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【山道づくり日誌】これからの人生でやりたい道づくり 前編

【はじめましての方へ】

こんにちは!秋田県北秋田市にある小さな宿屋ORIYAMAKE(オリヤマケ)の織山と申します。当宿は日本独特の狩猟文化である「マタギ」を育んできた森吉山の麓にあり、そのマタギ的な暮らしを垣間見ることができる体験型宿泊施設となっています。
ようやくコロナ禍の影響も、ひと区切りつきそうなところで、これからの目標をゆっくりと記録していきたいと考えているところ。
(スペシャルサンクス:宿にご興味を持っていただいた方は、プロフ欄からホームページをご確認くださいませ!)

【無数に散らばる問題に対して】

当地域は人口が3万人を切った小規模な自治体のため、一般的な過疎地域が抱える問題というのは、ほぼ全て揃っている状態です。マージャンに例えると…満貫?いや倍満状態。

例えば、働き手の減少、耕作放棄地の増加、獣害などなど。どこにでもあるような日本の田舎が広がっています。地域のシンボルである森吉山を中心とした観光促進もコロナ禍で急ブレーキがかけられ、四方八方が塞がれてしまっていました。

そんな中でも、この3年間、DMOの方や地域の住民は手探りで前に前に進んでいました。イベントの中止が何回あったことか…。一歩進んで二歩下がるような毎日。それでも私も後ろから押されるようにして、なんとか観光業を続けることができています。もちろんお客さんの笑顔や「楽しかった」「また来たい」という言葉が一番のうるおいの素です。乾燥してパリパリになっていた心に染み渡り、心が弾力を取り戻していきました。

そして、これから先の未来へ向けた方向性として【少人数で高単価】という路線は外せません。自然へのダメージを少なくすることが第一ですが、我々のマンパワーも不足していく中では、この方向性で進んでいくしかないと思われます。

【少人数高単価】を掲げて、アドベンチャーツーリズムを進めていこうと、色々とアイディアを出し合っていたときのこと。「ロングトレイル」というキーワードにとても惹かれるものがありました。これまでに聞いたこともあったし、特別な言葉でもありません。それでも、様々な問題を抱えていた私には、この「ロングトレイル」がひとつの明るい未来へ続く道筋に見えたのです。
マリオを生み出した任天堂の宮本さんも「アイデアというのは複数の問題を一気に解決するものである」 と言っています。1つのアイディアが、まるで串のように2~3つの問題を突き刺している姿が目に浮かびました。
(参考記事)https://www.1101.com/iwata/2007-08-31.html

【ロングトレイルづくりを始める前に】

私には森吉山を出発点とした「新たなロングトレイルコース」を設定することが、複数の問題に対してプラスの影響を与えることができる「鋭い串」に見えています。
過去に読んだ記事もまた読み返しました。

「茨城県北ロングトレイルプロジェクト」

「全長300km越えの文化をつくる。県北ロングトレイルプロジェクトとは」
(引用)
・各地に点在しているもの同士を、物語性をもってつなげたら面白いんじゃないかと思って。
・森と社会貢献をつなぐ、ひとつのフォーマットをつくれたらと思っています。
https://www.pref.ibaraki.jp/kikaku/kenpokusinkou/chiiki/k-creative-hp/kc-kiji-20210210.html

「日本ロングトレイル協会・中村代表理事特別講演」

「アフターコロナの地域活性化はロングトレイル」
https://www.east-tokushima.jp/feature/detail.php?id=126

ほかにもブログやnoteを読んで、ムクムクと自分の中に「ロングトレイルをつくりたい欲」が起こってきました。今現在、日本各地にあるロングトレイルにはそれぞれ個性があり、歩くことによって地域特有の文化や、思想なども体験できる内容となっています。

それは(まだ実際に歩けてはおらず想像の域を出ませんが…)現代の大きな問題のひとつである「画一性」と「効率」によって成長ばかりを目指していた社会や経済システムに対しても、転換のきっかけとなるインパクトを与えることができるかもしれません。道づくりは人づくりであり、人間の生きる営みの集大成が道なのです。

【山道づくりで大切にしたいこと】

私はこれからの人生で、地域の文化をよりよく体験できるツールとして、ロングトレイルのコースを整備していきたい。その時には「生物多様性(ダイバーシティ)」と「ライフ・センタード・デザイン」を背骨に設定したいと思っています。生物多様性はSDGsの影響もあり、耳なじみがある言葉になってきたが、「ライフ・センタード・デザイン」はどうでしょうか。

要するに「デザインの視点を人間中心から全ての生命中心にする」ということだと理解しています。近江商人の三方良しが、さらに発展して立体的に八方良しになったイメージ。よくわからない方は下記の解説記事をご覧ください。

【デザインを「人間目線」だけで作る時代は終わる?どの命も取りこぼさない、新設計に迫る】
(引用)
・デザインの背景にある「いのち」に気付く大切さ。
・ライフ センタード デザインのエッセンスは古代の人々や先住民の生き方にもみられ、何千年前から大切にされてきた概念である。
https://ideasforgood.jp/2022/11/07/life-centred-design/

私たちの住む地域の暮らしを守りながら、新しい観光のスタイルを構築していくために「あと5年がタイムリミット」と仲間内で言っていた時点から更に3年が過ぎたところまで来てしまいました。タイムリミットを過ぎたアディショナルタイムでもがき続けています。

こんな過疎地で地域活性化なんて夢のまた夢だ、とあきらめてしまう人も出てきています。私も一時期は発信が面倒になり、まずは自分の宿屋業を軌道に乗せることだけを優先させていました。

でも、自分の宿屋だけ単独で考えてもダメだと思い知ったのです。

……
といったところで、次回はもっと具体的に、当地域のシンボル森吉山を始点としたロングトレイルのコースについてご紹介していきたいと思います。

まずは、乱文乱筆のまま…。2022年11月11日に始めたかったので、無理やり投稿します。
続きは後編で!

(後編:2022年12月28日更新)

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