve 15 のFusionページの解説です。
後半は少し難しくなりますが、良かったら一緒にご覧ください。
スキやシェアして頂ければ喜びます♪
ここから先は
¥ 100
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?