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2022年8月の記事一覧
新感覚!解決しないミステリー小説 ロンドの旅Part2ソナタの旅 全編
Chap1ルンビニの事件1.悲願
朝起きるとすぐ異変に気付いた。自慢の黒髪ロングストレートがベリーショートになっている。縮毛矯正も期限切れでクシャクシャだ。だが、程なくしてそれは自身の決断だったことを思い出す。昨日、長年伸ばし続けた髪と訣別したのだ。それは決して後戻りをしないという、彼女の決意表明であった。一見穏やかにも感じ取れる日常は、少しずつ蝕まれていて、音を立てて崩れ落ちるのは時間の問題だ
新感覚!解決しないミステリー小説 ロンドの旅Part2.ソナタの旅Chap.1ルンビニの事件
1.悲願
朝起きるとすぐ異変に気付いた。自慢の黒髪ロングストレートがベリーショートになっている。縮毛矯正も期限切れでクシャクシャだ。だが、程なくしてそれは自身の決断だったことを思い出す。昨日、長年伸ばし続けた髪と訣別したのだ。それは決して後戻りをしないという、彼女の決意表明であった。一見穏やかにも感じ取れる日常は、少しずつ蝕まれていて、音を立てて崩れ落ちるのは時間の問題だ。いかなる分野においても
ミステリー小説ロンドの旅Chap4.ユールマラの旅20.僻見(ロン旅最終回&続編決定!)
将棋の戦術である棒銀の英語表記は"climbing silver"だ。社長が語った"成銀事件"を思い出せば自ずと答えは見えてくる。silverをgoldに置き換えると"金を登れ"---これに、この旅には欠かせない"星"を融合させる。すると、ラトビアで有名な3つの金の星を掲げる像が浮かび上がり、ロンドとバルカは再会の地へと向かったのだ。ソナタは、東京の暗号に準えることでユールマラで彼らにだけ分かるよ
もっとみるミステリー小説ロンドの旅Chap4.ユールマラの事件19.離別
幼女は食事をしながら何度も目を擦った。捜査の負担を背負うには彼女の肩はあまりにも小さい。出された料理をサッと口に運ぶとすぐに歯を磨いてベッドへ向かう。久しぶりに両親が口を揃え我が子に1日の終わりの挨拶投げかけた。
バルカ、おやすみ。
…。
2人きりになると、ソナタはロンドと離れ離れになってから今までの経緯を淀みなく語りはじめる。壮絶な旅の一部始終を聞きながら、全身の水分がすべて目から流れ
ミステリー小説ロンドの旅Chap4.ユールマラの事件18.快活
2人はヘッドホンとマイクを装着した。パイロットにはしばらくこれらを外すよう指示を出した。日は沈みかけ、ゆっくりと少しずつ暗闇が辺りを覆う。
さて、話したいことは山積みだよ。まずは君のことだから抜かりないと思うけど念のため。バルカと僕が追っていた事件は解決してくれたのかい?
ええ、もちろん。今回は少し驚きの事実もあったけど無事解決したわ。
分かった。じゃあその件は安心だ。あと、いま僕らは
ミステリー小説ロンドの旅Chap4.ユールマラの事件17.暗示
ここだね。
…。
その答えにたどり着くとすぐにタワーマンションを後にした。実は、ソナタは東京の事件から2人を誘導をしていたのだ。そう。お気づきの方も多いだろうが、東京の事件の暗号とユールマラの事件の暗号はリンクしている。東京では紙幣に書かれた英文を反転することで新たなメッセージとなった。ロンドはラトビアへ向かう機内で彼のSNSをチェックしているとき、これをヒントにジーンズのラベルに気付いた