超常現象―科学者たちの挑戦―/NHKスペシャル取材班

https://www.shinchosha.co.jp/book/128380/

読了日2020/05/27


超常現象はあるのか

一口に超常現象といっても種類がある
本文中では種類を分けて考えてもいる

物理的な目に見える変化を伴う「念力」
人と人とが意思疎通を行う目に見えない変化の「テレパシー」など

念力は現代科学では解明するための力、科学的下地がまだ不十分として熱心に取り組む研究者は少ない

だがテレパシーはどうだろう
目に見えない分、可能性が広がっている
なぜなら私たちが知る生物たちも、もしかしたらテレパシーを使っているのでは? と想像できるからだ

たとえば空を飛行する鳥の群れ
一糸乱れぬ動きで左右に飛び交いながらも決してぶつからない
はたまた川で生まれ海に向かい、成長してから生まれた川に遡上する魚

彼らがなぜ飛行中にぶつからないのか
なぜ生まれた川を正確に覚えていて戻ることができるのか
実は彼らにはテレパシーがあるのではないかと研究者は考えている

テレパシーとは生きるために必要な本能なのではないか、と

テレパシーとはまた異なるが、予知能力はまさしく成長が持つ防衛本能の可能性がある

穏やかな写真と恐怖を感じさせる写真を交互に見せる実験では、なんと驚くことに人は恐怖を感じさせる写真を見せられる「4秒前」にすでに体温低下が見られたのだ
(危機を感じ取ると人は防衛本能で四肢の末端に送る血流量を低下させる仕組みを使った実験)

これにより人は自らに危機をもたらす可能性のある何かを事前に察知、つまり予知しているのではないかと考えられる

超常現象は人が持つ防衛本能……

かなり後半になってこの部分に主題が当てられるが、実は最初の章でも言及している
それは海外のある有名な古城で目撃される幽霊について

その幽霊を見ると背中がひんやりする、外気が冷たく感じられるといった目撃証言が多数ある
だがサーモグラフィーなどの科学装置にはなんの変化も見られない

そこで研究者たちが提唱するのが防衛本能だった

ネズミなどの生物は
蛇のような体温で獲物を見分ける敵と出会った場合、一時的に体温を下げて身を守ろうとする(それで助かるのかよ、と正直者思うのだけど)

古城で起きた「冷たい感覚」は
実は外部からもたらされたものではなくて
防衛本能による自分の内側から発されたものの可能性が高いというのである

そして行き着く先は量子論……
私たちにはまだ分からない世界の仕組みが大いに隠されている分野
それが超常現象ともいえる

おもしろー!!!
オカルトやら都市伝説やら七不思議やらが子ども時代から大好きだった私
物理や化学は大の苦手なんだけど、これを読んだら量子論とかに手を出したくなる(笑)
ということは、まずは基礎的な知識として高校レベルの物理を勉強しなきゃならないな……
でも生物学も、だな
一般的に「理科」と呼ばれる範囲をある程度網羅してようやく本腰が入れられるのが超常現象なんだろう
科学者は往々にして超常現象を厭うようだけれども
本文中にもあったように、今は超常現象にとって
地動説が一蹴される時代のようなものなのだろう

なんとかして超常現象の不可解な理論が解明されてほしい

けれど、死後の世界はないとかきっぱり言われるのは、それはそれでちょっとさみしい気もする

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