「お金」「通貨」の実態・正体
前記事である「お金」「通貨」はどこからやってくるのか?では、今私たちの手元にあるお金がどのような経緯で生まれ、そして消えていくのかについて詳細に解説しました。
その説明を聞いたとき、かつての「お金」「通貨」へのイメージと随分違う印象を受けた人が多かったかもしれません。
特に、「市中銀行が貨幣を発行する」というくだりでは、「これって”詐欺”じゃないの?」という印象を受けた人が少なからず居たのではないかな、と思います。
実際、信用創造(銀行借入・貸出による貨幣創造)についてある程度知った人の中で、「信用創造は詐欺だ!」と憤慨する人は少なからず存在します。(信用創造 詐欺で検索をかけると、そういった人をたくさん見つけることが出来ます)
しかし、私は『「お金」「通貨」の実態・正体』を論じることを通じ、
「信用創造は詐欺じゃない! 」
「むしろ世間一般の「お金」のイメージの方が間違っている」
ということをお伝えしたいと思います。
以下のような章立てで論じていきます。
①世間一般の「お金」「通貨」のイメージ
②「お金」「通貨」の実態・正体
③余談:歴史上の「お金」「通貨」
関心のある方はご購読お願いいたします。
※※※このコラムは、望月夜の経済学・経済論 第一巻(11記事 ¥2800)、望月夜の貨幣論まとめ(5記事 ¥1000)にも収録されています。※※※
①世間一般の「お金」「通貨」のイメージ
世間一般で(だけでなく、通常の経済学教育においても)共有されている「お金についての”ストーリー”」はおおまか以下のようなものだと思います。
「元々、経済は物々交換で成り立っていた。」
→「しかし、多数の商品をそれぞれ物々交換すると、交換レートがわかりにくくて非効率的だし、自分の持っている商品を欲しい商品と交換するのも難しい」
→「そこで、お金という商品を作ることで、交換レートも『(お金で測った)価格』として分かりやすくなるし、自分の望む商品を購入するのが容易になる」
上記のストーリーでは、お金はあくまで商品の一種です。
しかし、現実のお金は、このような「商品」の形を取ってはいません。「お金」「通貨」はどこからやってくるのか?では、我々が持つ貨幣(money)の大部分である「銀行預金」は、銀行の負債として発行されることを示しました。また、現金などを含む中央銀行貨幣(通貨、currency)も、中央銀行負債として発行されています。
お金は、交換を円滑にするための商品・財物なんかではもともとないわけです。銀行預金はもちろんのこと、現金を含む国定通貨(中央銀行発行貨幣)ですら、それ自体の商品価値は全くなく、中央銀行負債として作られているのです。
そもそも、紙幣なんて「ちょっと変わった紙切れ」でしかないのですから、紙幣自体が「実体的な価値」を持つはずがない…ということは、少し考えればわかることです。
世間一般に合致するようなイメージの「本物のお金」というのは、この世のどこにも存在しないのです。
②「お金」「通貨」の実態・正体
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?