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ミステリー小説ロンドの旅Chap4.ユールマラの事件17.暗示

 ここだね。

 …。

その答えにたどり着くとすぐにタワーマンションを後にした。実は、ソナタは東京の事件から2人を誘導をしていたのだ。そう。お気づきの方も多いだろうが、東京の事件の暗号とユールマラの事件の暗号はリンクしている。東京では紙幣に書かれた英文を反転することで新たなメッセージとなった。ロンドはラトビアへ向かう機内で彼のSNSをチェックしているとき、これをヒントにジーンズのラベルに気付いたのだ。そして、チェスのギャンビット(オープニング戦術)は、将棋の戦法"棒銀"が関係していることを示唆する。ソナタは2人を再会の地へと誘う言葉を男の子へ託した。"棒銀"は英語で"Climbing silver"と表す。しかし、これだけではまだ足りない。最後のヒントは社長とのやり取りの中にあった。

 この旅に欠かせない"星"と絡めるなんて、あいつも洒落たことを考えたな。

 …。

 さて、僕らの仮説が間違っていなければいつこの場に現れてもおかしくないね。まあ国際指名手配犯だし、堂々と顔を晒してお出ましとはいかないか。う〜ん…だけど普通なことが嫌いなのがあいつだよな〜。

 聞こえる。

 ん?…ま、まさか

幼い娘はモニュメントの遥か上空を見上げながら呟く。ロンドにはまだその音を聞き取ることはできなかったが察しはついた。やがて近くにいる誰もが聞こえるところまで"その音"はやって来る。黄金に輝く3つの星の近くには彼女がいるという、この旅のゴールには相応しい状況がまさに目の前にあった。

 ははは…指名手配犯とは思えない登場だなぁ。

珍しくロンドの顔は綻んでいた。いつものビジネススマイルではない。最愛の妻との再会を目前に、ポーカーフェイスを保つことができなかったのだろう。その音がギリギリのところまで近づくと、2人の目の前にハーネスのようなものが付いた梯子が降りてきた。同時に出入り口が開き、拡声器を持った女性が現れた。

 ロンド〜!バルカ〜!久しぶりね!貴方たちなら必ずここに辿り着けると思ってた!さあ、それでバルカをロンドの体に固定して、登ってきて!!

2人は言われたとおりに梯子を登り、機内へ乗り込んだ。周囲の人々は写真や動画を撮影したり、電話やSNSの投稿をしたりと、この一部始終はあっという間に世界を駆け巡る。

 ソナタ、やっと会えたね。

 ええ。ロンド、また会えて本当に良かった。…いまは再会を噛み締める時間はないわ。行きましょう。

 ははは、相変わらずだね。わかった。

 …。

幼い娘はいつものように表情を変えず、目を瞑り、静かに佇んでいた。

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